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2009年11月30日 (月)

豪勢な昼食・食事抜き(食糧調達)

 朝起きて顔を洗ってご飯を食べて・・・と書く日記を”飯食い日記”という。
私が最も嫌う文章パターンだが、なにせ[ 衣 食 住 ]は生活の基本だ。
旅の中ではこれがどんどん変化する。この食事の話に触れない訳にはいかない。
( 脱線ついでに書きましょう。) この1か月の旅の中で、宏はたった3度だけ、レストランで豪勢な食事を取っている(ベルギーで2回、スイスで1回)。いずれも日曜日の珍事件。

ベルギーでの豪勢な昼食・夕食

 朝食をユースでしっかり取ってブリュージュに向かった旅の最初の日。
途中のアールストの町まで来ると12時近い。自転車に取ってのガソリンは飯だ。
さすがに空腹を覚えた宏は、オープンしている店を探してグルグルと回る。
たまに大衆レストランを見つけて入ろうとするが、中はごった返しており、「あと30分待って」と、申し訳なさそうに宣告される。

『 一人ぐらいなんとかなるであろう。』と思うが、若いマドマーゼルは中に入れてくれない。
『 身なりがいけないのかな?』とも思い、リュックからズボンを取り出して短パンの上に重ね着して、頼み込んでみた。が、駄目!
どうやら彼女達はテーブルを一人で占拠されることを嫌がっているらしい。
 宏は(相席)でも構わないと思っている。『相席の方がいい』と考えているのだが、その地方の習慣の違いからか、フランス語圏のため よく分からない。
 宏は次第に焦ってくる。

 ついに意を決して高級レストランのドアを押した。
ここでは空いたテーブルがあり、奥の方に導かれて行った。
7、8人が窓際のテーブルで、食事を共にしている。
奥は薄暗く、テーブルに着くとすぐに真新しい蝋燭(ろーそく)に火が灯され、辺りが少し明るくなる。フランス語のメニューを渡されるが、読めない。
 わずかに通じる英語と、わずかに思い出せるドイツ語とで、「自転車でブリュッセルから来たところで、大変お腹が空いている。」と伝える。

 「これが美味しい」と推薦してもらったステーキ料理は、確かにおいしかった。
ワインも勧められるままに取った。
ドイツ語で「1グラス分でいい。」と伝えたつもりであるが通じないで、勢いよく一本抜かれてしまった。
美味しい白ワインではあった。空腹感はなくなった。

 ウエイターもリップサービスに努めてくれたので、(旅行ガイドブックの知識に従い)10%のチップを付ける。 随分と高い昼食となった。
 窓際のグループの食事はまだ続いている。ヨーロッパの人々の食事の楽しみ方ビックリすると同時に、『昼食にこんなにお金を使っていたら持ち金が足らなくなる。夕食は質素にしよう。』と思った。
そう思いつつも、「俺は酔っぱらっただ~。 ・・ 天国にいちまっただ~(日本語の歌)」と歌いながらペダルを踏みだしていった。

 ブリュージュのユースに到着し、同部屋となったドイツ人・フランス人の二人と少し会話を楽しんだ。 6時過ぎになった。
「後で食事に出掛けるが、君も一緒にどうか?」と誘われた。
「市内見物に出かけたいので」と言って、宏は断った(内心では夕飯をケチりたかったのだ)。

 広場の大時計の針が8時を回った頃、あの二人と出くわしてしまった。
当然、「一緒に」と話がまとまる。 またまた暗いレストランに連れて行かれてしまった。 『・・、夕食の440ベルギーフランは辛かった。今後は工夫すべき。』と日記に、反省の弁を書いておいた。

『明日朝まで食事抜き?』の恐怖

 次の日曜日はドイツのケルンで迎えたが、何とかお金をかけないで夕食を済ますことができた。 その次の日曜日がスイスのバーゼル近郊。
ドイツ国境を朝方越え、いきなりの日曜日の昼食だ。(宏は朝飯抜きだった)。
勿論バーゼル市内には大衆レストランはあった。が、スイスフランにまだ慣れない宏は「高い」と感じ、通り過ぎた。

 1時を回って2時近くになっても、沿道で食料が手に入らない。
手持ちのチョコレートなどは既に食べつくしている。
突然思い出したように、『 今日は日曜日だ。下手をすると明日朝まで飯抜きになる!』 と、焦り始める。

 こうなると人は弱い。
とにかく食事にありつける所を手当たり次第に探しはじめ、沿道から1キロ以上離れた一軒のレストランにたどり着いた。(以下はその日記)。

『 昨日の日曜日は最悪で、スイスに入った直後だ。 街中の教会の鐘があちらこちらで鳴り響き、皆さん休みの日。 食べる所どころか食料品を販売している店がほとんど開いていないのだ。 2時過ぎになって、『こりゃあ大変』と思い、レストランに飛び込んだら、ボンジュールのかわいいお姉ちゃん!
隣のテーブルで配膳した後の余った料理までどんどん運んで来てくれて、私の皿に盛り足してくれる。 たら腹食い貯めたが、最高に高い物についた。 チップを10%あげたが、あの喜び様から察するに、スイスではチップの習慣が薄いようである。』
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ヨーロッパ旅行中の乞食?

