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2009年12月 2日 (水)

アルプス(ローザンヌ~ジュネーブ~シオン)

スイスの田舎ホテルにて
 『 6月13日(月) 今日は充実した日であった。朝方、曇ってはいたが直後に晴れわたり、ジュラ山脈 が綺麗であった。ビーラー湖、ヌーシャテル湖 とも 好天のせいもあって素晴らしい。暖かな一日であり、ここに来て初めて足から塩が吹いた(白くなった)。なめて確かめてみる。確かに塩っ辛い!』
 『 レマン湖畔にある(ローザンヌ直前の)小高い丘にあった田舎ホテル(40フラン)に宿泊。 フランス語が常用らしくドイツ語・英語共に通じないが、朝食付きであることは理解できた。 ここで初めてバスタブを使用。日本人の私は、シャワーよりもバスタブの方が好きだ。満足、満足!
 『 欲を言えばキリはないが、バスタブは身体を温めるだけにし、外のスノコ板(欧州には無い)の上で、ゆっくり洗いたいところだ( しかし、これは望む方が無理)。安い宿はシャワーやトイレさえ共同使用が一般的。
 『 一階はパブ兼レストランとなっていて、スイス軍隊服を着たお兄ちゃん3人を捕まえて、一緒にビールを飲んだ。 彼らはドイツ語・フランス語・ロマンシュ語・イタリア語の四か国語を話すとのこと。それを英語でしゃべっているのだから、五か国語に通じていることになる。
「 スイスは山国ではあるが、意外に平坦だ。マッターホルンとかモンブランなどの山々があまりに有名で、日本人は皆、スイスは山ばかりだと思っている。しかし、走ってみて、平らな場所が少なくないということが、この2日間でよく分かった。日本の方がはるかに山が多く、平野が少ない。」 こんな事をビールを飲みながら、しゃべった。』
Photo_5 一路ジュネーブへ
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(6月14日)、小高い丘にあった田舎ホテルを出たあと、ジュネーブまで風まかせに走った。 いきなりガット(GATT)の看板と建物を路上で目にした時には、中学校の教科書世界に飛び込んだような感慨を受けた。とにかく綺麗な美しい都市であった。

ローザンヌへの帰り道は電車としたが、駅員に自転車を取り上げられて当惑した。(本当にローザンヌで自転車を受け取れるかどうか不安でたまらなかった)。 結果的には自転車は返されたが、こういうトラブル時に、現地語(ジュネーブはフランス語)がうまく喋れないと不安はつのるものだ。
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車窓からレマン湖を眺めている内に急に薄雲が晴れわたり、湖の向こうにモンブランもあるであろうアルプス山脈がくっきりと現われて来た。凄いスピードで林や民家が間を遮るので、シャッターを切ることも出来ずに、ただ眺めている。「こんなことなら、帰りも自転車にすべきだった」と、欲張りの後悔をした。
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アルプスの山々   

6月15日 6:57  レマン湖畔のユースにて朝食を待っている。素晴らしい朝だ。アルプスが光り輝いている。早く出発したい!

9:51  「あれがモンブランか?」と、雪山が現れる度に聞いた。「モンブランはその後ろに隠れている。あれは3257mの小さな山だ。もう少し南に下れば見えるだろう」 少し前進する。 向こうの方に、もっと高い雪山が見えて来た。
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10:19  山間から大砲を撃ったような轟音が響いて来た。雪崩でも起こったのだろうと、勝手に想像する。 何度も聞こえてくる。 鉄砲の音がこだましているだけかも知れない。 玉のような汗が流れる。 さっき追い越した兄さんが、今度は私を追い越して行った。「ボンジュール」

15:12  シオンの町にやって来た。 立ち昇るのは雲のみではない。4機も、6機も、ジェット戦闘機が飛び出していく。 空を舞う。 丘の向こうにスイス空軍基地があるらしい。

16:34  ちょっと暑いけど絶好のサイクリング日和りである。空は青く澄み渡り、雲が雪山をかすめて行く。 追い風だ。 もう少しでシリオンの町だ。

17:38  360度全天パノラマだ。カメラに収まらない!

遥か彼方に三角帽子の形をした雪山が見えて来た。道路行く手、真っすぐ向こうだ。 『多分あの辺りの麓(ふもと)がブリッグの町であろう。』、と想像した。 その町が今日の目的地であり、明日のアルプス越えの出発点となる。 宏は走りに走った。 幸いにも追い風! 道はわずかに登り坂ではあるが、負担にはならない。 その三角帽子の雪山は、少しずつ、少しづつではあるが、大きくなって来る。

道路の両脇には背の高い並木がならび、リズミカルに自転車のそばを過ぎて行く。 その並木の間から、夕日を浴びた山々が刻々と色と形を変えていく。 昼間あった雲はほとんど消え、雪山は光り輝いている。 さらに自転車は進む。
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野中の一本道のそばに小さな水路が並行して走っている。 その水路の橋の上で、宏は小休止を取った。 三角帽子の雪山は、水路の向こうにどっかと陣取っている。 その山は「目」を持っていた。「一つ目のおばけ」、とも想像したが、妙に愛嬌がある。「白マントの人」のようにも見える。 車はほとんど走らない。静かだ。夕日だけがギラギラと後方から照りつけている。

更に走った。 わずかに道は左に曲がり、三角帽子の雪山が見えなくなった。 右手より小川が流れ来ている。 小川に沿って登山電車の線路が谷間を登っている。幅の狭い小川だが流れは早く、石を積み上げた土手も高い。雪解け水がまだ流れているのだろうか、川底の小石が一つ一つ見えるほどに透明度が高い。 宏は路辺の素朴な水飲み場で、頭から水をかぶった。

風はひんやりとして、短パンの足に心地よい。 もうブリッグの町は近いのだろう。『 この山向こうがシンプロン峠への道かもしれない。そろそろ宿探しをはじめなければ・・。』  この山の中での野宿は(宏の持つ薄い寝袋では)凍え死ぬ危険性がある。 ブリッグまで、あと10キロは有りそうだった。 『その間にペンションでもあれば泊まろう。』と思いつつ、勢い良くペダルを踏み出していった。

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