Y・・田舎の生活・・大人の童話

2017年1月18日 (水)

尾ひれが付く噂(うわさ)話(救急車・パトカー)

 田舎では、うわさ話があっという間に伝達されます。今日はその情報伝達の仕組みについてお話ししましょう。
まずは、救急車がサイレンを鳴らして、村中を走ったとします。
そのサイレン音を聞いた村人は、その行先をあらゆる手段を使って聞きまくります。「どこの家に行ったのか?誰が運ばれたのか?」
「どこに搬送されたのか?」
「彼はどんな持病を持っていたのか?」
個人情報や秘密なんて存在しないのです。村が幾つか集まって町を形成していますが、その町が4000人の住民がいたとして、そのうわさその日の内に全町内を駆け巡り、知れ渡ってしまうのです、なんせ暇な人ばかりなのですからね。
 救急車のサイレン音でその状態ですから、パトカーサイレンを高らかに鳴らして走り過ぎればそれどころの騒ぎではありません。
近所の人に根掘り葉掘り聞きまくり、どんどんと話しが盛り上がって尾ひれが付いていくのでした。
 実例ですか?
ありますよ、つい最近、私がその被害にあったのです。病院から退院して出て来たら、村中どころか住んでいる町中の人々から「大丈夫ですか?」と声を掛けられました。
図書館司書の方と偶然あった時のまず一発目の言葉が「元気になられたのですか?」でした。『どんな情報が飛び交っていたのか』と探ってみると、「パトカーに逮捕されて、警察に連れていかれ、その後精神病院に入院されていたのでしょ。」という反応が返って来ました。
3か月と半月、病院に閉じ込められていました。えらい目に会いました。右翼の連中に・・・」と事情説明をしようとするとさえぎられ、「警察官だったのでしょ。貴方は警察官を右翼の連中と間違えただけですよ。病気は完治したのですか?薬は飲み続けなければいけませんよ」と続くのですかららちがあきません。
こういう時の対処方法はいたずらに事情説明を試みるのではなく、静かに時が解決してくれるのを待つのが一番いいらしいです。

 話に尾ひれが付いていく過程の解説です。
別に隣人が喋りまくった訳ではないのです。ただ単に質問に見聞きしたことに邪推(じゃすい個人的見解)をホンのちょっぴり加えただけの話なのです。あとは伝え聞いた人々が適当に、その内容をふくらませて伝達していくのでした。
 話の発展方向は決まっています。
悪い方に尾ひれが付いた方が うわさ話としては面白いと相場が決まっています。良い方向への話なんて、門口からちっとも出て行きませんが、悪いうわさは千里の道を走るのでした。

 どうして良い方向への話は門口からちっとも出て行かないか分かりますか?
セライがあるのです。周りの人が幸福になっていくのが妬ましいのです。周りの人が不幸になっていけば、『あれよりは自分の方が幸せだな』と、どうしても思ってしまうらしいですな。
心当たりがあなたにもあるでしょ?

「どうして3か月余りも精神病院に閉じ込められる羽目に陥ったのか」という質問ですか?
それはね、長くなるからその内にお話しすることにしましょう。今日はここまで!

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2015年12月15日 (火)

童話4、 "ふたつの電話" 「乃美学園校歌収録記念」写真ありがとう。

概要: 些細な違いが大きな変化を生み出している現実を実例を通して説明しています。明るい未来を望み続ければ希望あふれる未来が訪れ、暗い未来を抱くと減衰カーブに乗っかって行く現実を実感して頂きたい。

