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2016年2月20日 (土)

S28  生態系絶滅の異変 Hiro. Oyama

灼熱の氷惑星 (高橋実著) 第六章 3節(少々長いですが、読み応えがあります。)

3 生態系絶滅の異変

 生態系が突然に異様な滅び方をしている時は、これも天体Mの仕業と疑うべきで、重衝突の傍証になるものと思われる。ついでながら、同じ天体Mの仕業でも、”噴出型”の異変では被害が限定される。災害の局限性があるので広範囲の絶滅は起きなさそうだ。
 しかし、天体Mの水圏への“深い衝突”になると、高温度の水が多量に地球に移動してくると思われるので、これにはバクテリアも抵抗できないし、また地球の海の中に住む生物にも、相当に広い打撃を与え得ると思われる。
 従って、生態系あるいは生物界における規模の大きい変化は、天体Mと地球との”深い衝突”を暗示するもののように思われる。この考え方が どの程度 実際の生態系の歴史と符合するであろうか?

《 シルリア紀末期--フデイシの滅亡 》
 
私自身の検証の一例は、カレドニア造山運動(既出)の検討である。この造山運動は4億年前のもので、従って、その時期に相当する他の事象があって然るべきであるが、大規模な氷塊群も(南極・北極両圏を除いて)見当たらない。
 しかし、造山運動があれば、必ずその前に大規模な衝突があったと考える理由は既述のとおりである。この衝突の範囲が、実は海に起っていたのだと考えれば、氷塊群のごとき証拠が全部消えていることも納得できる。 
 しかし、海の生物でも、直接衝突の時には何等かの変化を見せているはずだ。この観点から、シルリア紀末期(億年前)に、それまでオルドビス紀以降から急激に繁栄していたフデイシが急に滅亡しているのは興味ある事象である。

《 二畳紀末期--三葉虫の絶滅 》
 
二畳紀末期(約億年前)には、氷河事象の痕跡が極めて広い範囲に分布している。いわゆる二畳紀の氷河痕跡として、しばしば引用したものだが、これを一回の重衝突として解釈すると(その解釈は後で示すが)、この時にも生態系の大異変が伴っていて然るべきである。
 言うまでもなく二畳紀末は古生代の末期であり、そこでは三葉虫や海ツボミなど著名な古生代の生物が絶滅している。天体Mをここに介在させれば、それと地球との重衝突によって二畳紀の氷塊群ができたのであり、そしてたぶん、その時の熱水が地球の水圏を襲って、古生代を滅ぼしたことになる。
 後述の解釈によれば、実は、二畳紀の氷塊群の残りがイマの南極大陸の氷冠だということになっている。そこで”南極の氷冠ができたのは、三葉虫が滅ぶ前日のことであった”などという奇矯な表現も可能になる。

《 中世代末期--恐竜絶滅 》
 
中生代末期と新生代の境い目の所は、おそらく生物の歴史に残る大変動のあったところである。完全に出来上がった巨大な「種」の群である爬虫類の大部分が、一挙に滅亡した。それまでの爬虫類は驚異的な大発展をしていた。

 水中に棲む魚竜はクビナガ竜、両棲的な生活方法を採った草食恐竜から、完全に陸棲に移ったと思われるティラノザウルスのような肉食恐竜のほかに、あろうことか空中にまで生活圏を広げ始めた翼竜までを輩出したこのグループは、まるで万能の一族みたいであった。
 彼等は二畳紀に続く三畳紀(中生代の始め)頃から白亜紀末までの約1億年間にわたって繁栄した。それが、ある時期において一挙に滅亡した。古来、この滅亡の原因説明には、環境適応論がもっぱら使用されてきているが、空・陸・海の三環境を同時に変えることのできる変化というものは、容易なことでは説明の付くものではない。
 陸棲の動物を襲う変化には色々と考え得ることもあるが、同時に”水圏”をも襲うことのできる変化というものは、古典的な環境学(?)ではなかなか思いつき得ない。水中の環境は水中で独立に生起し、独立的に変化したと考えて済ましてきたのである。

