« 「国破れてマッカーサー」を読んで。北朝鮮核問題の抜本的解決策。"Countries torn MacArthur" reading. Solution of the North Korean nuclear issue. | トップページ | Trump President, Shootings and the nuclear issue is the same in essence. In the legitimate defense, this world will end.トランプ大統領、銃乱射事件と核問題とは本質的に同じ。正当防衛論では世界は滅びる! »

2017年10月19日 (木)

ファーブルの「昆虫記」、エワルの「カッコウ」・・・科学童話を読もう!

昆虫記」は何と120年以上前に書かれた科学童話だったのですね。 動物の「カッコウ」というお話しも大変興味深かったですよ。まずは読んでみて下さい。世界少年少女文学全集:動物文学集(創元社)からの引用です。
   かっこう エワル(デンマーク人)作
 林の奥の青々とした草原に、大きな年とったバラやぶがありました。その中に、もずの夫婦が巣を作っていました。
 五月の初めのお日様がキラキラ輝いている日に、その巣は出来上がりました。それからふたりで並んでしばらく将来のことを話し合ってから、お母さんもずは、きれいな卵を三つ産みました。「やれやれ。」とお母さんもずは、もずが何時もやるやり方で、深くため息をつきました。「もう若い日の、バカ騒ぎの時は終わりましたよ。まじめに生きるべき時が来たんですわ。」
 お父さんもずは一生懸命、妻をなぐさめましたが、お母さんもずは、むずかしい顔をして卵をだいていて、少しも夫の言うことなど耳に入れようとしません。
「あなたは、勝手なおしゃべりばかりしているのね。」と、お母さんもずは言いました。「まあ、自分で一度やってみるといいわ。それなのに、自分はきれいなことばかり言っていて、子供を育てる苦労は、私たちに押し付けてさ。そんなうっとりした顔をしてないでよ。ちょっともあなたにゃ似合いはしないし、私をいらいらさせるばかりよ。さっさと、太ったハエでも取って来てちょうだい!」
 夕方には彼女は怒りで我を忘れていました。
「こんな目にあうんだと知ってたら、わたしゃ決して結婚なんかするんじゃなかった。それにおまえさんがもっときれいな声で歌ってくれたらねえ。」こう言って、彼女はわめきました。「わたしゃ、もう我慢が出来ない、がまんができない!飛んでっちまうよ!」
 お父さんもずは、落ち着き込んで妻の言うことを聞き流していました。この前のおかみさんのときにも、同じことを経験していたのです―――というのは、もずは毎年春には新しいお嫁さんをもらうのでしたから。 それでもお父さんもずは、こうした妻の興奮が、まもなく治まることを知っていたのです。
「おまえは今から少しそこらを飛び回ってきてもいいよ。」と、彼は言いました。「だが、そのほかの時間は、おとなしく巣の中にすわっていなくちゃだめだよ。でなけりゃ、けっして卵はかえりゃしないからな。ぼくの前のおかみさんは――」
「お願いだから、そんな女の話は止めてちょうだい!」お母さんもずわめきました。
 それと同時に彼女は、さっと飛び立ちました。お父さんもずは、急いで妻を追っかけました。妻が興奮のあまり、どんなことをしでかすかもしれないと、心配だったのです。
 ところが、ふたりがそうやって飛び立ったあとに、別の鳥が一羽、巣に近寄って、中をのぞきこみました。それは、もずよりもずっと大きくて、全体が灰茶色をして、胸とお腹に明かるいまだらのある鳥でした。
 その鳥はくちばしに卵を1つくわえていましたが、その卵を用心深く、ほかの卵のそばに押し込むのでした。その卵は、ほかの卵と同じくらいの大きさで、どこからどこまでそっくりだったのです。
 その鳥は、なおしばらくそこにとまって、自分が卵を押し込んだ小さい暖かそうな巣を、悲しそうに見つめていました。それから羽を広げると、草原を越えて林の中へ飛んで行きました。
