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2015年9月22日 (火)

T7 大海溝・大褶曲山脈は同時に、僅か1分間で造られた。

氷惑星の謎(高橋実著) 第Ⅲ部 3-3 より転載させて頂いています。
難解ですが、頭の体操にはもってこいの素晴らしい内容で読み応えがあります。
 この情景が頭に描けるなら、あなたの頭脳もノーベル文学賞級です。

3 氷のブルドーザー
《 超大仕事 》
 地球の前額部(第7図)が天体Mの熱い氷殻を、物凄い速度で破砕しながら通過してゆく時に現われる先頭部破砕点での圧力は、すでに述べたように、2000万気圧~3000万気圧に達している---と推定される。
 読者はこの超高圧力を受けた地球の部分(表面)が、何らかの変形を受けた---とは考えられないであろうか?
 私は、ずっと以前から、この氷殻の圧力が地球の上の大褶曲山脈と大海溝を造ったのではないか? という疑念にとらわれ続けていた。
 しかし、なかなか容易には、そのメカニズムを解明することはできなかった。
 『 メカニズムとは何か?』
まあ、むずかしく言ってみれば、”圧力をかけただけでは、仕事 にならない”という原理であるのである。
 仕事 というのは、エネルギーのことなのである。
圧力 というものには、それに面積をかけると全体の になるのだが、この力で物を、ある距離だけ動かさなければ、仕事をしたことにならないのである。
分かり易く言うと、山を動かす のである。褶曲山脈 を、何者が造ったにしろ、造る時には、山を シワ寄せ している訳である。
ブルドーザーが土地造成をするときに、土を一方に片寄せて、土の山盛りを造るように、
天体Mの堅固な、厚い(厚さは100Kmもある)氷殻が、大陸塊の端を押すようにして(註=この黒強調部分の表現が誤りであったか、または、誤ったイメージを誘発するものであることは、あとで説明する)褶曲山脈を造ったのに違いない---と私は考えた。
 この考えに私は1年ほど執着していた。
だが、どうも納得のゆくように力の働いたときのメカニズム(氷の位置や、力の方向、ならびに諸物質の 動き の方向や速度など)が解けないのである。
 私は、この問題での「原点」に当たる所の第7図に何度も立ち戻って考えた。それから、私は意地になって、もう一度詳細に”先頭部破砕点”と仮称している氷殻の最高圧力部の 動き を計算してみた。
 そうしてようやく、私の考え違いに気がつくことが出来た。それと同時に、ほとんど全部の疑問も解け始めたのである。

