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2016年1月14日 (木)

S4  魔の海を包む氷層

《魔の海を包む厚い氷層》

さて、少し話をもとに戻して、読者がこの天体Mの大水圏を”魔の海とみるか”ミズは水”とみるか・・の話に帰ってみよう。

ミズはやはり水であったわけだが、それでも摂氏800度、あるいは1000度もの水となると、いささか”魔の海”めいてくる。そこで少し、雑談めいた話をしておこう。この”魔の海”、表面は厚い氷におおわれている。厚さ、30キロメートルから70キロメートルというのが、始原氷層の厚さだ。

しかしこれも天体Mの履歴によって大いに変る。例の回帰検討によると、1億年前くらいに地球との大衝突で氷殻の1割か2割くらいの面積は壊滅したかもしれないと見られる。

壊れても、氷の厚さは変わるまい・・と思っていると、どっこい、深層水圏の高温度の水が大攪乱で表面に出てくると、氷をとかしてしまうではないか? と思われたりして、容易に即断を許さない。薄い所は新生氷層で厚さわずかに100メートルくらいの所もある・・と計算されている。

次の話題。この”魔の海”明るいだろうか? 暗いだろうか?--ということを考えてみよう。

ここでの回答は簡単で、もちろん、マックラヤミ。地球の構造図と比較して見ると、厚い天体Mの氷殻は地球の地殻(crust)に当り、水圏は地球のマントルに当る。こう考えると、この魔の海は”閉じられた世界”で、この海に太陽の光はあたりそうにもない。

もう一つ。この海に、潜れるだろうか? この”閉じられた海”は永劫の闇の世界のように見える。この愚問にはここでは答えないでおこう。読者も、こんな海に人間が潜る機会があるとは夢にも思われないであろう。それで結構なのである。

ただ、一つだけ思い出しておいて頂くべきことがある。どんなに深いにしろ、水は水だ!ということである。いつかその意味がわかる。

2 謎の天体は地球型天体(固体天体)ではなかった

天体Mがミズ天体だとわかってからはじめて、全部の仮説体系---いろいろな要素仮説のつながり具合というようなもの---が、すらすらと解けてきた。二つの天体すなわち地球と天体Mとの、衝突の確率の計算の具合も、ミズ天体だと考えて初めて納得の出来る数値となった。

この経過を読者は至極あたりまえの事だと思われているに違いない。まったく、固体天体であると考えた天体Mから、ミズが地球に移るというのも、おかしな話ではある。しかし、ミズ天体にも固体の核(core)がある如く、固体天体にもミズが多少はあると考えられる。

だから固体天体だからといって、ミズが無いわけではないのだから、一概におかしな話ともいえないが、天体Mがミズ天体だと考えれば、多くの謎が解けそうだ---ということは読者にも直感されるところであろう。

《 核の元素は 》

核(コア)は、実は重要な存在なのである。核があって初めて、その周囲に、C(炭素)だのN(窒素)だのという元素のほかにH(水素)という元素が万有引力でもってその核にに引きつけられて、殻(クラスト:crust)が形成されていった---と考えられる。

もし、そのとき、O(酸素)がたくさんあって、そこへHが引きつけられてくれば、H2Oすなわちミズができるのではないか?

核はまた同時に出来たミズを万有引力で引きつけていて、後で地球との衝突の時にも、自分の水を懸命に引張り、地球との引力闘争をすることになる。核は、だから終始重要な役を演じている。その核について、少し述べておこう。

核とは何であろうか? 第Ⅱ-1図の構造図には簡単に、その比重が仮定してあって、それは地球それ自身と同じ比重をもつ---と仮定してある。この仮定は便宜上のもので、そのことについては後で木星以下の大惑星のところで述べる。

つまりここでは、比重または密度といったものから核を理解しようとする話からそれて、その構成物質は何か? という面から眺めてみよう。

もちろん、まだ見ぬ天体Mのそのまた中味の核までは推理のしようもないが、いずれにしても太陽系の所属惑星である以上、その構成物質の種類や配合が、そんなに飛び離れたものにはならないはずだ。このことは、太陽系以外の別の恒星についてさえ言い得ると思われる。

というのは、近代の原子核物理学から組み立てられた恒星の理論では、星のライフの終りの段階で、核反応がしだいに重い元素へと移ってゆき、超新星的な反応の段階でほとんど一挙に鉄(Fe)以上の重い元素が造られることが知られているからである。

核を構成する物質はしたがって、鉄を中心としてその前後に比較的たくさんありそうな元素たとえばシリカ、アルミニウム、マグネシウムなど、地球の上で見られる元素は、すべて天体Mの核にもある---と考えておく。

《 核の大きさ 》

天体Mの巨大な水圏を剥ぎ取り、その核を露出したと考えてみると、その核は小型地球になる。
天体Mの核の半径は、地球の2分の1だと考えてある。
天体Mがミズ天体だと考えられるようになるまでは、それは前述の小型地球のような天体として、そういう仮定で諸問題を解いてゆこうとしていた。

いったい、なぜ天体Mの核の半径を、地球の半分だと仮定したのか?