       童話4 "ふたつの電話"
                                      大山 宏
 布団の中から出ようか出まいか、もう少し寝ていようかどうかと私は悩んでいました。
その時です。電話の呼び出し音がけたたましく鳴り響きました。
「今朝は雪が積もっていますよ。初冠雪ですよ。」
寒い訳だ。ちょっと待って。服を着るから。」
  ・・・  ・・・
「OK.石油ストーブもつけた。何だね、朝っぱらから。」
「今日は社共(社会福祉協議会)で歌う日でしょ。暖かい部屋が準備できるかしら。」
「大丈夫。先日電話があって、『冷暖房設備が壊れたので、歌う部屋も、我々が衣装に着かえる準備室も、暖かい部屋を準備してあります』とのことでした。」
「安心した。
会場に到着して寒い部屋だったら、また大山さんが叱られるのじゃないかと心配したのよ。
   集合は1時だけど、会長さんは早めに来てよ。」
「分かった。 今日も3人を車に乗せて早めに行くんでしょ。貴女が着いた時に私がまだ到着してなかったら、多分忘れて、”小説書いているか、寝ているか”のどちらかだから、電話で叩き起してよ。」
「了解です。朝っぱらからごめんね。」
 そう言えば昨夜も週末婚の妻から電話があり、
「寒い。寒いわねー。豊栄に行きたくないよー」
「そんなこと言わないで、飯作りに来てくれよ。石油ストーブをガンガン焚いて、暖かくして待っててあげるから。」
「昨日も今日も寒かった~。」
「確かに昨夜は寒かったよ。
昼間雨だったし、天気予報でも山間部には雪の予報が出ていた。でも、昨夜の天気予報は"はずれた"ね。やっぱり私は晴れ男だね。
  実は一昨日(おととい)の午後、道路ッぱたの草刈をやったのだけど、暗くなったので草刈機で刈った草を片付けないで『明日、の仕事だ』ということにして家[臍(へそ)の館]に帰ったんだ。
 そしたら、次の日雨だろう。
『ああ骨休めしなさい』ってお天道様が仰ってるんだ、と解釈して、小説やブログを書いてたんだ。 そして今朝だろう。
『まだ曇っている。でも、ほったらかしにしておくとまた近所からクレームが出て大変だ。絶対に片付けてしまわないことには、、」と思って、仕度して出たんだ。

 今にも降り出しそうなほどの雲行きだ。
そのうち小雨がぱらつき出した。普通だったら、仕事止めて、館に引き上げるところだよ。
でも、今日はそうはいかない。絶対に片付けてしまわないと、隣りの奥さんの小言を聞かされる羽目になる。
天よ俺の言うことを聞け。雨よ降るな
 
この雨は何処か隣りの町にでも降らせてあげて、私の周りには降らせるな。 至急対処しろ。」って命令したんだ。

 そう天に向かって命令して、小雨の中で草片付け作業を、30分も続けた頃だろうか、小雨は止んで、だんだんと明るくなって来た。
更に1時間後には、青空が広がり太陽が顔を出して来た。
 少し暑いくらいだったよ」。

「また、『俺は超能力者だ!』って言うんでしょ。」
「その通りだよ。自分の頭上の天候ぐらい、簡単に変えられるのだよ。天気予報官や、周辺の人達はえらい迷惑だろうけどね」。
「その続きは、またにしてね。お休みなさい」。
 っというような雑談を交わしていたのでした。

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2015年12月13日 (日)

童話3、"ひばりコーラス"サークル_のゆくえ?

概要: 身近なところに栄枯盛衰の物語は転がっているもの。 今は老人ホームの一室で静かに暮らしている母と私の物語を、算数で分析してみました。合唱団の人数の推移実績は、見事に栄枯盛衰カーブに乗っており、明るい未来も予測してくれました。

   童話3、"ひばりコーラス"サークルの ゆくえ?
                                           
