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2009年4月21日 (火)

6)、インド人の館で、「明かりを消せ」?

『都会は嫌いだ!』 アムステルダムの市内観光の真似事をしている内に、そう思った。

人人人、車車車の洪水である。 名所旧跡を訪ね歩くのは、宏には向かないようだ。 汗を流し、そこにたどり着いても、『 なあんだ。こんなものか 』と、がっかりすることが多い。アムステルダム駅前は非常に広々としているが、放置自転車の山! それだけが妙に印象に残った。『 旅の発見は田舎にこそある。』 改めて宏はそう思った。

その日はもっと北の方まで走るつもりであったが、6時半頃、「あんたは部屋を探しているのじゃないか?」と、インド人風の客引きに捕まってしまった。「一泊いくら?」 インド人の客引きは、手の平に数字を書いて見せる。「40ギルダー」 「ちょっと私には高い」 少し考えている風で、「 これではどうだ。」と、手の平の数字を書き直す。「 35ギルダー」 「 ウーン、部屋を見てから決めよう 」と、やり取りしている内に、泊まる羽目になっていく。

駅前からかなり離れた住宅街の中に、そのペンションはあった。 真面目そうで清楚なドイツ人夫妻が宿泊しており、宏は少し安心する。 部屋も”御殿”のごとくに綺麗であり、『割安』と判断した宏は泊まることにした。 交渉がまとまると直ぐ、そのインド人の客引きはバイクに乗って出て行った。

宏は玄関口にいたドイツ人夫妻と、話をした。「一週間の連泊。」とのことであった。 「貴女達は一泊一人いくらで泊っているいるのですか?」 「一日当たり、27ギルダー」  自転車乗りは毎日前進しなければならず(連泊は無理であり)相当に高くつく。

インド人が帰って来た。後ろから乗用車が付いて来ている。 『 またお客を捕まえて来たな 』と思ったのもつかの間、突然、「 駅から随分と遠いじゃないの。約束が違う 」と、運転していた女性が大声で叫び、Uターンして去って行った。

懲りずにまたインド人は、バイクで駅の方角に引き返していく。 まことに仕事熱心である。 『 まあいいや。洗濯もサービスと言ってくれたし、私は少しゆっくりすることにしよう。』  この数日間余りに色んなことがあり忙しく動き過ぎて、宏は日記を書くゆとりさえなかったのだ。

夜中の11時であった。 どこからか、鐘の音が聞こえて来た。 白夜とはいかないが、空にはまだ薄明りが残っている。 その空を見上げながら、宏はオランダに入国してからの出来事を日記に書き綴っていた。

初めてのペンションと宿のおばさんとの思い出などにひたっていたその時、突然に窓の外から声がして、現実に引きもどされた。 真夜中の1時である。 窓辺にかけ寄ると、下から多分近所の方であろう、何かこちらに向かって叫んでいる。 黙っているのも変なので、勝手に宏も「 何が起こったのか?」とか、「 どうしたの?」とか質問を発する。

どうも怒鳴られているらしい。「明るくて眠れない」という意味の事をしゃべっている。 「明かりを消せ」と命令されて戸惑っていると、一階に灯がともった。 宿の値段交渉をしたインド人と、その近所の人とが現地語で何やらしゃべっていて、その後、近所の人は帰って行った。

インド人曰く、「 何時まで起きているんだ。早く寝てくれ。」 「(郷に入っては郷に従えだ)。分かった。そうする。」  宏も悪かった。 ここに着いてシャワーを浴びた後、疲れて2~3時間眠っていたので、ついつい遅くなってしまった。 おまけに暑いので、分厚いカーテンは開け放ったままだった。

それにしても「 所変われば人変わる 」である。 日本では真夜中のドンチャン騒ぎは苦情の対象だが、ホテルや宿屋で「 ライトを消せ。早く寝ろ 」とは怒鳴られない。 『 はるかに怒鳴り声や、そのインド人が買っている数十羽の小鳥のさえずりの方が近所迷惑ではないか 』と 理屈っぽいことを思いつつも、宏はじきに深い眠りに落ちていった。

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