 しかし、この中生代と新生代との境目の変化では、明らかにもう一つ別の種であるアンモナイトが絶滅している。このアンモナイトは、その前の大異変、つまり二畳紀末の大異変で有名な三葉虫が滅んだ時にも生き残って、中生代の海中に繁栄していた。
 そのアンモナイトが恐竜と同時に滅んでいる。アンモナイトの生活方法と、例えば魚竜のような脊椎動物の生活方法とを比較すれば判るように、そしてまた陸棲の恐竜の生活方法とも比較すれば判るように、彼等の生命を維持する方法や原理や環境といったものは、相当に隔たったものである。
 それが同時に滅んでおり、災厄は同時に海陸空で起こっているように見える。同時発生論を否定して、独立的に海中の異変は海中で起ったのだろうと言われる読者も多いことと思う。実際、誰だってその様に思うし、私だって昔はそのように考えてきた。

 しかし、例えば海中の異変は海底火山だとか、あるいは海底の陸地の大隆起だとか、いわゆる地殻の異変によるものだと考えるなら、一応それで納得は出来るとはいうものの、突き詰めて考えればおかしくなってくる。
 現に、この章の初めに説明したアイソスタシーの考え方によれば、そしてその考え方に加えて水圏の突然成長という考え方を入れた説明によれば、あの太平洋海底のリッジ(海底山脈)や大西洋海底のリッジができたのは、カンブリア紀よりもさらに始原地殻に近い頃の話なのである。
 それらの海底地形が存在する場所は、今は水深4000メートルもの海底にある。それが陸地であった頃に、そういう地形は出来ている。それができた頃からイマの海面に至るまで、水圏が成長する(海が深くなる)のに十数億年は経っているように見える。

 そんな太古のことでなく、もっと至近の海底火山活動は考えられないのだろうか?という質問には、やはり、そういう活動は極めて局地的に限定されたもので、到底広く生物圏を襲うような変化にはならないと答えたい。
 海底火山が噴出したくらいでは、附近の魚が死ぬ程度である。それに、海水は火山の熱を鎮め、むしろ生物を守っている。海底には海底地震帯が縦横に走っているが、地震で滅んだとは考えられないか? といっても、震は地震であって、海震ではないから、海中は安全なのである。

《 超熱水の襲撃 》
 
私が中生代と新生代の境目の所で、再び天体Mを介在させてみようと思う理由の一半は、それが直接のかつ深い衝突を地球との間に持ったとした際の、熱水異変とでも呼ぶべき巨大な事象が起り得る可能性を考慮に入れるからなのである。
 他の一半の理由は、この中生代と新生代との境目の時点で、インド半島に、デカン高原を造った超大型の"裂け目噴出"が起っていることによる。それが直接に生物を滅ぼしたわけではないが、既述のアイソスタシーの関連理論によって天体Mの足跡事象の一つと考えられるから、これが一つの傍証になる。
 その時期に大型の異変があったということの傍証である。このことは後述するとして、熱水異変の方に帰ろう。天体Mの深層水園の温度が相当に高いもので、最深部の核の表面付近では摂氏1000度にもなっているという推論はすでに述べたが、その途中の温度はどうなっているか?

 表面氷層の下部は冷たく、零度以下の層が数百Kmはあると想像されるが、深くなると零度以上に上がり、さらに600Kmを超える深度では摂氏100度を超えると思われる。それ以上深くなると、摂氏数百度の領域に入る。
 ”噴出型”のノア異変のような場合には、深層水圏の水も出てくるが、流路が限定されているので量も多くはない。それが襲撃する範囲も限定されている。冷たい水とまんべんなく混合されてはいない。だから既述のマンモスの場合でも、熱水に当たったものと冷水に当たったものとが、本当を言えばあったはずだ。深い衝突になると、地球の頭部は直接に熱水域に入ってゆく。摂氏数百度の所をエグって通る。
 直接衝突の時には、氷塊も移ってくる。冷水も移ってくる。しかし、さらに熱水も移ってくる、ということを、生態系の場合には考えておくべきである。水力学だけが問題であるなら、”ミズは水である”と考えて済ましていられる。