 一本のたけの高い木の上に、夫がとまって待っていたのです。
「卵はうまく置いてきたかい?」と、彼は帰って来た妻を迎えて聞きました。
「ええ、私、向こうの草原のバラやぶの中の、もずの巣の中に入れて来ましたわ。あれはいい人たちだから、私たちの子供に親切にしてくれるでしょうよ。」こう、おかみさんは答えました。
「ぼくたちには、これ以上のことは出来ないんだものね。」と、相手の鳥は言いました。それから、「かっこう!」と鳴くと、二羽は飛んで行ってしまいました。

 やがて、もずは帰ってきましたが、卵が三つではなくて、四つになっていることには、少しも気が付きませんでした。いったいに、ふたりとも、計算なんかは得意でありません。おまけにもずおかみさんは、今はとてもごきげんなのです。彼女がおとなしく卵の上にすわると、夫は歌をうたって聞かせました。その声がずっと林の向こうまで響きわたりました。
 三週間のあいだ、お母さんもずは、まじめに卵の上にすわって温めました。その間に、お父さんもずは、辺りを飛び回ってちょうちょ青虫や、はえを捕まえました。そうしてその獲物を、巣のそばのいばらの上に突き刺しておくのです。お母さんもずがちょいと飛んで来て、それを食べてすぐにまた巣へ飛び戻れるように。
「あなたは本当にいい方よ。」と、お母さんもずは言って、やさしく夫にうなずいてみせました。「でも、私が赤ちゃんをかえすのですもの。あなたが私に敬意をはらうのは、何といってもあなたの義務であり、責任ですわ。」
 15日目の朝、卵の殻はわれて、裸のひよこが4羽飛び出すと、黄色い口ばしを大きく開けました。お父さんもずは、めずらしそうに子供たちをながめました。
「なんだ、こいつらは目も口ばしもないじゃないか。でも、いずれ何もかもそろうんだろうな。」と、お父さんもずは言いました。
「なんて可愛いんでしょう!」と、お母さんもずは、叫びました。
 お父さんもずは、妻をからかうように見て、ひとりで口笛を吹きました。
「それなのにおまえは、初めは卵なんかかえしたくないって言ったっけねえ!」
「馬鹿な事いわないでよ!と、おかみさんは怒って言いました。「そんなこと、わたし言いはしませんよ。それよりか、そんなこと言ってるひまに、かわいそうな赤ちゃんにえさを取って来てやってよ。小さいお腹の中までのぞきこめるほど口を大きく開けているじゃないの。」
 そこで、もずのお父さんは飛び出して行ってはまたとんで帰り、また飛び出して行きました。それをいく日もいく日も繰り返すのでした。お父さんが何か食べるものを持ってくるたびに、子供たちは口ばしを大きく開きます。ひな鳥たちは、まるでお腹がくちくなる事がないかのようでした。
 そう言っても4羽が4羽とも、同じように食いしん坊だった訳ではありません。そのうち1羽が(ほかの子供より)ずっと食いしん坊で、また、ずっとたくましく成長していくのです。
「この子はやがて、すばしっこいもずになるぜ。」こう、お父さんは言って、口ばしでその背中をなでてやりました。
「自分の子供にえこひいきをしちゃ、だめよ。」と、おかあさんは厳しく言いました。「わたしは一番ちいちゃい子が、今ではいっとう可愛いと思うわ。」

 ある晩、巣の中に座って子供たちを温めているお母さんもずのそばに、もずのお父さんがすっかりしょげこんですわりました。
「こんなに大勢の家族をやしなうのは、まったく楽じゃないよ。」と、お父さんは言いました。「ちゃんとした身なりをしていようと思っても、自分をかまっている暇がない。それに、もう歌をうたわなくなってからも久しいもんだ。おまけにまた季節もいよいよ悪くなる。ちょうちょも、もう滅多には捕まらない。今朝なんかは、ひわのやつが、2度までぼくの口先からすばらしい青虫かっさらいやがった。おまえも虫取りを助けてくれなくちゃなあ!ぼくみたいなあわれな鳥は、おかみさんに家で安楽をさせるわけに、いかないんだよ。」
