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2009年6月14日 (日)

第27話、”凹レンズ用反射鏡”

以前、凸レンズのプロジェクターシステムで用いられる反射面について、2軸楕円のイメージを説明しました(第12話)。今日は、凹レンズ式ヘッドランプシステムで用いられる反射面に関して説明させて頂きます。

反射光像を"スクリーン方向に向けて送り出す(作り出す)"という同じ目的を持つものなので、その反射面外観は、凸レンズ用も凹レンズ用も(一見したところ)同じに見えます。

(1)、凸レンズシステム用と、凹レンズシステム用との違い

前方スクリーンに対して反対側(レンズ背後)に"原像"があるのが凸レンズ用、前方スクリーンと同じ側(レンズより前)に"原像"あるのが凹レンズ用です。

ヘッドランプの場合、スクリーンは前方にあります。余談ですが、凹レンズを用いるガリレオ式望遠鏡では、見ている人の眼の前の前方25cmに仮想のスクリーンがあって、そこに出来る"虚像(原像)"を、人は見ているのです。しかし、光の進行方向という基準で見れば、ガリレオ式望遠鏡であっても、『凹レンズ(接眼レンズ)を越えた所に原像があること』に、変わりは有りません。

(2)、凹レンズ用2軸楕円の第二焦点

故に、凹レンズ用システムでは、凹レンズの 約25cm前方に、第二焦点を位置させます。 [25cm] と あえて言ったのは、"明視距離"を持ち出す事で、そこに設定される凹レンズの肉厚を、近眼の人が用いる凹レンズ(眼鏡)でイメージさせよう との意図です。 第一焦点は、原像付近に置きます。

(3)、凹レンズ用原像

第一・第二焦点が決まると、原像が、凹レンズの25cm前方に映し出される事になるのですが、凹レンズに入射しなければ、スクリーン像形成に寄与できません。今は、『原像が実は反射光像であって、適度なシェードでカットされ、形が整えられていて、その現像からの光は2軸楕円で反射後、全て凹レンズに入射出来る。』としておきましょう。

(4)、変な話になりました?

2軸楕円の話をしていたのに、2軸楕円でなくて"普通の回転楕円"で 原像が凹レンズを通してスクリーンに写像出来る話 になってしまいました。それでは、凸レンズシステムとの違いはいったい何処にあるのでしょうか?

1)、主光路比較 ・・・ 主光路が大きく(おおよそ直角程度に)折れ曲がっているのが、凹レンズシステム、 主光路が折れ曲がっていないのが、凸レンズシステム。

2)、原像以降の"光のロス比較" ・・・ 凸レンズシステムでは、凸レンズの内外表面で起きる反射ロスのみ。 凹レンズシステムでは、凹レンズの内外表面での反射ロス+楕円面での反射ロス。

これだけ見ると、楕円面での反射ロスが増えただけであって、凹レンズシステムの方が暗いランプになりそうですが、実は逆なのです。

皆様ご経験されている事ですが、凸レンズシステム(プロジェクターヘッドランプシステム)では、全反射の可能性もあり、通過率が意外に小さい! 特に、左右拡散角度を稼ごうとすればするほど、通過率(透過率)は下がるのです。

(5)、これに対して、凹レンズシステムでは、全反射は置き難い。

何故か? ・・・ 光線追跡の線を1,2本描画して頂くと納得頂けるのですが、凸レンズの方が、光線を大きく折り曲げているのです。

凹レンズでは、元々の像が凹レンズの前(250mm)であり、その像を+25メートル前方に移動させるだけで済む("角度で言えば数度の方向修正で済む")のに対して、凸レンズでは、"+数十度の仰角で進行中の光を、マイナス数度の方向にまで"、大きく変える作業を行っているのです。

この事を考慮すると、2)の光のロスの比較においては、『凹レンズシステムと凸レンズシステムとは、"どっこいどっこい"もしくは、凹レンズ式の方がロスは少ないらしい。』 と 結論付けられるのです。

(6)、奥行き薄型という観点から見ると?

1)、で、『主光路が大きく折れ曲がっているのが、凹レンズシステム』と述べました。 そうなのです。凸レンズが常識のヘッドランプの世界に、わざわざ凹レンズを持ち込もうとした訳は、"奥行き薄型化の可能性を探る"意図があったのでした。

凸レンズシステムでは、どうしても奥行き方向に長く長くなって行きます。普通に設計すれば、180mm(C-8置き)、短くても130mm(C-6置き)。 特に、遠方視認性を高めるべく、レンズの焦点距離を長くすると、それがダイレクトに奥行き長さに影響して来ます。

これに対して 凹レンズシステムでは、主光路が折れ曲がっているため、100mm程度の奥行で済むのです。(最小は70mm程度?)。遠方視認性を高めるべく、楕円の大きさをF=60mm程度に設定したとしても、奥行きは、120mm程度以内に収めることが可能と、分かって来ました。

長くなりましたので、今日はこの辺りで お仕舞い とします。

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コメント

第27話、”凹レンズ用反射鏡”読みました。面白かったよ。頑張ってください。

投稿: 河内 | 2009年6月18日 (木) 04時12分

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