 一昨日は「民族楽器同好会」サークルが(私が退会してもしな
くても)5~6年で解散に追い込まれるであろうという真にショッ
キングな断定をコンピュータ(EXEL)がはじき出してくれました。
 実はこの私、この田舎で、もう一つ「文化サークル」に所属し、
活動を続けています。"ひばりコーラス"という合唱サークルです。
  このサークルの"未来"も占ってみましょう。
私がこのサークルに参加したのは、昨年(2014年4月)でした。
「参加のきっかけは?」ですか。
ちょっと込み入っているのですが、出来るだけ整理してお話し
ましょう。
 直接のきっかけは、これもやはり婚活活動の一環だったという
こと。 私は今から4年ちょっと前、長年連れ添って来た妻と別れ
ることになり、このサークルに入る約1年前までの3年間、
 全国区で立候補して婚活を展開して来ていました。
 しかし、200万円近くの資金を注ぎ込んだにもかかわらず、
嫁さんになってくれる女性は現われなかったのでした。
 そこで私は一大方針転換をして、婚活会社'ノッツェ'を退会し、
こちらから「結婚して下さい」という活動は止めたのです。
 一方、私の母親は、現在91歳(大正13年2月27日生まれ)
でして、私が離婚する1~2ヶ月前に有料の老人ホームに、
みずからの意思で入っていました。心から私の再婚を切に願っ
てくれている、数少ない理解者の一人でした。
 その母の元を訪問するたびに、母が「翼を下さい」という合唱
歌を口ずさむのです。
私は、「その老人ホームにあるピアノを弾いてやって、お母さん
気持ち一杯、歌わせてあげたい。」という夢を持ちました。
そして、その合唱曲”翼を下さい”という楽譜を探したのでした。
 しかし、母の古い楽譜を探し回っても、その歌の楽譜が見付
からないのでした。
 そこでふと、母の若い頃からの友達である"前浜さん"という人
の名前を思い出し、電話で聞いてみたのです。

「”翼を下さい”という歌を母さんが歌っているのですが、多分 昔
 前浜さんたちと一緒に歌っておられたのではないでしょうか?」
「ええ、ええ、一緒に良く歌っていましたよ。」
「母の楽譜を探したのですが、どうしても見当たりません。
 もし楽譜を手元にお持ちならば、借りに伺いますので、コピー
 させて頂けませんか?」
「ええ、探しておきますから、都合の良い折りにいつでもお越し
 下さい。」 ということになりました。

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2015年12月11日 (金)

童話2、 「民族楽器同好会」のゆくえ?

概要: 仲良くやっていた同好会サークルがいつの間にか、
    消滅していたという話はちょくちょく耳にします。
   実際に身近に起きた人数変化から、その会員数の趨勢
  を占ってみて、自分自身が、ぞーっとしたという話です。

 私が”へその館”でブログを書いていたところ、携帯電話が
鳴り響きました。
「はい、大山ですが、」と出てみると、「民族楽器同好会」の
リーダー:Aさんからでした。
 不機嫌な雰囲気が伝わってきます。
「・・・。今日はサークル活動日ですが、何か不都合なことでも
     あったのでしょうか?」
「いいえ。自宅におりますが、、何か?」
「今日は練習日ですよ。
 連絡もしないで休まれると、皆が迷惑するのです」。
 はっと気が付いて(カレンダーを見て)私の勘違いであった
ことに気が付きました。
「この前もドタキャンをされました。こう度々だと、色々と支障
 が出て来ますので、サークルを退会して頂くことも、考えて
  頂かないといけません。・・・。」
「あの時は、事前に皆さんの前で、ボランティア発表会不参加
 の意思を伝えたつもりでしたが、、。」
 さえぎるように、AIさんは言葉をたたみ掛けてきます。
「『(新妻さんと調整してみて)参加されるかどうか、検討して
  みる』と仰ったではないですか。 私は連絡が無いので、
   てっきり出席されるものと思っていました。」
 確かに連絡することが気にはなっていました。言い訳には
なりませんが、11才も私より若い新妻のご機嫌取りに忙しくて
 連絡のタイミングを失ってしまい、 そのまま、
  ”ボランティア発表会”の事を忘れてしまったのでした。
 さてそこで、私はパソコンに向かい、退会するかどうかを
[EXEL]で調べてみることにしました。
私が民族楽器同好会に入会したのは、昨年末の11月でした。
 そのきっかけは動機不純ながら、婚活の一環でした。
その婚活は成功して、『フランス8日間の新婚旅行』にまで行く
ことができたのですから、民族楽器同好会へ積極的に参加し
 たことは"大いに効果あり"だったのですが、、、。
 そんなことはどうでもいいです。
 その私が”民族楽器同好会”に加わる前の人数は、先生を
除くと9名でした。
そこに私が加わって、10名になりました。
それから半年後に2名の女性が加わって、総員12名になった
のでした。
 私が「会」から除名処分を受けると、1年後の会員数は11名
に減ることになります。
この数値を"EXCEL〔数値予言〕システム"に入力してみました。