「子供の世話をしているのを、あなたは安楽だとおっしゃるの?」と、お母さんもずは、ヒステリックに叫びました。「それに、そんなに興奮することはなくってよ。もう4羽とも羽がはえたんだから、こんなに暖かくなったら自分たちだけでお留守番ができます。明日から、わたしがお手伝いしますわ。」
 こうして2羽のもずは林を飛び回って一生懸命、子供たちにやるえさを取りました。けれども、どれだけ沢山えさを取って帰ろうと、子供たちは口を大きく開けて、自分が一番大きいのを取ろうと、鳴き騒いだり、相手を押しのけたりすることを止めないのでした。
 ある日のお昼に、両親が口ばしいっぱいにえさをくわえて帰ってくると、巣の中は恐ろしい騒ぎでした。子供たちは、今までになかったほど首を長く突き出して、我勝ちに大声で叫ぶのでした。
「ひとりずつ口をきくのよ。でなけりゃ、ちっともわかりゃしません。」こうお母さんもずは言い聞かせました。
「いったい、何が起こったというの?」
 やがて分かったのは、れいの大きい子が、小さい子のひとりを巣から外へ突き落したということでした。しばらくその子は、下の草の中にたおれて悲しそうにぴいぴい鳴いていたけれど、そのうちにきつねがやってきて、そのかわいそうな子を食べてしまったというのです。
「あの子が、先に突いたんだい。あいつが落っこちたのはぼくのせいじゃないや。」と、大きな子は言い張りました。
「なんだと。お父さんがどうするか教えてやろう。」こう、お父さんもずは言うなり怒ってその子に飛びかかろうとしました。
 けれども、お母さんもずがお父さんの背中を押さえて、真面目になって叱りました。
「そんなに夢中になって、恥ずかしくないの!あなたは罪のない子供をいじめるつもり?その子に触ったら承知しませんよ!小さい子供には、どうしようもないってことが分かりそうなものではありませんか。」
 さて両親は、死んだ子供のために泣きました。
さんざん泣くと、ふたりはまた、えさを取りに飛び立っていきました。亡くした子供のことは、まもなくあきらめてしまいました。なにしろ、生き残った3人の子供が恐ろしいほどの食欲を持っていて、両親はときどき、ほとんど絶望におそわれてしまうほどだったからです。
 あの大きい子供は、いよいよ大きくなって、今では他のふたりの2倍の大きさがありました。このふたりは、乱暴者の兄さんが自分たちを押しのけ、えさをみんな取ってしまうと、いつもなげいていました。
「お前たちはひとり立ちができるようになるまで、なんとか辛抱しなくちゃね。」と、お母さんもずは、言い聞かせました。
「どうか、うまく成人式を受けさせて、みんなで南の国へ旅立ちたいものだて!」こう、お父さんもずは心配そうに言いました。---
1週間たつとまた、もずの両親をひどく悲しませることが起こりました。ふたりが家に帰ってみると、巣の中にいるのは、あの大きな子共だけだったのです。
「まあ、弟たちはどこへ行ったの?」と、お母さんは、びっくりして叫びました。
「ぼくにはどうすることも出来なかったんだい。」と、大きい子がわめきました。「あの子たちは、巣から落っこちたんだよ。ぼくにはどうすることも出来なかったんだい!ぼくが、ほんのちょっと向きを変えたと思ったらもうひとりが落っこちていたんだもの。それで、ビックリしたひょうしに、もうひとりにぶっかったんだ。そうしたらその子も落ちてしまったんだい。ぼくにはどうすることも出来なかったんです!そしたらキツネがやってきて、ふたりとも食べてしまったんだい。」
 両親はこれを聞くと、ひどく涙を流しました。
「ぼくらは巣を小さく作り過ぎたんだ。」と、とうとうお父さんもずが言いました。「だが、こんなに大きい子が出来ようとは、まさか思わなかったものなあ! この子は全くm気味が悪いほど大きくなるじゃないか。」
 すると、お母さんもずは、嘆きました。「あなたが早くちゃんとしたしつけをして下さればよかったのにねえ。ああ、可哀そうな子供たち!」
「こうなっては、少なくとも最後の子供は、うまく育てたいもんだなあ!」こう言って、お父さんもずは、ため息をつくと、子供に言ってきかせました。
