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2015年7月26日 (日)

「へその館」-6,7,8 《短編応募-4》・・訃報・諜報・F席・頓死・中野学校(旧日本軍スパイ養成所)

「よくそんな所で眠れるね。まるで乞食だ。」
「夜中の8時頃だったかな? 宏は突然、懐中電灯の光をまともに照射され面食らった!泥棒(不審者)がビニールハウスで寝ていると、農家の人に勘違いされたんだな。」
「そうだよな。夜中にビニールハウスの中で光がちらちらしてれば、誰だって怪しむよ。」
「でもね、宏が学生証を示し、必死で事情を説明したら、母屋に連れて行かれて夕飯を食べさせてくれ、布団で寝させてくれ、次の日には昼弁当まで持たせてくれたんだよ。確か、中野学校(諜報活動者要請学校)の卒業生だとか、その農家の主人は喋ってたらしいが」・・・

「終戦から20年経つか経たない頃だから、そんな出逢いがあったって不思議じゃないね。」
「それで北海道の話に戻ると、今でこそ日本の道路という道路は農道に至るまで、アスファルト舗装されているけど、宏が北海道自転車の旅を敢行した当時は、国道の内僅か〔1/3〕
しか舗装が施されてなかったんだ、国道がだよ。
あとの〔2/3〕の国道は未舗装だった。雨なんか降るとぬかるんで大変なんだよ。その泥んこ道と格闘しながら、ようやっと失恋の傷が癒えたというお粗末話。」
「宏の思い込みって凄いね。まるで巨人の星飛雄馬だね。『思い込んだあら試練の道を行くが・・・~』を、地で行った訳か。」
「あんまり道草食ってると(原稿枚数が25枚を越えちゃうので)、この辺で海外編に飛ぶかな。
 生れて初めての海外は英国だった。しかも、出張に強引参加という暴挙。 更に、『ここまで来たのならオーストリーのタングステン製造会社の工場視察をして来るべきだ。』と、帰国直前に言い出して周囲を説き伏せ、ドイツの”ミュンヘン(ミューニック)”に飛ぶんだ。32歳の宏がだよ。急遽の航空券手配はウシオ電機の専務さんがやってくれたけど、偶々空席がなくて、ファーストクラスのチケットで、ロンドン→ミューニック(ミュンヘン)への空の旅だ。一時間ちょっとだけどね。後にも先にも、F(ファーストクラス席)”に座ったのはこの時だけ。」
「かなり強引ね。でも数人での移動でしょ。」
「それが違うんだ。一緒に日本から行った先輩二人も、初めての海外出張だったのだけど、びびれちゃって尻り込み。若い宏だけが単独で、ドイツ語圏に飛び込んで行くんだよ。」
「めちゃくちゃだ。」
「飛行機の中で周囲に座っていたのはアメリカ人の男達だったんだが、何してる男達だったと思う? 当ててごらん。」
「そんなこと、わかんないよ。」
FBI の人達だったんだ。諜報の前線の活動ではなくて事務系の仕事だ、とか言ってたけどね。怪しいもんだな。諜報活動を兼ねての調査旅行だったかもね。意外に魔女の仕事と関連してるだろう、宏と出会う人々は。
 ついでに言うけど、宏と初めて海外出張した2人の先輩の内の一人は、それから4年後には頓死してるんだよ。これも不思議だろう?」
「原因は?」
「台湾に出向中に彼の母親が亡くなったんだ。父親は小さい頃に死亡してたので、後に残されたのは彼と妻と子一人。 帰国して葬式を済ませた直後に彼は死亡。」
「日本ではそれを”友引”と呼ぶらしいわね、ちょっと怖い話ね。」
「彼は宏の親友だったんだ。それが後日、仕事上のことで大激論になったんだな。その時勢いで、『あいつなんか死ねばいい』と思ったんだ。
その仕事が終って宏はウシオ電機を退職し、その一年後にスタンレー電気に再就職。招聘(しょうへい)だよ。若いのに招かれて請われて、入社するんだよ。
 それは兎も角、その転職の3年後に、東京駅でたまたま逢ったウシオ電機の常務から、その親友の訃報(ふほう)を聞かされたんだよ。」
「たまたまでしょ、偶然よ、そんな事。」
「ところがだよ。宏は入社二年目には前照灯ヘッドランプの新製品開発を成功させ、アメリカのデトロイトで開催されてたモータショーで論文発表の運びとなり、米国出張させてもらったんだ。その会場で少々ゴタゴタがあってスタンレー電気に招聘扱いの労を取ってくれた藤田部長(当時)に叱られた上、社長に頭を下げさせられるという事件があった。
 後日、(それから3年後だったかな?)、藤田重役(40才で重役へ昇進)は、テニスコート上で突然、心臓麻痺(しんぞうまひ)で、ショック死されたんだよ。」
「ええッ、それって本当にあった話なの?」
