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2015年7月23日 (木)

「へその館」-3,4,5 短編文学作品4・・携帯電話の爆発・占い師との出逢い

ギ兄「やれやれ、凄い物見せ付けられちゃったな。
  ところで今、西暦何年だ?」
ギ姉「2014年らしいよ。桜はまだ蕾(つぼみ)だから3月!あと23か月したら蓮教寺の仏教婦人大会余興で御主人様が涙流しながら歌うんだよ。覚えてるでしょ、前の話?」
バ婆『ギ兄はもう忘れたな。恋情寺は近くだから、除夜の鐘も衝きに行くんだが、、』
ギ兄「おいおい、宏が呪文(じゅもん)を唱えながら、家の中をぐるぐる回ってるぞ。ああ呪文じゃないや、『かごめかごめ』の歌だ。何回廻れば気が済むんだ?気が狂ったのじゃないだろな、宏は。」・・・

ギ姉「あれまあ、食器が突然台所の隅に出現したわよ。今度は厚手の急須(きゅうす)が現れたわ」
ギ兄「コップの数がどんどん増えてるぞ!」
ギ姉「洗剤もコピーが次々に出現してくるじゃないの。さっき食べた饅頭(まんじゅう)まで再生してるよ?
  御主人様はバ婆同様に魔法が使えるの?」
ギ兄「今度は携帯電話機持って、ぐるぐる回りながら数字をもの凄い勢いで打ち込んでるぞ。今何千回目かな、いや何万回目かな?」
「あれえ携帯電話機が爆発しちゃッたよ。」
の粉が飛んでる

絨毯(じゅうたん)が焦げてる!」
「大変だ。火事になっちゃうのかしら。」
バ婆「大丈夫。絨毯が穴だらけになるだけさ。
  ほうら、消し止めたじゃないか、流石だね。」
「冷や汗流してるよ。 頭から湯気も出てる」
「宏は震えてるぞ。何かに怯えてるんだ。」
バ婆「ここはもういいから、三日後に、全員移動するよ。エイヤッ!」
     ・・・ 〈 時空間疾走中 〉 ・・・ 
「バ婆、ここは何処の道路ッ端?」とギ姉。
ギ兄「西条(東広島市)からの帰り道だよ。あッそっちは違う。左だ左! どうして右に曲るんだ? 左折しなきゃ、家には辿り着けないよ。」
「あーやっと気が付いてUターンして来た。」
「あれあれ、あれー。
  今度は通り過ぎて河内方向へ走っていくぞ。」
ギ姉「引き返してきた。?ムムム? なぜ通い慣れた道を間違えるの?左には曲がれないの?」
バ婆「時空間がずれてんだよ、今、宏は。」
ギ姉「御主人様頑張れ。念力使ってでも曲んなよ。真っ直ぐか右周りしか出来ないんだったら、クローバーターン方式で、270度回転してでも、"左"方向に進みなさいよ。ああ、イライラする。」
 宏は悪戦苦闘の末、夜中10 時過ぎに、這う這うの体で(ようやく)我が家に帰り着いたのだった。汗びっしょりだ。
バ婆「見ちゃおれないけど、見てやったかい? じゃあ、明日の夕刻へ移動しよう。 エイヤッ!」
    ・・・ 〈 時空間疾走中 〉・・・ 
ギ姉「ここは何処?」
バ婆「行き付けのスーパーFG(フジグラン)の2階だよ。既に、携帯電話機は新しいのに替えてもらっているな。これからだよ、興味深い出逢いは。 見ていなよ。」
「何か小さな看板を見てるぞ、占師:風凛?」
「数占い師さんに興味を持ったんだ。」
「丸っこい顔だな、まるで観音様みたいな顔だ。地獄に仏って顔で宏、話こんでるよ。」
「これが占師勝美女史との出逢いだ。後で頻繁に出てくるから、ここはこの辺でいいか。 次行くよ。3年前の東北だ。 なんとも忙しいねえ。」
  ・・・ 〈 場面変わって東北の山奥。〉 ・・・

