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2016年1月12日 (火)

S8 大惑星の構造・集水計算

《大惑星の構造》

木星、土星、天王星、海王星など大惑星の構造は、既述したような考え方のもとに、
まず各々の惑星に核があるものと考え、
その核の平均密度を仮に地球の平均密度である5.52に等しいと仮定して、
殻を構成していると考えられる有機化合物の量を、
これもかりにメタンならメタンばかりから出来ていると仮定した場合に、
その有機化合物の量---あるいは水素原子の数---が、いくらになるか
  を私は計算してみた。 ・・・ 《集水計算》 ・・・

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各惑星の直径・総質量は天体観測によってすでに早くから知られている。それ故、核の密度と殻の比重とが分かれば、連立方程式から簡単に核の半径が計算できるし、また殻の質量も算出される。この計算は集水(素)計算の第一段階なのである。

従って、この分析の主目的が、大惑星の構造を正面から考えようという所にあるわけではない。それゆえ、こうした大惑星構造が、そのまま現実のものだと思われては誤りになるが、大体の構成はこんなものであろうというくらいはわかる。

いろいろの推定が可能な中で、これはかなり確からしいことだと思われるのは、土星の構成である。

土星は、その全体平均密度がわずかに0.712であるので、中心部に比重の重い核をおくと、周囲の殻をつくっている有機化合物はほとんど決定的に、軽いメタンでなければならなくなり、それ以外には考えられなくなる。

土星がメタンであるとすると、天王星、海王星の殻もメタンである可能性が強い。木星についてはアンモニア殻を仮定してみた。アンモニアはNH3で窒素と水素の化合物である。メタンはCH4で炭素と水素の化合物である。酸素と水素が化合すれば、いうまでもなくH2O即ちミズになる。

この3種類の化合物は、いずれもHの化合物なのであり、その相手方のO(酸素)N(窒素)およびC(炭素)はいずれも、ムカシ太陽の核反応過程での重要な生成物であるが、3者の中ではOが最も重くて原子量16、Nの原子量が14、Cの原子量が12である。

軽い元素ほど遠くへ拡散している---という原理から、土星以遠にメタンが多く、木星がアンモニアであることは諒解できるとして、O(酸素)の多い小惑星の位置にはミズを造るにも、相手のHがそこには存在していない。

酸素は地殻中の岩石と鉱物との中に含まれてしまっている。
---おそらく、Hがそこに存在し得なかったから水ができなかったのであろうと思われる。
そこで天体Mの持つ極端な長楕円軌道の意味、あるいは役割が諒解されてくることになる。
天体Mは数百億キロメートルの遠方で水素を集め、
小惑星の位置では酸素を集めるという周期を繰り返して、
なかなかでき難いミズを偶然にもその軌道の故に集積することができた
---とも考えられる。

天体Mの話は後述するとして、とにかく私は、いわゆる大惑星系なるものに、水素原子が何個捕獲されているのか? という点を計算したのである。

このようにて計算された水素原子の個数が、この後に行う集水(素)計算の結果と照合して、どのように合致するか? あるいは合致しないか? それを見ることによって理論の適不適を知ろうというのである。

《集水計算》

集水(素)計算というのは、ある想定された密度で水素原子が拡散している空間の中へ、各惑星の殻を飛ばしてみることによって、これらの核がどれだけ水素原子を集めることができるかを、計算してみるのである。

そのとき、核が水素を集めてゆく原理は万有引力なのである。核からあまり離れた位置にある水素原子は、太陽の万有引力の方により強く引かれるか、または太陽の輻射圧に飛ばされることによって、核には落ち込んでゆかない。

集水(素)計算は、まず単純に核の大きさによって幾何学的に掃いてゆくところの基準的な空間の体積を計算する。3000万年の間に、どれだけの空間を掃いてゆくかを計算する。それから次の数項目の力学的修正を行う。

第一には各惑星の軌道周速度による実効集水断面積の変化を修正する。これには水素原子の速度との関係が、からんでくる。

第二には各惑星の質量の相違による集水能力の相違を修正する。幾何学的な空間体積を重力の大きさに応じ、修正する。

第Ⅱ-1表は、上記のような修正を総括して、各惑星が水素原子を何個捕獲することができたか? を算出したものである。この結果が、(J)欄に示してある。

さて(A)欄にはさきに述べた計算によるところの各惑星には水素原子が何個あるか?の数値が示してある。そこで(A)と(J)を比較した数値が表の右端に示してある。

天体Mの場合も含めて、四つの惑星につき大体(A)と(J)の比率は[1対2] に近づいている。厳密にいえば(A)と(J)とは同じ値になるべきものであるが、一度各惑星に集積された水素でも、太陽輻射で再び吹き飛ばされる確率もあり、とくにそれは天体Mに多い。

近日点附近でかなりの水素を失う可能性がある。しかし何よりも(A)と(J)の比を変えるのは、寒冷期の長さのとり方である。これが最も直接的に(J)の数値を変える仮定だ。

寒冷期の長さを数個の大惑星について共通のものとすれば、第Ⅱ-1表での(A)と(J)の比が、1対1 ではなくても、数個の惑星についてほぼ同じ値になっているのなら、この寒冷期の長さだけを変えればよいわけだ。

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第Ⅱ-1表の結果はほぼ(上述)のような結論を示している。
木星についての数値が飛び離れているが、これは木星の位置において
P-P反応の期間が寒冷期だとはみなしえない
     ---その期間には水素が集積できない---のを、
他の惑星と同じ3000万年で計算したから、このように
7.19という大きな数値になった、と解釈できる。

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