それは前述のような小型地球と、本物の地球とのニア・ミス的な衝突を考える場合に、相手の質量が大きいと、地球のものが相手の方に持って行かれることになるという不合理があるからだ。

相手の方が地球よりも小さくなければ、地球は相手の持っているミズを奪う事が出来ない。

密度が両天体において等しい---どちらも平均密度5.52の固体天体である---場合ならば、半径を小さくしておかないと、相手の質量が小さくならない。それ故、まず半径を2分の1と仮定し、従って体積は8分の1、質量も8分の1になるとしたのである。

天体Mがミズ天体と判定され、上記のような核の周囲に膨大なミズが附着した形になった後でも、核の半径はもとのままに地球の2分の1としてある。これは各種の要素仮説の回帰検討の結果、ほぼこのままでよさそうだと結論されたことによる。

核の半径を大きくすると、周囲のミズの附着量も大きくなる。核の半径の3乗で核の質量は増すから、ミズの附着量もその率で増し、同様にして出来上がった天体M全体の質量も、核の半径の動きに応じて、それの3乗比例で変わると見てよい。

勿論、大きい方に変わる。それだけ大きくなると全体で地球より大きな質量になるのである。

《 核の半径をどう決めるか 》

上述したような回帰検討---行きつ戻りつ各種の考え方を組合わせ、最後に衝突の具合を見て再びもとの理論を検討するという経過---による半径の決定は、見かけ以上に複雑なものであった。例えば天体Mの表面重力の変り方も複雑であった。

(転記者コメント:回帰検討とは現代ではシミュレーション(模擬試験)と呼ばれ、コンピューター上で行われます。高橋実氏が(机上で?)以下に記載されているような思考実験を実行された事は物凄いことです。)

表面重力は半径の2乗に逆比例して、半径が大きくなるに従って小さくなる。従って、ミズのような物質は核よりも遥かに軽いのだから、ミズが増すに従い全体半径は大きくなり、表面重力が小さくなると考えられた。

これは地球との相互作用の際に、地球の引力を大きく働かせるには役立つとみられた。実際に後述する衝突概念では、表面重力の作用は無視してもよいほどに、むしろ他の位置の万有引力の方が働いていたのだが、ことを表面重力だけに限っていうと、ミズの量が増すに従い天体Mの表面重力は小さくなる傾向が算出された。

ところがある程度その半径が大きくなると、こんどは表面重力も大きくなり始めた。これは中心部の核の存在によるものであった。つまり、核が最初に表面重力を強く支配しているので、遠ざかるに従って表面重力は一時小さくなってゆく。

しかし、そのうちミズの量が半径の3乗に比例して増してくると、ミズの全重量による引力が大きくなってくるためである。

内部重力の検討は、表面重力の検討よりもさらに一層複雑であった。天体Mに表面まぢかにまで接近させてゆくと、両天体の引力が等しくなるような無重力圏が、ぐんぐんと天体Mの表面に近づき、次いで天体Mの水圏の内部、奥深くにまでおよぶようになる。

こうなると天体Mそれ自身にとっては天地がひっくり返る。自分の核よりも強い核、つまり地球がその表面の方向にできるので、何十万気圧という巨大な内部水圧の方向が一瞬にしてひっくり返るのだ。

水圧の方向がひっくり返るタイミングは、また、天体Mが地球をカスメて高速度で飛び去るその動きとも関連している。天体M自身の万有引力が大き過ぎると、地球がウンと近づくまで、内部重力の逆転は起こらない。

逆転が起って、巨大な水量が天体Mの内部で動き始める頃には、天体Mはすでに地球の真上にきていて、もう飛び去る方向に動いている---ということになる。野球でいえば,投手の速球に押されてバッターがわずかに振り遅れた、という感じである。

以上のような分析があるので、核の半径は大きくは考えられない。もちろん、小さすぎるのもよい事ではない。ミズの量が少なくなり、全体半径が小さくなると、今度は衝突事象の時に働く内部水圧の規模が変る。

最終的な結論としては、核の半径はほとんどそのまま、地球の2分の1程度。しかし、ミズの量は第Ⅱ-1図のモデルよりも、もう少し多いという可能性がある。そしてそれは、引力の計算からではなく、集水仮説の方からきている。

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