「作り話じゃない。実際にあったんだ。子供の頃からチョクチョク似たような事はあったのだけど、宏は別に気にしてはいなかった。 しかし、37才の旧友が突然死亡し、招聘の労を取ってくれた有り難い人が、宏が心の中で、たまたま、『どうしてこんなに俺をいじめるんだ。もうこりごり。いい加減に止めて欲しい。』と思ったら、年後に、本当に天国に行かれてしまうという事件が起きた。
 怖くなってそれ以後、宏は、『あいつ邪魔だな。』とは、一切思わないことにしたんだ。」
「その頃から宏は、知らず知らずの内に念力や超能力を発揮してたのね。本当に怖い話!」
「だから今でも、エホバの証人や訪問販売の人たちが宏の館を訪れて来ると、「よく来た、よく来なさった。まあ上がれ、お茶飲みねえ、寿司食いねえ、饅頭くいねえ、ラーメン作ってやるよ」って、もてなしながら、数時間、話を聞いてあげるんだ。
 もっとも後半は宏が説教する側だけどね。
      例の お玉じゃくし宇宙論 だ。」
「何?その オタマジャクシ宇宙論 ってのは?」
「手短かに言うとアインシュタイン思想に基づいた宇宙論だな、今日は止めておこう、またの機会に。
    エーと、それで何の話してたんだっけ?」
「アメリカへ出張した話に飛んでたところ。」
 ああ、思い出した。あの叱られた後、みんながショーの説明員として汗流してるのを尻目に、一人日本に論文発表者宏は帰国するだがね。帰りはシスコ(サンフランシスコ)空港で乗り継ぎの為という名目で(ご褒美として)安ホテルをスタンレー電気は予約してくれてたんだな。
 シカゴからシスコまでは6時間かかる。隣り合せになった人も、モーターショー帰りのオーストラリア人の政府高官だった。子供や妻の写真を見せ合って親しく会話が進んでいる内に、シスコ空港が近くなって来た。
『私は貴方に興味がある。私は一泊二百ドルのフィッシャーメンズワーフ港ホテルに泊っている。空港近くの安ホテルを引き払って、こっちに泊まれ、私の部屋は広いから』
『サンキュー。しかし、初めてのシスコだ。市内見物が一通り済んだら、電話するよ』と言って別れた。宏はタクシー使って彼方此方を見て廻り、金門橋なんかは徒歩で往復してタップリ楽しんだらしい。
OK。今、市内観光は済めた。」
「じゃあフィッシャーメンズワーフ港のこれこれいう酒場で待っているから来い。」
OK」となるわな。
それ以降、高級レストランを含めて数件を梯子して一緒に飲み歩く。二人は千鳥足。時刻は11時を過ぎている。
豪州(オーストラリア)政府高官が宏に向かって、「ちょっと俺の泊っているホテルで、ワイン入り紅茶を飲んでいかないか?」
「散々おごってもらった上に悪いな。じゃあちょっとだけ、お邪魔しようかな。」
 それまでの飲み食い費用はすべて豪州(オーストラリア)政府高官が払ってくれているので無碍(むげ)には断れない。波止場(フィッシャーメンズワーフ)近くにあるその物凄く高価な高級ホテルに宏は連れて行かれる。確かにその高級ワイン入り紅茶は美味しかった。もちろんルームサービスだ。
 その内に、豪州政府高官は、さりげなくそばに置いてあったホテルの案内書を手に取り、「このシアツ(漢字を当てれば指圧)っていうのは何んだ?」と宏に聞く。
「シアツってのは、指で体の要所要所に圧力を加えてキュアー治療する。こんな風に。」
『やって見せてくれ。』と言ったか言わないかの間に、そのオーストラリア(豪州)政府高官は真っ裸になる。」
ギ兄「その後はどうなるんだ?
   枚数制限があるんだろう短編小説は。」
「そうだったね、うっかりそのこと忘れてたよ。物事勢いってものがあるんで、ついでにしゃべらせろ。」
宏:『パンツ位い着けろよ。』
しぶしぶ大男がパンツをはいてベッドに寝そべったその上に馬乗りになって指圧の真似事を実演する。
何度か手が宏の腰に伸びて来たがその都度、適度にあしらう宏。『ザッツオール(はい、お仕舞い)』。感謝の意味かどうかは判らぬが、高官がハグして来るのに少しだけ応じた後、
『じゃあね、これで失礼。色々と御馳走さん。バイバイ。』と言って、部屋を抜け出したという訳だ。
  続きはまた今度だ。おやすみ。」
 バイオリンの精であるバ婆さんは、『なんでこんな話になったんだろう? まあいいか。』
と思いましたとさ。 
    おしまい  「へその館」編 終り
 Hiro. Oyama(ひろ.おおやま)

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