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2009年4月21日 (火)

4)、地球の大きさを”目と足で”確かめる。

女の子が好みそうな 綺麗な二階の小部屋が今夜の宿であった。窓の外には田園風景が”切り絵”の如くに広がり、一番星が西の空に輝いている。地平線近くの空にはまだ赤みが残っていた。あまりに素晴らしい出来事に感動して、最初で最後となる絵葉書を宏の家族に出した。風車のイラストが描かれた、いかにもオランダらしい風景の絵葉書であった。

翌朝、どういう訳か宏は早く目が覚めた。 ベッドから見える朝霧を浴びた畑の景色が、えも言えず素晴らしかった。 もう一つの窓から朝日が差し込んで来た。5時頃である。飛び起きて身を乗り出しつつ写真に収める。 日が沈んだ辺りとあまり変わらない方角から朝日が昇ってくる。 辺りの色合いが刻々と変わっていく様子を飽かず眺めていた。

この20年間、とにかくヨーロッパ縦断の旅にこだわっていた。『同じ夏至の日でも、場所によって井戸に差し込む日差しの角度が異なる ことに気が付いて、地球の大きさを測った人がいる。』という話を若い頃に読んで、感動したことがあった。 日時計製作に熱中した時期もあった。 今回の旅でイタリアのピサに進路をとるか、あるいはベニスを目指すべきか宏はまだ迷っていたが、この朝日を見ている内に”ピサ”と進路が決まった。

『とにかく南に下りたい』。 ガリレオが大小二つの鉄球を落として見せた”ピサの斜塔”へのこだわりは、旅の目的と無関係ではなかった。『僕は地球の大きさを自分自身の目と足で確かめるために、この旅をやってみたかったのだ』。 朝日の昇るのを窓越しに眺めながら、そう思った。 彼だけのために整えられたボリュームたっぷりの朝食をとり終えたあと、おばさんと別れを惜しみながらそのペンションを去って行った。

かなり昔に作られたと思われる小さな堤防の上を走り、人気(ひとけ)のない海岸線を走る。たびたび鳥が飛び立ち、リスが道を横切っていく。木々の緑は何とも言えぬ落ち着いた”光”を照り返している。日本では見かけない色合い! 『レンブラントだったかな』(と宏は思うのだが定かではない)こんな風景画があり、そのときは造られた絵の世界ではないかと思っていた。『現実にこんな世界があるなんて』と、走りながら感動する。

夕日はなかなか沈まない。花の季節は5月中旬までだそうで少し遅いが、それでも田舎道沿いには赤いけしの花畑、黄色い菜の花畑、チュウリップの花畑が帯状に広がっている。 通りがかりのスーパーマーケットや小さな店で食料を仕入れて、そんな風景に見とれながら休んだり、走ったり・・。

ピサは南だ。が、宏はまずはアイセル湖の北の端を目指して北へ北へと進んで行く。

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