  半年前に、9人、
  ⇒ 半年後に私が加わって、10人
   ⇒更に半年後に、12人という数字の並びです。
その次の半年後の人数を、パソコン〔EXEL〕は如何に予測して
くるのでしょうか。
 パソコンの答えは「15.55人だ」と出ました。
 人数は整数ですから四捨五入して、⇒「16人」が回答です。
しかし現実には、次の半年後(現時点)の人数は12人であり、
 私が脱退させられると、11人となってしまいます。

 16人の回答は現実と合いませんので、サークルメンバー数
に先生も一人と数えて、
  10人(1年前)⇒ 11人(入会時)⇒ 13人(現在年)
としてみました。
     すると、表示は、16.51 です。
先生を加えた人数ですから、一人引くとメンバーの数は、
15.51 ∴ 15.55〔16人〕⇒15.51〔16人〕で、
 やはり、同じ予測値〔16人〕になるのです。
 そこで、はっと気がついて、入力数字をずらしてみました。
即ち、先生を除いた会員数であって、
  しかも、私が加わった数で、計算させてみたのです。
10人⇒12人⇒12人 として、来年私がそのサークル内に残っ
ているかどうかを予測させてみたのです。

   その結果は、ピッタリ〔10人〕が回答でした。

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2015年12月 9日 (水)

童話1、 「白ゆりの花」もフィボナッチ数列で咲く。

 「白ゆりの花」もフィボナッチ数列で咲く。
 「へその館(我が家)」には白ゆりが自生しています。
最初は、何処かから種が飛んできたらしく、池の中に2本だけ
生えました。
 次の年には池の中に2本と、池の直ぐ近くの庭石の傍に3本の
ゆりがたくましく生えて来ました。
 私はその庭に生えて来た、その"白ゆりの花"を気にかけて
やりました。
その次の年には、8~12本のゆりが白い花を開き、今では
私の家の庭は、毎年数百本の白ゆりが、背の高さと長い鼻(はな)
の長さと香りとを、咲き競うようになりました。
 田舎(いなか)の館(やかた)なので、庭は豪邸(ごうてい)並みに広い
のですが、"白ゆり"たちはそれでも満足できない様子で、
畑や墓地にまで進出し、勢力拡大を図って行きます。
そのバイタリティーたるや、憎たらしい気持ちを周囲の人々に与え
るのも、自然な成り行きに思えました。
 私の姉や母は、庭に我が物顔に咲き乱れる白ゆりを嫌いました。
私が倒れたゆりの花を切り取って花瓶に入れ、部屋の中に生けて
いると、「臭いがきつい」とか、「洋服や座布団などに花粉が付くと、
あの山吹色の花粉は、洗っても取れないんだから」と、嫌いました。
 そんな家族の皆が嫌がるのを意に介さないで、
     私はその白ゆりたちを見守ってやりました。
 昨年の晩秋のある日、
私は『庭の中はもう充分だ。門の外にもゆりを生やしてやりたい。』
と思い立ち、バナナの房(ふさ)ほどに実った種を集めました。
 バケツに2杯分の種が集まりました。
その種を、目の前の舗装道路と塀(へい)との間にある雑草地や、
道路の傾斜面などに、ばら撒いてやったのです。
 2日がかりの仕事でした。あれだけのことをしてやったのですから、
期待としては、
 『きっと来年は門前にも、白ゆりが咲き乱れるだろうな』と思うのは
  当然です。
 ところが、です。
次の年である今年(2015年)に不思議なことが起りました。
庭にあれだけ生えていた"ゆりの花"の本数が、例年の勢いほどで
はなかったのです。
しかも、
 "小ぶり"の白ゆりの割合が増えたのです。
   咲き乱れる時期にも変化が現われました。
    遅咲きのもの、早咲きのものが明らかに増えました。
一方、
 バケツ2杯分という種をまいてやったにもかかわらず、門の前に
咲いた白ゆりは、わずかに2~3本咲いただけという状態でした。