「いい子になるんだよ。そして、おまえがぼくたちのたったひとりの子供だという事を忘れるでないよ。」
 子供は、そうすることを約束しました。そうして、両親が持って来たえさを、残らず食べてしまいました。
「もっと、もっと!ぼくは、とってもお腹がすいているんだよ!」と、いくら食べても満足しない、この食いしん坊は叫びました。
 そこで、もずの夫婦は子供の望みを満たしてやるために、また、あわてて飛び立ちます。
 ふたりは今では、子供がみんな生きていた時よりも、まだ多くのえさ運んで来ました。それでもその大きな子共は、けっして満足しないのです。その子は、まだどんどん大きくなって、とうとう、巣の中に入り切れないほどになりました。そうすると巣から這い出て近くの枝にとまりました。
 お母さんもずは家に帰って来て、大きな坊やがそんなところにとまっているのを見ると、ビックリして叫びました、「あれまあ!落っこちて首の骨を折りますよ。」
「お母さんはいつでもぼくを叱ってばかりいるのね。」と、ひな鳥はすっかりしょげて言いました、「ぼくには巣が狭すぎて、入っていられないんだもの。ぼくは何もかも、滅茶苦茶にしてしまうけど、どうにも他に、しょうがないんです。いっそ、死んじまいたいなあ! --何か食べるもの、持って来てくれた?」
 そこで両親は注意深く子供を土の上に下ろした上で、草の中に上手く隠れて、キツネにけどられないように、けっして声をたてたりしないように言い聞かせました。
 それからというもの、ふたりは毎日、毎日、何百回以上もえさを運んでやりました。すると、ひな鳥は、いよいよ大きくなっていきました。そのうち、だんだん、翼(つばさ)と尾羽(おばね)が伸びてきて、草原の上をバタバタ飛び歩けるようになりました。時々、えさをくわえて戻ってきた両親は、子供の行くえを探して、大きな声を出して叫ばなくてはなりませんでした。
 この3人が一緒にいるところは、まったくおかしな光景でした。なにしろ、子供は今では両親の倍も大きいので、えさを口の中へ入れてやるのが、とてもむずかしいからです。おまけにその子はすっかり灰茶色で、胸と腹には明るいまだらがありました。

 おとうさんもずは、時々、ひどく考えてはその大きな子共を見つめました。
「この子はちっとも家族の者には似ていないぜ。」と、お父さんは、疲れ切ってうとうとしている妻に言いました、「ぼくらはそれほど大きくもないし、色だって違うものね。」
 ある朝、子供は草の中をはっていた毛むくじゃらの毛虫を飲み込みました。
「吐き出しなさい、早くはきだしなさい!」と、お母さんは叫びました、「その虫には毒があるんだよ!おまえは死んでしまうから!」
「こんな虫はぼく、もう幾度も食べたよ。それでもぼくにはちっとも害にならないんだ。それに、あなたたちがくれるものではぼく、おなかがいっぱいにならないんだもの。」と、子供は平気で答えました。
おかしなもずだなあ!」こう、お父さんは言って、頭を振りました。
 そのとき急に、誰かが近くで言いました、「それは、もずなんかじゃ、ありませんよ。」
 お父さんもずが顔をあげてみると、年とったミソサザイのおばさんが1本の枝の上にとまって、からだをゆすぶっていました。
「何じゃないんですって?」と、お父さんは聞きました。
もずじゃないってことよ。」と、ミソサザイは繰り返しました。
「エッ、なんですって?ぼくのかみさんが自分の巣の中に卵を産み付けたのを、ぼくたちふたりで一生懸命に育てたんじゃありませんか? 今では、死んでしまったけれど、ほかの兄弟たちと一緒にさ。」
「その子たちは死んでしまったって? やれやれ!」と、年とったミソサザイは言いました、「そうよ、そうなんですよ!そんなことはありふれた話です。おまけに、とってもみにくい話ですよ。」
「どうか、その話を聞かせて下さい!」こう、もずのお父さんは言って飛び立つと、ミソサザイのそばにとまりました。お母さんもずも飛んできました。一方、子供は草の中にすわって口をぽかんと開けたまま耳をすませました。
