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2015年9月10日 (木)

サンゴ礁が示す大増水の痕跡(氷惑星の謎より)

 「氷惑星の謎(高橋実著)」第Ⅱ部から転載させて頂いきます。
原書房殿、この書と第一作「灼熱の氷惑星」とは40年以上が経過した今も、価値ある科学書です。復刊を改めてお願い致します。
2、サンゴ礁が示す大増水の痕跡
《 「サンゴ礁」の謎 》
”サンゴ礁について我々はまだ、ほんの表面的なことだけしか知らされていないのだ”と私はつくづく考えるようになった。その表面的なことについても、しかしながら、一つの謎が昔からあった。
これはダーウインの頃から既に注目されていたことである。
 それはサンゴ礁がなぜ(現在)海面より上に顔を出しているのか?という問題であった。サンゴ虫は海棲生物なのである。しかしながら、地殻(の表面部)が極めてゆっくりとではあるが、沈降したり浮上したりすること(1年間に数ミリメートルという動き)があり得ると考えるようになった現在では、しかし、もうこの問題は解決している、と言ってよいであろう。
 おそらくサンゴ礁の基盤が少し上昇したのであろう。それで海水中のサンゴ礁が満潮位よりも更に上に顔を出すようになった。
 サンゴ礁はサンゴ虫によって構築構築の意味はすぐ後で述べる)されているのである。
実際、このさんご礁を第二次世界大戦の前後から、実験基地や航空基地として利用しようとし始めたそのことが契機となって、これから述べるサンゴ礁の深部の秘密を明らかにすることとなったところの深いボーリングが行なわれたのである。
 エニウエトク環礁において、それまで開発され、かつそれまでにさまざまな発見をしていた”深いボーリング”を、遂に徹底的に利用してみようという計画が実施されたのは、先のメモに記したごとく1952年(昭和27年)のことなのである。そうして記述の深さ(環礁の外側で1380m、内側で1260m)の所で岩盤に到達した。
同時に、
コアからは白亜紀の生物化石(サンゴ、浅海性の有孔虫)が得られ、当時知られている限りの(化石の)年代順にしたから上に追跡してゆくことが出来、このサンゴ礁が下から積みあがっていったものである、---と推定されるに至った。
 当時は、このような結果がすぐに大増水のしるしだとして喧伝だれるような、そういう思考環境ではなかったようである(註:増水だとしても、増水の原因となる事象があったかについて、適切な説明の出来るものがなかった)。
 しかし、サンゴ虫という生物資料と、ボーリングという方法に含まれている意味(とくに一般深海底の堆積物に対するボーリングとの対比)を考えると、上記に得た事実は相当確かな、ノッピキならぬ増水の証拠であると思われるので、次にその意味を列挙しておく。

 ●第一に、造礁サンゴは決定的に浅海性のものである。
造礁サンゴが活発に成長しているのが見れる深度は普通は45mまで、と言われている。この点が有孔虫(それには浅海性・中深度のもの・深海性などがある)と違って、素人へのわかりやすさの存するところである。なお、単体サンゴは各種の深度で生きている。

 ●第二に、サンゴ(の遺骸)自地性その場所に生きていた)のものであり、他地性ではない。つまり、別項にあるような堆積物は、他所からその場所に運び込まれるという移動・運搬の可能性があるが、造礁サンゴについては他所から来たものとは考えなくてもよいーーーという簡明さがある。
 実は、この点を私は先に”サンゴ礁は構築されたもの”と言ったのである。沈積または堆積に対比して、ことさらに事態をはっきりさせるような言葉を使ってみたのである。

 以上の2点(浅海性ということと、自地性ということ)だけで、おそらくこのエニウエトク環礁の岩盤(今は千数百メートルの海面下にある)が、かつては浅海の位置にあったという、動かし得ざる証拠として、必要かつ充分なものであるーーーと思う。

 というのも、たとえばこの後に列挙する幾つかのサンゴ礁関連事項の中の一つとして、環礁の成因考察を述べることは、かえって増水理論の証拠を探すためのマトをぼかすようなことにもなる。(註:後の平頂海山の頂面にあるサンゴの遺骸も、上記に述べた2条件を満たしている。)
 しかし、メモにも書いておいた”岩盤から今の海面まで、サンゴ礁の実体が積み上がっている”ということに対する説明は、他の研究とも関連があり、増水のなされ方(増水事象の生起に仕方)とも関連してくるので、次に便宜上、第三、第四・・・等の記憶しておいて頂きたい事項として列挙しておく。
(以下は、増水事象の直接証明としては不要である。しかし、サンゴ礁に関するすべての事象を、たとえば、今後私が提案する増水仮説案などが、隅から隅まで説明し切ることを要求しているものである。)

