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2016年1月14日 (木)

S3 灼熱の氷惑星 : 大水圏

大洪水が起こった。
・・・あたり一面くらくなり、黒い色の雨が降り始めた。
  雨は昼も夜もどしゃぶりに降った。・・・
         このようにして 人 は滅びてしまった。

  (南米インディオの伝承古文書『ポポル・ヴフ』)より

1 天体Mは、こんな構造をもっている

第Ⅱ-1図は著者が考えた天体Mの、おおよその構造図である。
M_2
並べて書きそえた地球の構造の断面図と比較しながら説明する。
大切なのは天体Mが核(コア:core)をもっていることで、次に核を中心としてそのまわりに膨大な量のミズ(水:HO)があることである。
この部分を殻と呼び、また水圏とも呼ぶことにする。
水圏の外側は凍結していて氷層を形づくっている。

《天体Mの大水圏》

水圏の厚さは膨大なものであって、これを地球の海の深さと比較すると、かれこれ1000倍近くにもなる。

地球の海の平均の深さはおよそ4000メートルとみてよい。
天体Mの水圏の厚さは3000キロメートルないし3600キロメートルと思われる。
この計算は後で集水仮説の所でさらに詳しく説明する。
・・・、
《コーリかミズか?》

天体Mの外形の全体の大きさは、地球とほとんど同じか、または少し天体Mの方が大きい程度と推定している。
この推定の理由を、集水計算のところで明らかにするが、とにかく、二つの意味から、この外形の大きさは重要なので、その意味を、あらかじめ心得ておいていただきたい。

その一つの意味は、外形の大きさが星の等級を推定するときの一つの基準になることで、これには後世この天体Mがパロマ限界の中に姿を現した時、どの距離で何等星になるのかを、今から、あらかじめ知っておくことができるという意味がある。

第二番目の意味は、衝突力学と災害評価を行うのに、水圏の深さというものが、最大の基本になるからである。

天体Mの表面における万有引力の強さにも、また水圏の内部水圧の計算にも、それは根本的に重要である。

こうしたことから、集水仮説のような難しい仮説のことも、あえて読者に読んでもらうことになる。・・・という点を諒解しておいてもらいたい。

さて、第Ⅱ-1図の概略の案内をもう少し付け足しておきたい---詳しくは、すぐ後で述べるとしても---。

読者は第Ⅱ-1図に示された天体Mの膨大な深さを持つ海を”魔の海”のようにご覧になるであろうか? 何があるかわからない---と。
それとも読者は---
いくら深いといっても、ミズはやはり、水であることに違いあるまい、と思われるであろうか?
科学的に厳密にいっても、最後にあげた表現の方が正しそうだ。
ミズが凍結して個体になった状態を片カナでコーリと書き、またその物体を漢字で氷と書き、それに対し液相のミズを漢字で水と書くわけであるが、ここまで厳密に区別してかかっても、前述の最後の表現は正しいと言えそうだ。

つまり、後でわかるが、天体Mの内部水圏は液相になっており、流体なのである。このことが、衝突力学において決定的な意味をもってくる。

だが、液体すなわち水であるにはしても、その温度が摂氏800度あるいはそれ以上になっていると知ったら、果して読者は平然としていられるであろうか?

”やはり、これは相当な難物だな?”と思われるに違いない。
Photo_2

《コーリかミズか?》

摂氏800度といっても、それが蒸気になる心配は、天体Mの場合は、ほとんど考えなくてもよい。

というのは、
この程度の温度ならば1000気圧前後の圧力で抑えられるのだが、天体Mの構造図に書き込んである圧力の数値をみれば、1000気圧という圧力は極表面の、薄い水の層に相当する圧力であることがわかる。

深層部では、20万気圧を越える圧力がかかっているから、こういう状態では蒸気になる、ならない、は問題外である。問題は、むしろこの深層部がコーリなのか水なのか、である。

圧力の方が大きいから温度がもし低すぎればコーリになる。

コーリといっても、ここでは摂氏数百度といった熱いコーリであり、第Ⅱ-2図に示したミズの状態図でいえば「コーリⅦ」と呼ばれる状態である。この第Ⅱ-2図は、天体Mの深層水圏が果してコーリなのか水なのかをみるために掲げた。

しかし、コーリⅦの状態は約5万気圧までしか明らかでないため、それ以上の圧力に対しては憶測に類する程度の考え方で曲線の方向を伸ばしてみた。従って、この図の矢印で示した23万気圧の所が、はたして摂氏の何百度でコーリから水へあるいは水からコーリへ変態するのか、定かではない。

しかしながら、実際の天体Mの温度が、変態点より高ければ水になっているし、低ければコーリになるわけだが、天体Mの生成熱の計算などから、現在はまだ水であるという判断の方に著者は傾いている。

今後数十億年経過すれば、明らかにもっと温度が低下して、コーリになると思われる。

深層水圏の状態がコーリか水かということは、状態図だけでは、右に述べたように、必ずしも決定的な結論が得られないが、後で全体の仮説体系を回帰的に検討しなおしていくという方法でチェックできる。

その上に、実際の温度は摂氏1000度を超えているのではないか? と思われるフシのある事象にもぶつかる。

これは核すなわちコア(core)の表面温度が千数百度くらいはあるのではないか? という考えによるものだが、後の章で各種の異変を総点検する段階で、コアの表面の岩石や鉱物のうち、あるものは熔融して流動状態にある(あるいはあった)、と考える方がよいと思われる事も出てくる。ただ、こういう高温度も、10億年単位で計算するとかなり変わってくるという事は、常に念頭において頂きたい。

もちろん、太古の方が高温で、10億年後の方が低温であることはいうまでもない。そして今のところ、天体Mの殻は液体であり、物質はミズ、そうして表面にコーリの外被がある、と結論しておく。

表面のコーリは、念のためいっておくと、ツメタイ氷である。なお、アツイ氷は前述の流体結論により、出来ていないということになる。

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