「じきに話してあげるがね。」と、ミソサザイは言いました、「でも、こういうことは、できるだけ多くのものが聞くといいんですよ。年寄りの言うことを聞くのが若い者にゃ、ためになるのですからね。」
 そう言って、ミソサザイのおばさんは、そのキイキイ声で、ありったけに叫びました。するとたちまち四方八方から、ミソサザイ、もず、ひばり、ひわ、まひわ、そのほかの小鳥がどっさり飛んで来ました。そうしてみんなはやぶの周りにとまると緊張してミソサザイの方を見つめながら耳をすましました。
「あんたがたは、ちょいちょい私らの巣に忍び込む大きい灰色の鳥を知らないかね?」と、ミソサザイは聞きました。
「ぼく、よく知ってるよ。それは鷹(たか)ですよ。」と、おっちょこちょいの若いひわが、叫びました。
「違いますよ、おばかさん、おまえさんは知っているかと思ったのにね!」と、ミソサザイは言いました。
「あの鳥なら、私たちにとっちゃ、ずっとましですよ。そんなら私たちはただ食べられるだけのことだものね。鷹(たか)は自分の子供のために、ちょうど私たちが私たちの赤ちゃんのために、ハエや青虫を捕まえてやるように、私たちを捕まえるんです。これは、ちゃんとした仕事ですよ。世の中ってそうしたものなんだから、それに対しちゃ何も文句を言うことはありませんさ。そりゃ、食べられる者にとっちゃ、ほんとに悲しいことだけれどね。・・・・
「いいや、私の言うのは”かっこう”のことですよ。あれはちょっとみると鷹(たか)みたいだけれど、それほど大胆な強盗でもないし、いったいに、自分の子供にえさを取って来てやるようなまともな鳥じゃないんです。ずるがしこい、悪い親で、自分じゃ何も働かないで、ただ林の中を飛び歩いて、いばりくさって〈かっこう〉なんて鳴いているばかりさ。あいつが私たちみたいなちゃんとした鳥のように、巣を作るなんて考えたら大間違い。あいつは、わら2本だって重ね合わせたことはないんだよ。卵をかえしたこともなけりゃ、赤ちゃんを寒い晩に温めてやったり、そのちっちゃい黄いろい口ばしに、ハエ1匹押し込んでやることもないのさ。」
「まあ、驚いた!それじゃ、いったい何をしているの?」と、お母さんもずは叫びました。
「そうさ、あんたらは知らないんだね、かわいそうなお母さん、」と、ミソサザイのおばさんは言いました。「そんなら、よく聞いてなくちゃダメですよ。あいつは卵を1つ産むとね。それを口にくわえて行って、ちゃんとした鳥の夫婦の巣に入れるんだよ。そうすると夫婦はそれをかえして、自分の子と一緒に育てて、かわいいあまりに何もかもしてやるの。その大きい餓鬼(がき)にえさを十分持って来てやるために、朝早くから夕方遅くまで、さんざ苦労をしてさ。それなのに、そういう愛情のお礼に、あなたがたは何をもらうかね? わたしゃ、あんたたちに言っときますよ。かっこうの子どものやつ、あんたたちの本当の赤ちゃんの鼻さきからみんなえさを横取りしちまうんだよ。 そうして大きくなると、自分が巣の中でのうのうできるように、あんたたちの子どもを外に突き出すのさ。---まあ、そんなところだね。」
 まわりの枝にとまっていた鳥たちは恐ろしさにぶるぶるふるえました。もずの夫婦は言葉もなく、ミソサザイを見つめていましたが、ふたりの羽は驚きのあまりさか立っていました。
「そこにいるふたりを見てごらんよ!」こう言ってミソサザイもずの夫婦を指さしました。「この人たちはこの夏、かっこうの子どもを育てたんだよ。そら、ふたりとも、なんてやせこけてやつれていることやら! ところであんたがたは、その悪いやしないっ子を見たかいね? そんならほら、下の草にすわって、欲張りそうに口を大きく開けているのがそれだよ。」
 すると、すべての鳥が、大きなかっこうの子どもを見つめて声高く叫びました。
「やあい、かっこうの子どもめ!かっこうの子どもめ!」
 あざけられた鳥は、草原の上を少し走って行ってから、ふり向いて言いました、「うそだい、うそだい! ぼくは、悪い鳥でもなけりゃ、恩知らずでもないよ!」