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2011年9月 9日 (金)

浜辺のキツネ-7 ( 乞食とボランティアの境目 )

 初老のキツネは時々「けちんぼう」と呼ばれた。青年時代には「吝嗇家(りんしょくか)」「渋ちん」「どけち」・・とも呼ばれた。同じ事である。

 「何でも捨てるのはもったいない。」とまず思う。『何かに活用できないか?』と常に考える。生まれついてからの(物心付いてからの)習性であり、それを製品開発という自分の仕事にも生かして来た。

 今、東北でボランティア活動をしていて当惑したのであった。ともすると自分自身が乞食(こじき)と区分け出来なくなる のだった!

 どちらも収入は零(ゼロ)。生き抜くためにケチケチ戦略を実行する。腐ってない限り、手にした食物は食べる。風呂には”ただ(無料)”でなければいつまでも入ろうとしなくなる。 もちろん、着た切り雀(すずめ)。・・・

 「志(こころざし)が違う!」と言いたいであろう。しかし、被災者の内に見え隠れするもの(エゴ?)が、ともすれば その思いを打ち砕く!
「私はどうしてここ東北の被災地にわざわざやって来たのだろうか?」と、キツネは悩んだ。

『 瀬戸内海の小島に帰ろう。 この辺りがボランティアの限界なのかも知れない。』 そのように 初老のキツネは思った。

 被災地の一つである宮城県亘理町を離れて高速道路に乗った。来る時はつぼみだった辺りの桜の花は散ってしまい、葉桜が緑を競っていた。
磐梯山近くのサービスエリアだったか、初老のキツネは気抜けしたようにぼんやりと辺りを眺めていた。

 その時、放心状態の薄汚い初老キツネを見た中年ウサギ が、声をかけた。
「 ボランティアなさっていたのですか?」
「 ええ、そうですが、、?」
「 それは本当に御苦労さまでした。有難うございました。私の家族も一人、この震災で亡くなりました。でも、私なんかまだいい方です、行方不明であった家族が五体満足な遺体 として見つかったのですから。
 今も行方不明の方々が、1万人近くおられます。その方々に較べれば、私なんかは幸せです。
 遠路はるばるボランティアに駆けつけて下さって、本当にありがとうございました。」

 これを聞いた初老キツネの眼から、おもわず涙があふれ出した。
『 この一言でいい。この一言で私は救われた!』
『遠い瀬戸内海の小島から わざわざ来た甲斐があった!』と思ったのだった。

「大人のイソップ(浜辺のキツネ)」
  通読感謝!2011,9,06 大山宏

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2011年9月 8日 (木)

浜辺のキツネ-6 ( トマトの風評被害 )

 相馬中村神社に「トマトを収穫してくれ」との電話が入って来た。風評被害で出荷できずに困っているとのことだった。

即座に、青年キツネ達 が2台のバンに乗り会わせて出動していく。場所は、福島第一原発事故現場から半径30Km圏内(南相馬市)だ。初老キツネ も少々緊張気味。

 海岸沿いの道々は、まるで戦場跡でも見るが如く であった。訪ね尋ねてたどり着いた広い場所には大きなビニールハウス が10数棟、平行設置されていた。

 蒸し暑いハウスの中で収穫作業が始まる。コンテナ籠10箱は、じきに一杯となった。
ビニールハウス内は家の中と一緒で、放射能の影響はほとんど無いはずなのに、突然福島県産のハウス物トマトまで 売れなくなる。
風評被害に関して薄々は聞いてはいた。しかし、実際に現場で作業をしてみると、生産者の苦渋苦悩は痛いほど伝わって来る。

 過去のトイレットペーパー騒ぎ、災害直後の株価の暴落、放射能被害・汚染を極度に(病的に)避けようとする異常反応に、現代社会のもろさ・あやうさ を、ハウス物トマトを収穫しつつ、初老キツネは危惧した。

