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2015年11月15日 (日)

漢和大辞典はこんなに便利。音声分析学や音声意図学にも貴重。

概要: 漢和辞典は中国の文字の解説書だろうと一般には思われていますが、ヘボン式で解析してみると、意外にも古代の日本語の姿も見えて来た。 歴史時代の言語の発声音の意味研究や太古時代のことばの研究:(音声意図学音声意味学)にとって、貴重な資料を提供してくれる可能性を漢和辞典は内包している。

 漢和辞典の良さって知ってますか?
漢和大辞典(学研)の音訓索引が、意外にも、古代中国語の特質や古代日本語の特性を探る上で、大変役立つことがわかって来ました。
 今日はその紹介です。

第1表 現国(広辞苑・国語大辞典・漢和大辞典)ave
            あ   い   う   え   お   計
現国A       87  81  54  33   85  
341
現国K C Q G 168 107  66  67  133  540
現国S J Z     83 231  51  69   52  484
現国T D      97  53  49  46   85  329 
現国N        44  30   8  15   20  117
現国H B P V  98  75  73  29   59  333
現国M       45  40  22  20   34  161
現国Y       31   0   27   0   36   94
現国R L      14  28   6  13   16   77
現国W   
   22  ・・・  ・・・  ・・・  ・・・   23
現国ave    690 644 357 291 518 2500

 この第1表は、先日標準テーブルとして設定した、現代国語の〔あいうえお(いろは)〕分析表です。
広辞苑(岩波)、国語大辞典(学研)、漢和大辞典(学研)をヘボン式分析してみたところ、ほとんど同じ分布表が得られたのでした。そこで、それら三社のテーブルを平均化して、現代国語の平均化表”現国ave表”としたのでした。

 知っての通り漢和辞典は、他の辞書とは大きく異なった形態と特質を備えています。
中国の古代の漢絵文字を日本文化にどのように取り入れて来たかという歴史の塊りみたいな本なのですからね。
 でも、この漢字の辞典から、国語辞典や広辞苑とほとんど同じ〔あいうえお〕分布表が得られたのですよ。
 どうやったら、その結果が出て来たのか、お話ししましょう。
 日本国でまとめられた漢和辞典なら、必ず末尾に「音訓索引」なる付録目次がついています。これを利用して漢字の数を数えあげたのです。
【あ】で始まる言葉(ことば)には、漢字が何ページ分割り当てられているか?
【い】で始まる(ことば)には、何ページ分、割り当てられているか?
【う】には、何ページ分、割り当てられているか?
【え】には、何ページ分?
と、いう具合にして、重複を無視して、お仕舞いの【わん】まで数えてみて、テープルを作ってみたら、国語辞典や広辞苑とほとんど同じテーブルが得られたという訳なのです。

 どうしてこんな事が起きるのでしょうか。
理由が知りたくなるでしょう?
ここが”みそ”なのですが、私は科学者の端くれであり、結論を先に書く癖(くせ)が付いていますので、先に教えてさし上げましょう。
 それはね、
日本人が漢字文化を取り入れる過程で、古来から日本国にあったことばの意味に対応する絵文字を取り入れて来たからなのです。
『ああ、そういう意味でこの絵文字を使っているのか。だったら、我々のこれまで使っていたこの言葉と対応している。⇒この字(例えば、「」という絵文字)は、我々の言葉の「おおやけ」という音声に当る、、、という具合に、取り入れていったのです。
 でも、中国では、そんな呼び方(訓読み:くんよみ)をしても、ちっとも通じません。
 中国の人々は、その絵文字でどんな音声を発しているか、と言えば、「」のことを「」とか「コウ」と呼ぶだけなのです。
そこで、お付き合い上、「おおやけ」のことを言いたい時には、中国の人々には、「コウ」と呼びかけることを書き留めていったのでした。

 漢字は、8000文字とか1万文字とかありますが、これら当時のすべての漢字に対して日本名を与えると共に、中国の人々の呼び方も、カタカナで併記していったのでした。
このカタカナ併記のことを”音読み(おんよみ)”と言うのでした。
これを、辞典の末尾に「音訓索引」として、日本人はくっ付けたのです。
 ですから、「音訓索引」の中で、
カタカナ表記がされている部分は、中国語(外来語)であり、
〔ひらがな〕表記部分は、日本古来から使って来ていることばの解説がなされているという事。
これが、漢和大辞典の”みそ(味噌)”だったという訳です。

 ということは、音訓索引を参照するならば漢和大辞典は、当時の日本語と中国語の両方が書かれた話し言葉の解説書だったということ! ⇒ 広辞苑や国語辞典と同じ「あいうえお」使用頻度分布表が漢和辞典でも(同様に)現われて来ても、ちっとも不思議ではないのでした。

 では、カタカナ表記がなされている音読み部分だけで、ヘボン式分析表を作ったならば、どういうことになるのでしょうか?
 ちょっと考えてみて下さい。

第2表 音読み訓読みの
区別を無視した漢和辞典の調査
        アあ   イい   ウう    エえ   オお   小計
a i u e o  1268  931    790     467   1127   4583