 私が、何を勘違いしていたのかを、お話しよう。それを話しておくことは、”氷のブルドーザー”という本節の題名にも関係があることだからである。私は、氷殻の外側で造山作業が行われたもの とばかり考えていた。だから”ブルドーザー”という名称を与えたのだが---。
 ところが、造山作業は氷殻の内側で行われていた。このことは、あとで示す第10図で明瞭に説明できるのだが、初めは何かを、私は勘違いしていた。
 読者に氷殻の外側と内側との違いを考えて頂くために、しばらく読者の頭の中で、自分自身を日本列島なら日本列島という褶曲山脈の側に立って頂く。 そして、太平洋の方を向いて頂く。 別の場所としてヒマラヤ山脈に立って頂いてもよい。その時はインド洋の方を向いて頂く。
 さて、天体Mの氷の壁が太平洋の方向から押し寄せて来て、日本列島に褶曲圧をかけた---と考えるとき、山側は氷殻の外にある。氷殻の外側が仕事をする、という考え方は、このように天体Mの氷殻が海の側から寄せて来ている---と考えていることに相当する。
 同じことは、ヒマラヤ山脈の場合にも言える。読者がヒマラヤ山脈の上に立っておられるとして、氷殻の壁はインド洋の側にあり、天体Mの水圏もインド洋の側に来るわけである。読者は壁の外の空気の中に立っている。
 そして、この壁が北方(読者の方)に動いて山脈を造った---というのが”壁の外側で作業をする”考え方なのである(これは間違いであったのだが)。
”壁の内側で作業が行われる”という考え方だと、以上述べたところと逆になる。
 やはり読者の心眼を日本列島の上に置いて頂く。太平洋の側を向いて、その現前に天体Mの氷殻の壁を置く。
さてこの時、天体Mの水圏は読者の側にあるのである。造山作用は水圏の中で行われている。
壁の外側は空気で、そこに太平洋がある(インド洋でも同じ、ヒマラヤは水圏の中、インド洋は大気の中)。
 引き続いて読者の心眼を氷の壁の内側に置いて頂く。この場合は心眼だけを置いてもらえばよい。肉体ごとそこにおいておかれると、アッという間に窒息---どころではないからである。
 さて、氷の壁に位置は(造山作業中)じっと一つ所の近所に、数十秒もの間、留まっていることがあるのである。実は、このことが分かってから、初めて私は天体Mの造山作業が理解できるに至ったのである。氷の壁の位置がほとんど動かないときがあるのである。
 それでこそ、天体Mは地球上のある一ヵ所で仕事をすることが出来る。
但し、氷の壁の内部では、氷(部分)が地球に対して、秒速数10Kmで動いている。この(内部での)氷の動きが、地殻のデコボコ突っかかって動かなくなると、超高圧が現われるのであった。
 壁の位置は動かないが、内部物質は激しく流動しているのである。(註=氷の壁自身は地球表面に対し60度前後の角度で突っ込む、これは後述してある。このあと氷の壁は内側に折れ込んで地表面に沿って動く。)
 氷の壁の位置は、あとで図で説明するが、緯度または経度にして15度ほども、行きつ戻りつしている(あるいは、していた)ようである。この動き方がまた、私に天体Mの造山作業のやり方を一層よく納得させるものであった。それはブルドーザーというよりは、むしろ、ローラーの動き方に似ていた。
 そして、一連の横の褶曲山脈が一本だけ出来るのではなく、それと平行に走る何列もの山脈つまり 縦深のある褶曲山脈の群 が同時に(一回の衝突で)出来る可能性を示していた。平行に何列にも並んだ褶曲山脈が1回でもできると思えて来たのである。

 緯度または経度にして15度というのは、地球表面の実距離で言うと 1500Km 程度になる。そして、行きつ戻りつ の折り返しの所で、最大の破砕圧(氷殻が圧壊している)をかけながら、約50秒以上もの間、一ヵ所に留まっているときが、あったのである。
 天体Mはそこで、じっくりと超大仕事をやってのけていたのであった。
こう考えて、私は初めて、地表面での最大の褶曲構造であるらしいヒマラヤ山系と、その前後に連なる一大山塊の群ができた理由を了解し得たような気がしたのである。

《 大海溝と長い褶曲山脈の出現 》

Photo_2 第9図は氷のブルドーザーが、地表面に当てがわれる位置とか角度とかを解析する作業の案内図である。
これは既掲の12段階に分けた分解図(第7図)の一つを、地球の進行方向(相対方向)を横にして描いたものである。
例として、第四段階のものが、とってある。