 "砂"の温度と熱量については、石炭および石油との関連で話しておいた。(天体Mの)核の部分の温度については、マンガン団塊の話の時に触れておいた。このように無機的な作用については すでに読者にも思考の緒口をつかんで貰ったのだが、生態系に関する事象では、熱水が相当に大きな問題になる。
 これの解釈が、色々な”チョンボ”の岐れ路になるようである。二畳紀の大異変も直接衝突によると推定しているのだが、この時は熱水が三葉虫を襲った、とだけ書いておいた。陸上には当時、進んだ生物がいなかったからである。
 中生代と新生代の境目の異変では、すでに陸上にも生物が繁栄しかかっている。この時期における天体Mの襲撃は、だから、空・陸・海の三圏におよぶ 極めて大規模な異変になる。

《 摂氏500度の水蒸気が地球をおおう 》
 
熱水異変の概略の状況をここで説明しておくのが、読者の参考になるであろう。石炭仮説のところでも、熱水の件は砂と一緒に登場しており、その時、読者には一つの疑問があったはずだ。つまり、数百度の温度のミズが地球にきた時、それは水蒸気になるのかどうか? 
 地球の大気圧は1気圧で、水は1気圧なら摂氏100度で蒸発するはずだ。瞬間的には数百度の熱水が地球上にも存在し得るとは思えるが、それはすぐに蒸発するのではないか? ということである。
 石炭をつくるのには この蒸気は無関係とみて説明しなかった。ここでの説明によって補って貰うことにする。熱水異変というべき事象を考えるのに、まず1京トン程度の大量の、平均温度摂氏600度程度の水が、瞬間的に直接衝突によって地球に移されたとしよう。
 瞬間的にというのは約200秒ほどの間に、ということである。1京トンというのは極めて大量であって、実際には 1ケタ下の千兆トンの熱水が来ると見た方が良いのかも知れないが、深い衝突に対しては 1京トン程度を一応考えて計算してみる。

 冷たい水をも合計すれば、10京トン前後の水が移って来ていることを念頭におく。
直接衝突の時、ある程度の(冷水との)混合は起るだろうが、一応1京トン少全部が混合なしに、ひとかたまりで来るとした場合には、地球の海を約 30メートルばかり、600度の熱水でおおうことになるが、すぐに蒸発が始まり、熱水のほとんど全部が高温の水蒸気になって地球をおおう。
 水蒸気の温度は最高500度、圧力は2~3気圧である。このような高熱気塊が地球をおおうことになる。読者はこの水蒸気がもうもうと白く立ちこめる---と思われるかもしれないが、白く見えるのは水滴であって、本当の(!)水蒸気は眼には見えない。
 この熱気塊はミズ(H2O)ではあるが、摂氏数百度の温度を持った高圧の熱風となって、異変の起こった直接衝突区域から次第に地球の半球をおおうように拡がってゆく。もともと地球にあった空気の方は押しのけられて別の半球へと押し込められ、圧縮されてゆく。

 この空気の方は、そんなに高温にはならない。水蒸気圏の方は輻射で熱を失ない、しだいに冷えてゆくが、元の熱水が1京トンもあると、それからできた熱気塊は冷えるのに1年ほどかかる。冷えた水蒸気は、約摂氏100度の水となって海面をおおう。
 さらに数年を経ると、海面をおおった水の水温も下がり、熱水異変の主要な事象は鎮静して元に戻る。もちろん、1京トンの水蒸気は1京トンの水になるので、海面はそれだけ上昇している。