 「県外に出荷出来ないものは、県内で消費すればいいじゃないか」との趣旨だった。収穫したトマトは、近所の幼稚園や非難場所となっている小・中学校などに希望に沿って配って歩いた。
 何処でも大変歓迎されたのだった。

 誰かが損をすれば、誰かが得をしているらしいこの世の中。初老狐は『火事場泥棒 や、暗躍する(白昼堂々と歩いている?)死の商人 憎い!』と、改めて思った。

大山宏「大人のイソップ」 -- 続く --

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2011年9月 7日 (水)

浜辺のキツネ-5 ( いきなりのボランティア活動 )

 瀬戸内海の小島から東北被災地までは、高速道路でも1日半はゆうにかかる。ガソリン代はもちろんのこと、高速料金も自前だ。
気の毒がって途中のインターチェンジでは、詳細な全国道路地図を「ただ」でプレゼントされた。

 東尋坊を過ぎ、新潟を目指して走る。日本海沿いに走る東北道は、車も少なく、アウトバーン並みに飛ばせる。海に沈む夕日が美しい!
初老のキツネは、自分の行動力に久々の満足感を感じながら走った。
あの時は自転車だったが、ヨーロッパ大西洋の海を横目に走ったオランダの西海岸や、アイセル湖を仕切る大堤防(ダイク)のことを思い出しつつ走り続けた。

 新潟から福島県に抜ける途中で、夜になった。雨が降っていた。10時過ぎ、誰もいない休憩所近くの空き地に駐車して寝た。

あくる朝起きて見ると、自分の眼の前には雪壁 が連なっていた。付近一帯は銀世界!、寒いはずであった。寝袋二枚でなければ凍死 していたかも、、?

 磐梯山を横目に走った。会津磐梯山は雪 に覆われていた。『 そろそろ、ガソリンを補給しなければ、、』と、ガソリンスタンドに立ち寄る。

「今日の分は既に売り切れました。次の補給タンクローリーがいつ来るかわかりません」。
 初老キツネは急にあせった。『 まだ予備タンクにはガソリンが入っていない。被災地に近づけば近づくほどガソリン補給は困難になっていくはずだ。・・・』

 幸いにも、次のサービスエリアで給油はなんとか出来た。
ほっと、胸をなでおろした。

 相馬市に入った。口コミ情報で得た「相馬中村神社」を目指して走る。
『 この辺りのはずだがな、。』と、思いつつ携帯電話をかけてみる。

「今、何処にいる?、そこから何が見える?」
「お堀と、小学校か中学校の建物が見えます」
「ちょっとの間、そこから動かないで待ってて下さい。」

 しばらくして古風な学校らしき建物から、一人の青年キツネ がこちらに向かって歩いて来た。
「今、被災者の集団移転準備 の真っ最中なのです。突然で申し訳ないが、手伝ってくれますか?」

 いきなり、ボランティア活動が始まった。
初老キツネは結局、昼食を取り損ねてしまった。
 (むしょうに)熱厚の油揚げ入りうどんが食べたかった。

大山宏「大人のイソップ」 -- 続く --

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2011年9月 6日 (火)

浜辺のキツネ-4 ( いざ、東北被災地へ2000Km )

 四国八十八カ所巡りのほんの入り口で(否、四国に渡る直前で)、居ついてしまった。実に居心地が良かった。地元のタヌキ達は、皆ニコニコしていた。「玉ねぎ を食え」「ワケギ をあげる。このキャベツ も食べて!」「ジャガイモ は好きか?サツマイモ は?」「缶コーヒーを飲め」・・と、誰れ彼れなく勧めてくれる。