か・・K   2103  1402 1002  1153  1712  7372
さ・・S   1048  2829  765   835   742   6219
た・・T   1398  607   828   402  1083   4318
な・・N    537  408   132   163    289   1529
は・・H   1260 1112   780     417   845   4414
ま・・M    634  541  315    208   451   2149
や・・Y    435       415          529   1379
ら・・R L     165   323  121    165     186    960
わ・・W    337     ・・・      ・・・        ・・・      ・・・     337
   計    9185  8153 5148   3810  6964 33260
☆、漢和大辞典で、音読み訓読みの区別をしなかったときの調査結果です。
訓読みと音読みとで最低でも2回は出て来ますし、中国でも、同じ意味に複数の絵文字を充てていることが多いこともあって、総計の文字数は、
万個を超えてカウントされています。
☆、この第2表を、他と比べやすいように、
標準2500に校正し直したものに変え、広辞苑や国語大辞典と比較してみたのでした。
第3表  
漢和大辞典〔訓読み〕分析(集計表) 
      あ   い   う    え   お     計
aiueo 
841  478  505   94  659  2577
か行  
885  234  433  86   343  1981
さ行   434 442  298   88  163   1425
た行  582  86  574  27   406  1675
な行   348 139   78   62  195   822
は行  564  400  273   57  186  1480
ま行   381 290  178   89   207  1145
や行  282      163        227   672
ら行     5   3    3     4      0    15
わ行  200    0         0      0    200
合計 
4522 2072 2505 507 2386 11992

☆、 
訓読みしたときの頭文字が〔あいうえお・・・〕の漢字数をカウントした結果です。
絵文字数は、1万2000個弱、がカウントされました。第2表の3分の1になっています。
現在、日本語に溶け込んで使われている数は、2000~4000語でしょうから、この4分の1程度が日本人になじみの深い漢字です。
第4表 漢和大辞典(
音読み頭文字)分析結果
漢(カナ引) あ   い   う    え    お   計
a i u e o   
19   37  19   50   38  163  
K C Q G 【 513+ G181)】          694
S J Z
   【 441+JZ(187】         = 628
T D
    【 237+ D( 73)】          310
N
     【  50        】         =  50
H B F P
210+B(138)+F(0)+P4)】 =  352 
M
     【 83                  =  83
Y  
     【 72                   = 72
R L  
  【 139 】                 = 139 
W     
 【 10 】                  =   10  
 計    457 762  261  465  555 2500
            
総計:2500ページ
★、 カタカナ表記で音訓索引に記された音読み文字数を数え、それを標準2500
に直し、更に、英語やフランス語などと比較がしやすいように、子音のグループ化を図った表です。
★、 日・英・仏・独・スペインの五カ国と比較してみることで、色々と面白い結果が得られました。
ブログにはその都度、失敗を恐れないで正直に報告・記載してきましたが、一番面白かった(興味深かった)ことは、この
表が、2千年前ごろの中国語の分析表であることがつかめてきたことでした。
 それともう一つ、
☆、第3表を標準2500ページ化した第5表(以下を参)が、古代の日本語の特徴を
色濃く持っていることが明確になって来たのでした。
★★、こんなことを聞いたことはありませんか?
 『 ある本を手にした時、そこに書かれている内容の内の
割以上をすでに知っていなければ、その本は読めない』って話を聞いたことはありませんか。
 そうなのです。

中国から漢字を「便利な絵文字(道具)」として導入する以前に7割以上、それらの漢字が意味する概念を日本人は知っていたから、『ああ、その意味なら、この漢字を充てよう。あのことなら、この漢文字の意図はこうだ。』と、翻訳書物(漢和辞典)が出来上がってきたのでした。
同時に、日本に古来から伝わって来ている「大和ことば、あるいはアイヌや熊襲(くまそ)ことば」などとして伝わっていた古語に対して、漢絵文字を充てがっていけたのでした。

 古代の日本住民は、大自然に
はぐくまれてき続け、文明や文化を石に刻み込むことはしませんでした。後世に伝えるべきことは、語り部を通じての伝承や、わらべや古老の語りことばだけで充分でした。日本語には有史以前のことばの歴史の博物館みたいな側面があります。
このことを、世界中の人々に分かって頂ける時代が巡って来ました。ヘボン式分析が言語学上の重要な研究手段となるような時代が巡って来たような気がしています。この希望と興味を持ちつつ、太古の時代のことばの研究を続けたいと思っています。
  2015年11月14日  Hiro.Oyama( 大山 宏 )

第5表   漢和大辞典(訓読み)分析表 ・・・ 2500
大和音   あ   い    う    え   お     計
あいうえ・
175  100  105    20  137     537
かきく・・ 
184   49   90   18   72    413
さしす・・   90   92   62   18   34    297
たち・・・   121  18   120    6   85    349
なに・・・     73  29    16   13   41   171
はひ・・・  118  83    57   12   39    309
まみ・・・   79  60    37    19   43   239
や・ゆ・よ  59  ・・・    34        47    140

らり・・・   1     1     1     1     0     3
わ・・・・   42     0         0      0      42
訓読計 
943  432  522  106  497  2500

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