「お婆、じゃなかったバ婆、ここどこだ? 宏が川沿いに警告無視して渓谷登ってんぞ。」
「ひどい被害じゃない? こんな山奥でも震災被害?。御主人様は、何しに来たんだろう、こんなへんぴな山奥まで、わざわざ。」
「一昨日まで福島県で泥掻き出し作業なんか、やってたんだよ。合間に大きな船が建物の上に乗っかってる現場歩きもしてたけど、お前らには別に見せる必要もないから省略した。
 原発風評被害のトマト収穫と無料配布作業なんかもやってたよ。世間のやつらは冷たいね、特に、福島県の放射能汚染地域に対してはね。」
「広島・長崎に原爆が落とされた時も、酷(ひど)いもんだったらしいよ、周囲のやつらの言動は。」
「あっ、何やら御主人様は見つけたよ。何? あの小さな石像は?」
「江戸時代に隠れキリシタンが密かに拝んでたマリア・キリスト像だよ。後の説明の必要上、お前らにも見せておいたんだよ。これは占師に逢う3年前だよ。この辺も背景にあって、占師と話込んでたんだ。あの後導かれるようにして40年ぶりに宏はキリスト教会の門をくぐるのだけど、『教会に行くなら庄原の教会がいいよ。きっと良い事あるよ。』だとか、『イスラエルにも数え歳の数え方の名残が有るよ。』なんて、宏に助言をしてやってるんだ。
 あの占師はね、若いけど大した霊感の持ち主だよ。確か、板金勝美とかいう名前だったよ。 宏の誕生日には”花束”まで買い求めて祝ってくれたんだ。
 その日本人の占師が、キリスト教会に行くことを宏に薦(すす)めるんだから、面白いだろう。それがきっかけとなって宏は旧約聖書筆読分析していくという、もの凄い作業 を数ヶ月続けて行く事になるんだよ。宏はその占師をマリア様の生き返りだとまで、思ってたよ。」
ギ姉「バ婆の話がくどくなって来てるよ。そろそろ場所移動しようよ。御主人様(宏)はもう寝袋に潜り込んで”いびき”立ててるよ。」
「そうだね。続きはまた明日にするとして、我々も寝るとするかね。時空を移動する旅人も、どういう訳か、睡眠時間は取らなきゃならないのがちょっと不思議なところなんだけどね。 これに関してはまだ私にもよくわかってはいないんだよ、いひひひひ。」
「変なところで魔女の笑いに戻るなよ。バ婆のままで居ておくれよ、少なくとも俺達の前ではね、お休み。」
  「おやすみ。」
     「お休み。」・・・
ギ兄「おい、バ婆!何時まで寝てるんだよう。そろそろ起きろよ。」
「ああ、もう朝か。鶏(にわとり)は回鳴いたかい?」
「何の話してるんだ?」
「あっそうか。ついうっかり千年前の夢みてたよ。」
「宗教がかった辛気臭い夢の話は、昨日散々聞かされて食傷気味だ。今日はもっと面白い話ししろよ。」
「そうだな。色々有る。ぞくぞくするような冒険旅行ならわんさかあるぞ。どれがいい?」
ギ姉「どこどこ、あるのよ。」
「国内なら北は北海道から南は九州、沖縄、石垣、西表島まで。海外ならアメリカ各地にヨーロッパ各国巡り、タイにハワイにグアム・・・だ。」
「そんなに色んな所に宏は行ったの?物好きだねえ、じゃあ若い方から。」
「それなら北海道編にするか。まてよ、最初はぐう、じゃんけんポンだから、ご近隣の山口県だな。ママチャリで小郡(おごうり)の伯父さん宅まで行ったついでに山口県を一周して来た話だ。」
「ママチャリって、おばさんの乗る前後に買物籠(かご)付いてる自転車のことだよね。それで広島から小郡まで行って帰ってこれるの?」
「ちょろいもんさね。伯父さん宅を基地にして萩・下関・門司・・を散策して帰って来てるんだ。その伯父さんは62歳で他界してこの世には居ないけどね。この話はいずれ別の機会にするとして、次が九州一周旅行かな。」
ギ姉「九州も自転車で廻ったの?隅から隅まで一筆書きで廻ったら、1千Kmは下らないよ?」
バ婆「その通りだよ。宏に取って初めての本格的な、チャリンコ冒険旅行だよ。」
動機は?そんなしんどい事する動機は?」
「失恋したんだよ、大学2年の時に。その傷を癒(いや)すために、飛び出していったんだよ。」
うぶな御主人様!それで傷は癒(い)えたの?」
「忘れられなかったらしい。勉強がちっとも手に付かない。何かするとすぐ、その女の子の顔がチラつく。彼女は確か大庭美里とか。」
「宏の大学時代というと、全共闘運動の真っ最中で、広大もバリケード封鎖されてたはずだよ。勉強なんてやれる訳無いよな。」
「それで、夜行列車で北海道へ向うんだよ。函館の町で自転車屋廻りを半日して、中古のサイクリング車を、6千円で手に入れ、旅の始まりだな。
丸1ヶ月で2千Kmを走り、焼尻・天売・利尻・礼文島も回った後、一筆書きで辿り着いた長万部で、その自転車を2千円で売っ払って帰って来た。
寝袋持参の野宿の連続で、結構スリリングな旅だったみたいだ。
 一番傑作な話はオホーツク海付近の山ん中で、土管の中で寝た話だよ。
 朝飯代わりのパンを買おうとして小さい店屋に寄ったら、『 昨夜、あんたは何処で寝てたんだね。一昨日大雪山で、学生2人が熊に食い殺されたんだよ。テレビやラジオで、今もその事について、ガンガン報道してるよ。』って聞かされたんだ。」
「一応は対策考えて寝たんでしょ、御主人様のやることだから。」
「土管の入り口は自転車の車輪で塞(ふさ)いでたよ。そちらの方に頭を向け、もう一方は足で熊の鼻先を蹴り上げるつもりだったらしいけど。」
「めちゃくちゃ危ないね。」
「しかたないんだ。自転車では毎日百Km進むのだけど、都合よく寝泊りできるユースとか旅館・ホテルには辿り着けない。勢い、バス停とか駅のホームのベンチで寝袋に包まって寝ることになるんだよ。
 九州の阿久根とかいう田舎で日が暮れそうになって一宿した場所は、農家のビニールハウスの中だった。」

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コメント

楽しい文章、読ませて頂きました。時計の異変や携帯電話の爆発など、とても信じれないお話しに、とてもビックリしました。
同時に、とても楽しく読ませて頂き、ありがとうございました。
 ヤオより。

投稿: ヤオ | 2016年8月24日 (水) 14時24分

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