「お主が居てくれるだけで、付近にゴミを捨てる奴(ふとどき野郎)が激減した」とのことだった。

 近所の畑の草抜きも手伝った。タヌキ親父がゴミ捨て場としていた海岸の出っ張りも、片づけさせてもらった。初老キツネの故郷と比べれば、まるで天国と地獄だった。

 そんなある日(3月11日)、東北大震災 が起こった。悲惨な状況が毎日、長時間、テレビやラジオで報道された。

 報道を見る度に、初老キツネは居心地が悪くなった。
『 こんな所でボランティアしてていいのだろうか?どうせ同じボランティアなら、最も必要とされる東北で やるべきではないか?』
一方で報道アナウンサーは、「今、現地にはボランティアに飛び込まないで下さい」と繰り返している。

 悶々とした日々が3週間過ぎた3月末、意を決して準備を始めた。
インスタントラーメン20食分、即席カレーライスパック10食分、大盛り焼きそば10食分、手持ちの白米15Kg、、鍋、フライパン、携帯ガスコンロとガスボンベ缶6本、、寝袋2つ、雨合羽に長靴、ゴム手袋、軍手、熊手、ジョレン、鎌(かま)、、折りたたみ自転車、持ち運び用ガソリンタンク、、、

 タヌキ親父 :「 ワケギ を好きなだけ持って行け!」
有難く、頂戴した。
 あばら家 軒下の桜のつぼみ は、少し膨らみかけ始めていた。

 大山宏「大人のイソップ物語」 -- 続く --

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2011年9月 5日 (月)

浜辺のキツネ-3 ( 刺さった釣り針 )

 すっかりその島が気に入った初老のキツネは、正が日の3日間をその浜辺で過ごした。四国八十八カ所めぐり に改めて旅立つにあたり、何かお礼がしたかった。
『 やくざでも、一宿一飯の恩義 を感じる。ましてや初老の私がしない訳にはいかない』。

 改めて周囲を見廻すと、釣り人が捨てて行ったゴミで、海岸 ごみだらけ であった。『 そうだ、これを掃除してあげよう!』

 自分が運転して来た車から草刈り機を取り出し、付近の草を刈り始めた。
ものの5分もしない内に、草刈り機が回転しなくなる?
見れば釣り糸が幾重にも絡まっていた。
数分毎に回転が止まり、巻き付いた釣り糸を取り除く。次第に乱暴な取り除き作業になっていく。

 『 痛い!』 鋭い衝撃が手に走った。
見ると小指の付け根に太い釣り針 が食い込んでいた。
『 取れない。困ったぞ。』

 向こうの砂浜に釣り人が数人たむろしていた。走り寄って「抜いてくれ」と頼んだ。
あずってもあずっても釣り針が取れない。終いには「病院に行った方がいい」と言いだす。
「 冗談じゃない。今日は1月4日だぞ。病院なんか開いてない。たったこれっポッチのことで病院なんて勘弁してくれよ。何とか取り除いてくれよ」

 そうこうする内に、軽トラック が通りかかった。 『 しめた。地元の方だ。』
車の中から年配の たぬき親父ヌーっと 現れた。
「釣り針がここに刺さってしまった。何とかなりませんか?」
「・・、ペンチは持っているか?」
「 あります。」と、車の中からペンチを取り出して差し出す。
「 眼をつむってろ!」

 一瞬だった。見事に刺さっていた大きな釣り針は取れていた。
は直ぐに止まる。海での怪我は膿んだりしない。」
「ありがとうございました。」

「何してたんだ?」
「草刈り機に絡まったゴミを取り除いていて、グサリっと刺さったのです」
「ああ、お前か。あそこの海岸に草刈り機を投げてあったので、不審に思っていたのだ」。
「(3日間、お世話になったので)一宿一飯のお礼にと、海岸の掃除をしてました」。

 気を良くしたタヌキ親父は言った。
「何処から来たか?何処に行こうとしているのか?」
「四国八十八カ所巡りに向かう途中です。ここ数日、この浜辺でお世話になりました」
「(急ぐ旅ではなさそうだな)あの部屋を貸してやる。ゆっくりして行け。家賃はいらない。俺の海の家 だ。付近を暇な時に掃除してくれればそれでいい。トイレはあそこだ。水はこの蛇口から使え。電気も自由に使っていい!」

 願ったり叶ったりであった。

大山宏「大人のイソップ」 -- 続く --

 

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