 それでも鳥たちは、そのあとを追いかけて、彼をつつき殺そうとしました。だれよりも先に立って、高い声を張り上げて突進して行ったのは、あの若いまひわです。 もずの夫婦は、みんなのずっとあとから、ついて行きました。そして、聞いた話のために、すっかり気を落としていましたけれど、やっぱりふたりは、みなの者に、若いかっこうに、何も害を加えないと、しきりにたのむのでした。
「何といっても、あの子は私たちのたったひとりの子どもですわ!」こう言ってお母さんもずは、嘆きました。「私が卵からかえして、それからふたりで育てて来たのですよ。確かに幾分かは、私たちの子どもですとも。」
 その途端に、若いかっこうが、口ばしでまひわを一突きすると、まひわは倒れてしまいました。
「ぼくはもう、自分で自分を守れるだけに大きいんだぞ。」と、若いかっこう叫びました。 「でも、みんながぼくをきらっているようだから、ぼくはここを出て行くよ。やしない親のお父さんお母さんには、長い間のご親切をお礼します。だけど、ミソサザイの話なんか、ぼくは信じないよ。ぼくは命ある限り、本当のことを突き止めようと思うんだ。たとい、この世のはてまで旅をしてもね!」
 そう言って若いかっこうは、草原や林を越えて、飛んで行きました。飛んで行くうちに、彼は自分がもう大人になって強い翼(つばさ)を持っていることを知りました。 野を越え、林を越え、草原を越えて、彼は見知らぬ遠い国まで飛んで行ったのです。
 舞い降りて、ひと休みするごとに、若いかっこうは、ミソサザイから聞いた話を、思い出さずにはいられませんでした。彼はその話を理解することも、信じることも出来ませんでした。なぜかといって、自分がほかの鳥よりも悪い鳥だとは、どうしても思われなかったからです。それからまた、なぜ自分のおかあさんが、自分をほかの鳥たちが馬鹿にしたり憎んだりするままにさせておくのか、わけがわからなかったのです。

 そのうちに北国には冬がやってきました。
森の木の葉は落ち、青々とした草原は、真っ白い深い雪におおわれました。その雪の中に、あのバラやぶは、黒いたきぎの束みたいに突っ立っていました。その枝のあちこちに、寒さにかじかんだ実がmまだ1つ2つ付いていました。
 チョウもハエも、青虫もどこかへ行ってしまいました。小鳥の仲間でも、今はただ、スズメひわと、ヤマガラが残っているばかりです。それから大がらずが、たえずかあかあ鳴きながら、からだを温めるために羽でからだをぶっているだけでした。
 ミソサザイもずまひわそのほかの鳥は、お日さまがもっと暖かく照らし、葉っぱがいつでも青々としている南の国へ、みんな飛び去って行ったのです。
 その温かい国で、クリスマスの夕方、若いかっこうは、1本の高い木のこずえにとまって悲しそうに辺りを見回していました。
 今しもお日さまが沈むところで、何千という花々が夕日をあびて光り輝いています。けれども若いかっこうには、何ひとつ目には入りません。まだ、本当のお母さんが見つからないし、そうかといって、ミソサザイのした話を忘れることも出来なかったからです。
 彼は、今までに3羽の若いかっこうと出会いましたが、その子たちも、みんな自分と同じ経験をしているのでした。そこで彼は、こんなことを考えるのでした――自分はお日さまに照らされる価値のない、のろわれた一族に属しているのだ、と。
 こうして彼が悲しいもの思いにふけっている時、近くの茂みで、さらさらと音がしました。見ると、1羽のおばあさんかっこうが、茂みの中から頭を突き出して、自分の方をじっと見つめているのです。
「あんたは、あんまり上きげんじゃないようね。」と、おばあさんは言いました、「どうしてそんなにしょんぼりと、口ばしをたれてるの? ここはまだ寒すぎるっていうの、それとも食べるものが十分なだけ見つからないの?」
「ぼくは、お母さんを探しているんです。」こう、若いかっこうは答えました。
 するとおばあさんかっこうは枝の上に飛び上がって、となりにとまって、まじまじと彼を見つめました。
「たぶん、私がお前のお母さんだよ。わたしゃ、今日のお昼にもう、お前さんを林の中でよくながめたがね。私の心臓が教えてくれたよ――お前は私の肉と血だって。」
