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2009年4月20日 (月)

3)、ダム堤防(ダイク)上を走る。 シマノ製変速機?

ドイツ語のレッスン。

フェリーを降りた後、少し都会らしい風景と、風車のある田舎の風景とを交互に楽しみながら、北上して行った。この辺りの田舎では英語が通じない。ドイツ語の実地レッスンが始まった。 会う人々はみんな親切で、宏の勉強に付き合ってくれる。忙しくもしていない。天気も良いので皆、のんびりしている。見かけない日本人が珍しい自転車に乗って来たという訳で、有難いことに、止まって休んでいると相手の方から話しかけて来てくれる。

「ちょっと聞いてもいいですか?(これは偶々の英語)」 「いいですよ。こんにちは!」 「この自転車は珍しい形をしていますが、、」 「こうなるんですよ」と、宏は自転車を2つに折りたたんで見せる。「こう折りたたんだ後、バックに納めれば持ち運べるんだ。」 「フーン。でもあまり頑丈そうではないですね。」 「私の旅にはこの程度で充分なんだ。荷物も多くないし、そんなにスピード出す訳じゃない。」

突然「この変速機はシマノではないのか」 恐れ入った。シマノはこんなオランダの田舎町にまでも知れ渡っていた。「これはシマノ製ではない。日本の製品品質は皆良くて、どこの製品でもいいんだ。テレビでもビデオでも皆そうだ」と、負け惜しみ気味の答弁をする。

「フ~ン。ところでこれから何処まで行くの?」 「アイセル湖の北の端まで」 「200Km以上あるよ。無理だよ」 「勿論、明日か明後日だよ、着くのは。」 「ひとりで寂しくない?」 「ああ、でも結構楽しいよ。君みたいな人に会えるから」 「頑張ってね」 「ありがとう」

たびたび道を尋ねているのを見かけられたのであろう、わざわざ通り道で待っててくれて道案内をしてくれるオジサンもいる。車はほとんど走っていない。危険は皆無なので並んで進みながら、結局2時間位そのオジサンから”ドイツ語”のレッスンを宏は受けた。

元ドイツに住んでいたというそのオジサンと別れてから大きなダム(堤防)上を走った。 オランダの西側には幾つかの大きなダムがあり、海からオランダ国土を守っている。中学生の頃、国土の4分の1は海面以下と聞いていた。一番大きなのはアイセル湖を形成するダイク(オランダの人々はこのダムを特別に”ダイク”と呼ぶらしい)。そのダイクは、全長が30Kmとのこと。今宏が走っているのは最近完成した2番目に大きなものであるらしく、宏の持っている古い地図には載ってなかった。

近代的なスマートな風車(日本でも最近はおなじみになった型)が河口近くに幾つも立ち並び、勢いよく回っている。堤防の両端には沢山の水門が並んでいて壮観の一語に尽きる。たまたま海水を引き込んでいる時間帯らしく、勢いよく渦を巻きながら流れ込んでいた。その上を宏は走った。太陽は左手北の海上にあるが、なかなか沈まない。海の照り返しが強い。

初めの水門の並びを通り過ぎたあと、北海側に少し広くなったコンクリーの上を走った。誰もいない海岸。勿論堤防の一部だ。  何千羽、何万羽の海鳥が羽を休めている。自転車の進む数十メートル前方で、次から次へと波打つように飛び立っていく。 「邪魔してゴメンね」と、話しかけつつ宏は進む。時々、自転車の直前をうさぎやリスが驚いたように数匹ずつ横断していく。こんな光景の中を数キロ走った。

田舎道でペンション発見!

既に9時を回っている。そろそろ今夜の宿の心配を始めなければならなかった。 『初めての野宿になるかも知れない』。 そう思いつつ、段々と夕焼けの増す田舎道を走り続けた。 その時であった。ペンションの横文字看板が突然目に飛び込んできた。まさかと思って見直したが、確かに”ペンション”と書いてある。そばには1軒の小ざっぱりした農家があった。全くラッキーであった。

呼び鈴を鳴らすと奥から人の良さそうなおばさんが、不安そうに出て来られた。それはそうであろう。宏の身なりは黄色のウインドブレーカーと短パン姿、頭はクシャクシャで全身ほこりまみれときている。しかも太陽こそ照り輝いているが夜中の9時半だ。

英語は全く理解できないようなので、ドイツ語で日本人であること、ベルギーを朝発ち、自転車でここまで来たこと、廊下でも納屋でも何処でもいいから泊めてほしいと、一生懸命手真似を添えて話した。

いくらか安心できたのか、おばさんは宏を中に入れてくれた。胸元からパスポートを取り出し手渡すと、「30ギルダー」と、紙に書いてくれた。即払う。おばさんは嬉しそうにペンションの住所が書いてある”しおり”をくれた。

奥から旦那さんらしい人が出て来られた。この人は多少英語が通じるようだった。「シャワーを使いなさい。」 「おなかがすいている。先に腹ごしらえしたい。よかったらここで食べさせてはくれないか?」 「材料がない。2.5Km先にレストランがある。そこで何でも食べられる。」 「わかった。」

荷物を部屋に置き、直ぐに出かけて行った。小さな田舎町の広場に気のいいマスターが経営するセルフサービスのレストランがあった。なんとか満足な食事にありつけた宏は、暗くなりかけた夜道を引き返していった。 

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