 ドイツのバーデンバーデンの近くであろうか、小さな村で夕方を迎えた。
少々空腹を覚えた宏は、小さなスーパーを見つけて自転車を止めた。
明かりは点灯してなかったが(中に人影があったので)ドアを叩いてみた。
50才前後の背のあまり高くない"おばさん"が、いぶかしげに ドアの隙間から顔を覗かせた。

「日本から来た旅行中の者です。食糧が欲しい。入ってもいいですか?」
「・・どうぞ・・」と、躊躇気味にドアを開け、店内の蛍光灯のスイッチを入れてくれる。
 宏は気にもかけずにドアを押して入り、商品棚を物色していく。
おばさんは恐る恐る(?)宏について歩く。
食パンを取り、バナナを取る。更に缶詰棚の前に立ち、「(缶切りを持っていないが)これを食べる事ができるか?」
「これを食べたいのですか?いいですよ。開けてあげましょう。こちらに来なさい。」と、レジの奥に案内してくれる。

 缶切りとお皿を出してくれ、ナイフとフォークまで貸してくれる。宏は缶詰を開けて食べ始めた。(おばさんはそばで見ている)。
食べながら昨日はどこどこ、今朝はどこそこから走って来たと話をする。
 その内に水が欲しくなって、「ヴァッサー(水)が欲しい」

 「わかった」と言いながら、商品棚からミネラルウオーターの瓶を持ってきた。
「違うんだ。コップの水が欲しい。」と、蛇口をひねるパントマイムをする。
「ウン、ウン」と うなずきつつ、コップに水を汲んで来てくれた。
「バターをパンに付けますか?このオレンジ(機内食で出てくる小さなパック)は食べますか?」
 「ありがとう。」
段々とテーブルの上が豪勢になってくる。満腹になったところで、「残りのパンを持って行ってもいいかな?」と聞くと、包み紙をくれた。
「満足しました。いくらですか?」と聞くと、「お金はいらない」 との返事「・・?」。
 この時点になってやっと、自分が乞食に間違えられていることに気が付いた。

 宏は笑いながら、「お金を払わない訳にはいかない。これら食べた物は貴方の店の商品だ」 「いい。あげます」 と、押し問答している内に、「ちょっと待って」と言って、電話をかけ始めた。
 「今、私の息子がやってくる。ウニヴェルジテート(大学)に行っており、英語が喋れる」。

 既に誤解は解けていたが、おばさんはまだ、「プレゼントする」という。
「わかった。バターとオレンジは有難くいただく。しかし缶詰とパンは払わせて下さい。いくらですか? ここに値段をリストUPして下さい。」と言いつつ、ウエストポーチからボールペンを取り出し、皿の上に乗っていたナプキンを渡す。
 しぶしぶ値段リストを書いてくれた。
やって来た息子に事情を説明し、みんなで大笑い。
 (握手して)宏は、その店を出て行った。

朝の食糧調達の習慣

 スイスでの2日目の朝は、料理しないで食べられる食品を手に入れるのに苦労した。
スイスにその習慣が薄いらしい。
朝食なしのボロのペンションに泊まっていたこともあって、お腹がペコペコ。
 9時過ぎになってようやく食料品店を見つけた。

「サンドイッチが欲しいんだ」と叫ぶように言う。
察しの良いおばさんが、「肉を選びなさい」と指差しながら何か言う。
「この肉を!」と、宏も指差す。
大きな肉塊をスライスしてくれる。
彼女が更にパンを指差して挟む仕草をする。
「そうだ」と宏は首を縦に振る。

「ここで食べてもいいか?」
「いいですよ」と言いつつ首を縦に振る。
もう一つ作ってもらい、ジュースやバナナなどを仕入れて、ローザンヌへ向け出発して行った。
 朝から大量に食料を仕入れると荷物にはなるが、これだけは必ず実行する習慣が身に付いた。

 ケチケチの貧乏旅行も、既に半ばを過ぎている。
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