1  第10図が、前項に述べた氷のブルドーザーの内部(氷殻の内側)の、物凄い破砕圧のかかり方と、氷の動きなどを幾らか分かり易く描いてみたものである。

読者は海側に立たれよ  この第10図を見るときに、読者は、いずれにしても氷殻の外側に立っているとして考えて頂くとよい。
この図では向かって側が太平洋側(あるいはインド洋側)で、側が天体Mの水圏である。
上述の立場がちょっと分かり難いと思われる日本の読者は、仮りにこの図をベーリング海峡の方から日本を眺めて見たものとすれば、左手に太平洋があり右手に日本列島があるという感覚が出て来るであろう。
壁は止まっている  さて、この立場から、読者の面前にある氷殻 を見て頂くのである。
壁はこの図の1分(60秒)前には右方向約110Kmの位置にあったが、1分後には再び約410Km右方に遠のいてゆく。 この壁の動きは第9図(一つ前の第9図)の曲線で示してある。
地球は高速で動いている  壁は一時止まっているように見えるが、地球と天体Mとは相対的に秒速30Km/sec の高速で動いている。その動きは、第10図ではどうなっているのか?
 地球は白い大きな矢印Eの方向に動いているのである。
この地球の上に立って、壁を眺めている人は、天の方向から垂直(の感じ)の方向に、地球に向かって秒速30Km/sec で突っ込んでゆく宇宙的規模の「氷の壁」---氷の滝---を見ることになる。
氷殻の圧壊  天体Mの氷殻は、ほぼ前述の地球の動きに真っ向から立ち向かうような角度で地殻へと突っ込んでいっている(白い矢印M)。
図の a ブロックの氷殻は、おそらく 5~6秒後には b ブロックの位置に来る(秒速30キロ)。 ブロックでは物凄い圧力で氷殻の圧壊が起っている。 ブロックの氷塊は、おそらく壊れてはいるが、分子構造としては固体なのではないか? と思われる。
海溝と褶曲性隆起  図にはトンガ海溝の例をとって、ほぼ実際の断面に近い形(註=水平と垂直の縮尺比率を同じにして、ということ)で描いてみた。
Tは海盆から海溝への傾斜の始まっている所で、Bは海溝のボトム。
 トンガ海溝ではこの深さが10882メートルであるが、それは海面からの深さである。図の水平線ならぬ地平線は海盆の位置を示す。イマの海面はこの位置からさらに上に5Km 上がっている。
 P点がトンガ列島の頭部である。
P点の位置がイマの海面にほぼ近い。
 この海溝の断面図が、あるいは読者に意外な感を抱かせるかも知れぬ、それは一見して、大変にゆるやかな傾斜のように見えるであろう。
だが、そうではないのである。
 PBの間は75Kmで、高さは約10Km違う。この傾斜は、ガンジス川の大平原から見たエベレスト山までの傾斜より2倍も急なのである。エベレストは(平野の裾から)150Km離れて、8.8Km 隆起しているからである。
TBの傾斜は海溝での海側の傾斜である。
 これは90Km離れて高低差が5Kmである。
  PBの傾斜(陸側)は7.5分の1、
   TBの傾斜(海側)は18分の1。
 この海溝の両側の斜面の、それぞれの傾斜の差は、意味がある---と思われるが、これは暫時保留し、今はその前に、こういう傾斜をまず造り出した力のほうを考える。
この図の氷塊の b ブロックの動き(白い矢印E2)と c ブロックの動き(白い矢印E3)を考えると、私の判断は決まってくるのである。
TB斜面には(それを海盆方向へ押すような)褶曲圧はかかっていない。
PB斜面にはそれを陸側へ押すような褶曲圧がかかっている。

 このような圧力のかけ方をしたのが、第10図に示された氷殻の先頭破砕点と、その後に続く氷の動きなのである---と理解される。”氷のブルドーザー”は実に、このようにして、第10図のような位置で大海溝と大褶曲山脈とを造った---と、私には思われる。

 私は、2冊の著書「灼熱の氷惑星」「氷惑星の謎」を読んで感服し、故高橋実氏の名誉回復運動を試みています。本格的なブログ活動は6年前からでした。
  2015/09/22 大山宏

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コメント

ヒマラヤ山脈がいちばんきれいなまるい地形となりますね
google で砂漠を中心にきれいな円形がみえます。
Himalaya prettiest round topography and will be on google looks round the central desert.
 その通りですね。ヒマラヤ山脈が一番きれいにまとまっている地形です。分かりやすいです。他も探してごらんなさい。40か所ぐらい見つかりますよ。そのことを夏休み研究レポートとして報告すれば、きっと総理大臣賞を受賞することになるでしょう、あなたの先生が頑固率100%の人でないことを祈っていますよ!
 It is the street. Are most neatly organized Himalayan terrain is. It is easy to understand. Search the others. You will find about 40 locations. Would you to that report as a summer research report I'm sure Prime Minister's award for winning, I hope that your teacher is in the stubborn rate of 100% of people! Hiro. Oyama(ひろ.おおやま:大山宏)

投稿: sky | 2019年4月11日 (木) 00時49分

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