 ●第三に、サンゴ礁の実体の部分が予想以上に厚く、千数百メートルもの厚さに、かつ、多分億数千万年のうちに、
  今の海面まで積み上がって
いるということと、
   その実体のずべての部分(下の方も上の方も)が
      常に浅海の位置にあったーー
と考えざるを得ないーーということとを組み合わせると、
(a)、海はその頃に於いて、そのような速度で上昇していたーーーということになる。
速度とは、概算して、1億年に1000mである。(海の上昇速度)
(b)、同時に、造礁サンゴはその位置に於いて、(a)に示された海面上昇速度に追随できるだけの成長速度を持っていた。---ということになる。

 本項の中で特に(b)に示したのは一見すると蛇足のような条件であるが、この追随速度に取り残されると、海はどんどん上昇してしまい、浅海性の造礁サンゴは成長が止まり、残骸だけが残ることになる。
 そのような経過をたどったのが、平頂海山群の中の、いくつかの頂面に残っているサンゴ遺体の痕跡の由来であると考えられるーーーというような考察もあるので、この(b)に示された条件というのは、環礁以外のすべての(世界各地の大陸沿いの、あるいは島嶼沿いの)サンゴ礁に成立経過を解析するのに、重要な条件となっているように見える。なかなか、蛇足どころの条件ではない訳である。
 なお、とくに「天体M方式」のように、一時にドッ海面が上昇する場合に、上記に述べた追随条件が充たされるのか否か?(いっぺんに海が深くなれば、サンゴ礁の構築はストップ、そのまま海底に取り残されるはず。その辺はどうなるのか?)という問題は、読者には楽しみなところであろうと思われる。
       後述のお楽しみである。
 ●第四に、サンゴ礁の現在の世界各地の海域を通じてのーーー分布の仕方を記憶にとどめておかなければならない。
 私の最も注目したいのは、赤道を中央にして南緯30度の線と北緯30度の線で区切ったのような面積の中に、現在のサンゴ礁は存在しているーーーという点である。
 この存在の仕方は、前項の(b)に述べた成長の仕方と組み合わせると、かなり重要な意味を含んでいるように見える。但し、その説明はもう少し後の節まで待って頂く。
なお、前記ののような面積の中でも、最も集中的かつ広範囲にさんご礁が分布しているのは太平洋の(帯の部分、すなわち南北緯30度の範囲内で、かつ帯の中の)西半分である。具体的には、日附変更線の附近に位置するトンガ海溝のすぐ西側に隆起しているトンガ列島からオーストラリアの東岸までの地域(3000メートルほど海を干し上げると、ここには複雑な地形の陸地が現われて来る。つまり地域である。イマはその陸地にあった山の山頂が多数の島になっている)が注目される。
 オーストラリアの東岸には有名な大保礁(グレート・バリア・リーフ)とよばれるサンゴ礁の大長城が連なっている。

 ●第五に、これは生態系(造礁サンゴの)的な資料であるが、後述の試算に重要な参考となる事項がある。すなわち、
(造礁サンゴは)海水の塩分濃度が25~40パーミル(水1000に対する比)に限ってその範囲内で生きているーーーということが言われている。
 なお、水温にも適性範囲があり、摂氏18度以上、あるいはもう少し低くても生きている例はあるが、少なくとも16度以下では生きていられない、と言われる。
なお、高温の限界は35度で致命的になる、と言われている。
 更に、既述した深度の点をここで再録しておくと、適性深度は45m辺りまでとされているが、175mの水深から、生きているサンゴがさらい上げられた事例がある由である(註:ペルシャ湾にて)。
 以上で造礁サンゴに関する留意事項の列挙を終わるが、これらの諸事項は、すべて後々の試算のときに随時、回帰的に検討するものである。とくにサンゴの生きてゆき得る塩分濃度は後の「大融氷」の考え方に直接参考にするので、記憶に留めておいて頂きたい。
 最後に、サンゴ礁や環礁の成因について考える事は、わたしのような門外漢の慎むべきところかとも思われるが、一応「増水説」を提案する者の立場として、その考え方を述べさせて頂く。
Photo

 私の眼から見ると、たとえばグレート・バリア・リーフのように、大陸とか、あるいは島の海岸にとりついているような形のサンゴ礁(註:保礁および裾礁)は、ちょうど第Ⅰ部で陸棲動物が増水によって島に追い上げられた如くに、しかし、海水面というものを、逆に下の方から追い求めて上がっていったーーーつまり追いあがったーーーかの如くに見えてくるのである。
 そうして、この追い上げの出発点は、どうもイマの海面から測って3000m以上も下位のあたりらしく思えるのである。この推測は別の項での古生代の海水位試算から来ている数字であるので、別に述べることにしよう。
 ・・・ 続く ・・・

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