「あなたがぼくのお母さんなら、あなたには心臓なんかありませんよ。ぼくの母親は悪いんです。あの人はぼくに、さんざ悪いことをしたんです。」
 こう言って若いかっこうは、自分のこれまでの話をして聞かせました。おばあさん鳥は、熱心に耳を傾けて、時々うなずいてみせるのでした。
バラやぶの中だって? ずっと北の国の大きな大きな森の中でね? まあ、すっかり話があうよ。そんならお前は私の子どもです。なんて大きく、立派になったことだろうねえ!」
 歳とったかっこうは、若いかっこうの羽を、口ばしでなでました。 けれども若いかっこうは、ひと声高い叫びをあげると、飛び上がって羽をバタバタふるって言いました。
「ぼくに、触らないでおくれ。あんたは悪い鳥です。ぼくは、あんたを憎みます!」
「やれやれ!」と、子どもの怒っているのなんか気にもかけずに、おばあさんかっこうは言いました、「まるで昨日のことのような気がするのにねえ。わたしゃほんとに長いこと、お前の入っている卵をくわえて、あちこち巣を探し回ったものだよ。なにしろ、私の卵にそっくりの卵が入っている巣を見つけなくちゃならないんだものね。 でなくっちゃ、親鳥が気が付いて、お前を外に放り出してしまうんだもの。それが、なかなか見つからなくてね。わたしゃすっかり疲れてしまって、お前をもう無くしてしまうんじゃないかと、とても心配になったものだよ。」
「いっそ、無くしてしまえばよかったのに!」と、若いかっこうは叫びました、「そうすりゃ、ぼくは生まれてこなかったんだ。そうして、小さい兄弟を殺してしまうこともなけりゃ、かわいそうな、親切なもずの両親苦しめることもなかったのに。それから、自分の母親がなまけ者の悪い鳥だ、なんてののしられるのを聞くこともなくて済んだのになあ。ぼくは、そんなことを言われても、ひとことも口答えができなかったんだからなあ。」
 歳とったかっこうは、ひとことも言いませんでした。ただ、怒っているわが子を、じっと見つめているだけです。
「どうしてあなたは、ほかの鳥みたいに、ちゃんと巣を作らないの?」と、若いかっこうは聞きました。 「なぜ、卵をかえしたり、子どもにえさを取って来てやったりしないの? それは、いったい、どういうわけですか?」
 歳とったかっこうのお母さんは、悲しそうに灰色の頭をふって、ため息をつきました。
「だれだって、自分の十字架(どうにもならない苦しみ・運命)を持っているんだよ。お前に言っておくけれど、かっこうでいることだって、それほどやさしいことじゃないのよ。お前だって、夏になって、また北の国へ行って卵を産むときになったら、わかるがね。」
「それじゃお母さんは、その時にはぼくも、あなたと同じようなひどいことをすると思っているんですね?」と、若いかっこうは、さも馬鹿にしたように言いました。
「私だって、そりゃ巣を作って、子どもが大きくなって世間へ飛び立つまで自分の手元で育てたいのは、やまやまですよ。うそじゃありませんとも!」と、お母さんは言いました。
「わたしゃ、毎年毎年、ほんとに夏には苦しい思いで、他人の巣の中に、私の卵を入れるんだよ。その卵がやがてどうなったか、誰も知らせてくれる者がいないの。 これが、いつでも気になってねえ。」
「じゃあ、なぜ、そんなことをするの?」
「ほかにしようがないんだもの。」と、歳とったかっこうは言いました、「これが、私たちの仲間の悲しい秘密なんです。話してあげるから、よく聞いておいで! いいかい、私は八日に1つづつしか卵を産めないのよ。だから、次の卵が産まれる前に、前の卵はくさってしまうし、自分でそれをかえしている暇もないの。 これで、話がわかったでしょう?」
「じゃあ、なぜもっと早く卵を産まないの? 卵を産むのが楽しくないの? ミソサザイは、かっこうはなまけ者だって言いましたよ。」こう、若いかっこうは聞きました。
「私だってそうしたいさあ! 自分の子どもを手元に置けるなら、わたしゃどんなことだってしますよ。ただ、それがどうにもならないの。私のおなかの中には、いつでも、たった1つしか入る場所がないの。そうして、その卵がちゃんとした卵になるまでに、かならず、八日かかるんだもの。」