 以上が [ 1京トン、摂氏600度] という想定の時の異変の概要であるが、小規模の約千兆トンの熱水でも、1か月くらいは地球の半球を摂氏100度以上の水蒸気でおおうことになる。
 実際には熱水よりも1ケタ量の多い冷水と混合されれば、このような熱風が永く、また広く、地球をおおうことにはならないのだろうが、局部的に熱水がまとまっていると、このような恐ろしい状態になると考えられる。
 また、冷水と混合されても、やはり摂氏50度以上の水は 広く海の上層部をおおってゆくと思われるので、海棲・陸棲を問わず、ほとんどの生物は死滅するであろう。

 高温の水蒸気に包まれた地球は、まるで、地球ごと蒸気殺菌装置に入ったようなもので、これではバクテリヤも死滅するわけであり、地球上の生命は完全に一掃されるはずである。実際には新生代に入ってから、周知のように多くの生物の種が回復し、あるいは繁栄している(蒸気殺菌までは行かなかった?)

《 熱風と熱水の中の生物 》

 このことから見ると、中生代と新生代の境目に起った大異変では、その熱水異変の規模が、既述の1京トンという規模よりは、かなり小さかった、と判定される。これは大変重要なことで、直接衝突における増水量やあるいはスプラッシュの分止まりの量を判断する目安が、また一つできたことを意味するのである。
 熱水の規模が小さいと、熱風(高温の水蒸気塊)が拡散する速度にも限界が出て来て、全地球がそれにおおわれるというような事は無くなり、陸上の生物にも場所によって生き残りのチャンスがあったものと考えられる。
 そう考えないと、たとえ水棲ではあっても空気を呼吸する生物が、大規模な熱風異変の中で生き残り得るとは考えられないからである。

 地球上が全部熱風でおおわれ、海面も高温水でおおわれた場合、それでも生き残り得るのは、タラバガニのような底棲動物であろう。魚類はその敏捷な移動性で逃げるチャンスはありそうだが、海面全部が高温水でおおわれれば、浅い水面に棲むものは結局は助からないだろう。
 新生代に魚類や陸上哺乳類がでてきて繁栄を続けているのは、私にとって深い安堵である。私の眼から見ると、全生物系は中生代の末期において、翼竜など(あるいは始祖鳥など)を先頭に立てて、両生生活からまさに陸上へ、陸上から空中へとハネを伸ばしかかった出鼻を、超大型の異変でもって打ちのめされたように見える。
 それでも生物の一部は助かり、助かったあと大繁栄をしている。

《 中世代生物の舞台は? 》
 
なお余談であるが、読者がもし過去の生物圏や環境の広さなどを問題として、過去の生物のあり方を考えようとされる時には、その当時の陸地の広さなどを現在の陸地とはやや違った広さで考えて頂くのが良いと思う。
 具体的には、第五章で述べたところの、ノア大異変で浸水して海底になってしまった五つの陸地を、さらにさかのぼって1000メートルほどの水深の所まで干し上げて御覧になると、そこが中生代の陸上植物や陸棲動物の繁栄の舞台になる。

 中生代の生物の舞台は、どうもイマは海になっているように思われる。この面積はおよそ15億ヘクタールくらいあって、現在のアマゾン流域平野の5倍にもなる。これに北極圏の同様の低地を加えると、25億ヘクタールほどになりそうだ。
 もっとも、当時1億年前の北極が、太陽に対してどちらの方向に向いていたか? という問題があり、それは後述するが、そういうことも考慮すると、北極圏の浅海域の面積も考慮に入れながら、中世代の陸地を考えてゆくべきかもしれない。

ひょっとすると、恐竜の大は イマの北極海の大陸棚に沈んでいるのか とも思われる。

2016  2/20  Hiro. Oyama

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コメント

ダーウィン「種の起源」説を補完する、高橋実しの傑作論文と言えます。逆に「種の起源」により、「灼熱の氷惑星」の信ぴょう性が補強されているとも言えます。

投稿: hiro | 2011年9月17日 (土) 18時25分

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