 若いかっこうは、不信の目で、お母さんをながめました。
「そんなこと言ったって、信じませんよ。みんなでたらめの言い逃れさ! もずなんか、あんたの半分の大きさしかないけど、あっという間に、卵を産むじゃないの。」こう、彼はきっぱりと言いました。
「そら、もずさんは産みますさ。」と、お母さんかっこうは答えました、「だから、そのことを神さまにお礼申し上げてもいいわけですよ。でも、もずさんには、私たちかっこうほど、大きい毒のある毛虫を食べることはできないじゃないの。ああいう毛虫には、あんまり肉がないんだよ。だから、私たちは、どっさりたべなくちゃなりません。そのために、私たちの胃袋は、とっても大きいのね。それで、卵のためには、ほんの小さい場所しか残っていないんですよ。」
「ほんとかな?」と、若いかっこうは言いました。
「本当ですとも!」と、お母さんは言いました。
「こういう具合にね、1つのことが、また別のことの原因になってるんだよ。ちゃんと、そこを見きわめなくちゃね。 そうすると、どんなにつらくみえることでも、辛抱できるんですよ。」
「ふうん、それじゃ、お母さんには、罪はないんだ。」
若いかっこうは、しばらく考えてから、こう言いました、「じゃあ、あなたを怒ったことを、どうか許してください。 だけど、ほかの鳥が、そういうことを知らないで、ぼくたちを誤解しているのは、ほんとにつらいなあ。」
 すると、歳とったかっこうは、ひどく真面目な顔をして、こう答えたのです。
「世の中ってものは、とかく、そうしたものなんだよ。私たちは、みんなが好き勝手なうわさをするのを、だまってしゃべらしておかなくちゃならないのさ。良心に恥じるところがなくて、自分の仕事をせっせとやっていたら、ひとが何と言おうとかまわないじゃないの。そうして、かっこうの仕事というのは、そらね、害になる毛虫を、どっさり食べることなんですよ。」

ここに引用転記させてもらった『かっこう』はデンマーク人:エワルの作品ですが、この科学童話を読んで、何を学ぶかは人それぞれでしょう。しかし少なくとも、この大自然の成り立ち根底から破壊してしまう核兵器の使用は、どうひねり出しても正当化のしようがないことは明らかですね。
 安倍晋三首相、トランプ大統領殿、核戦争(第三次世界大戦)だけは避ける方策を、勇気を持って、お取りくださいね。
 2017 10/21 Hiro. Oyama

|

« 「国破れてマッカーサー」を読んで。北朝鮮核問題の抜本的解決策。"Countries torn MacArthur" reading. Solution of the North Korean nuclear issue. | トップページ | Trump President, Shootings and the nuclear issue is the same in essence. In the legitimate defense, this world will end.トランプ大統領、銃乱射事件と核問題とは本質的に同じ。正当防衛論では世界は滅びる! »

Y 昆虫記・古墳の科学的分析」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 「国破れてマッカーサー」を読んで。北朝鮮核問題の抜本的解決策。"Countries torn MacArthur" reading. Solution of the North Korean nuclear issue. | トップページ | Trump President, Shootings and the nuclear issue is the same in essence. In the legitimate defense, this world will end.トランプ大統領、銃乱射事件と核問題とは本質的に同じ。正当防衛論では世界は滅びる! »