X・・「奇妙なゲーム」猫の鈴:Henry Morton Stanley革命

2009年6月27日 (土)

No.8、意識改革から始める、3倍の効率アップ作戦

98/12/01 炬燵(こたつ)にあたりながら、宏は"X"プロジェクト(最終日)用の3倍効率アップ作戦の文章を、以下のように校正した。

ヘンリーモルトンスタンレーへの回帰

 約束事。契約事・ルールを"自分は守る"意識改革 … チャージ休暇の報告書提出が義務付けられていますが、貴方は提出しましたか?少し前の統計ですが、5人に一人しか提出されていません。『周りの人が提出していないから自分も出さなくていい』とは、何処の国のルールですか。村社会からはいいかげんに脱却しましょう。チャージ休暇制度は副社長の提案から始まり、他の会社に誇れる良い制度です。感謝の気持ちを伝える事が重要です。
 感謝の気持ちが持てない、素直に伝えることが出来ない所に「明るい社会は育ちません。ある会社にはなり得ません。これを読んだ貴方!すぐその場で書いて下さい。それが我が社の改革の第一歩です。30分あれば紙切れ一枚位の文章は書けるでしょう。直ぐに実行して下さい。
 だめ押しにもう一言。
書こうか書くまいかと悩む時間、村仲間で相談し合う時間があれば、書けばいいじゃないですか。プレゼントしてくれた人が「報告して下さい」と仰っているのですから。

② 納期の半分で8割がたをやっつける研究・開発スピードの確立 ・・・
 納期の"さば読み"は、双方の合意の上で実行する事。
 『 半分の納期で全体の計画は組み立てよ。』
 早く出来たら早くトス。
8割がベスト何事にも完全はあり得ない )。
 研究開発は"電車の中"でも出来る。"トイレの中"でも"夢の中"でも出来る。
 8時間労働  24時間労働 へは研究開発者の人達には極自然に実行できるはずです。それくらいやって初めて他社に追いつけ、追い越せるのです。他社の多くの研究者・開発者はそれを実行しているのです。

③ 「3日、3月、3年 の意味する事 ・・・ 人が集中思考できる限界は 3日なのです。3日考えても解決しない仕事は、30日考え続けても解決しません。"3"の仕事だったのだと割り切りなさい。"3"考えても解決の糸口さえ見つからない仕事は "3年計画"に立て直しなさい。大きく時間単位を変更するのです。

④ 技術蓄積 ・・・
 『技術』には『営業技術』もあります。『企画技術』だってあります。フォーマットにこだわらないで下さい。スペシャリストをルールで縛らないで下さい。
『アフリカ探検にルールは無かったぞ!』という声が聞こえて来ませんか?
研究開発は10テーマ中 3テーマ成功すれば大成功です。3年やってみて成功の糸口もつかめないテーマは切り捨てよ。但し、失敗の記録は残せ。
「ころんでも"ただ"では起きない気概を持て。」という声が聞こえて来ませんか?

⑤ 方針・目標をコロコロ変えないマネージメント体制の確立 ・・・ 
 上司がぐらついたら、部下はもっとぐらつく。部下を信頼する事。2回はだまされてやって、"仏の顔も 3度まで"で、3度目は厳しく罰する事。
 上司の仕事は『進むべき方向を示した後は、部下の活動時間を適格に守ってやる事』に尽きる。
  経営陣は自らトップセールスに努め、業界とのコネクション造りに努め、企業の永続性を確保する事 』。こんな声が聞こえて来ませんか?

 推敲を終えたところで宏は「この文章が全社員の手に渡っている光景」を思い浮かべながら、「こうなれ!」と念力をかけた。(スポーツの世界ではこの行為をイメージトレーニング呼ぶらしい。また、宗教の世界では"祈る"とか"祈祷"とか呼ぶらしい)。
 しばらく経ってから、宏は煙草が切れていることに気が付いた。昨日帰り道で買いだめしようと思っていたのに、酔っ払っていて結局買えなかったことを思い出し 笑った。中目黒から電車に乗り、自由が丘で確かに乗り換えたのにもかかわらず、また同じ方向の桜木町行の電車に乗っていた事を思い出して、また笑った。
 宏は煙草を買いに出かけた。
既に値上がりしている。300円投入し、セブンスターのボタンを押した。チャリンと1回だけ音がした。返却された50円玉を手にしながら『これでいいのだ』と思った。そう思いながら、イタリアの"カプリ島"でマルボロを買った時の事を思い出した。
 タバコに火を点けながら、「ここから先は気まぐれな神様が選ばれる事だ」と思った。『あの文章を読んでくれた人が、どちらの道を選ぶかは その人自身が決めることだ。』と思った。
そう思いながら
 宏は煙草の煙の流れと戯れていた。

 「ここはどこ? 私はだれ?」(おわり)
 1998/12/01 大山宏

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2009年6月26日 (金)

No.7 お役所的参入障壁を破るには

《 Re: 》 

この自己紹介なら100点満点。こんなサクセスストーリーの自己紹介に反応しないと言うのは???? もうその技術者達は先がない。学校の研究じゃないんだと機会があったら喋ってくれ!!(・・・)製品じゃないが、完成した頃にはもう遅くちゃ開発費が回収できない価格になってるんだ・・と。すなわち技術開発にはタイミングがあるんだよ!いついつまでにというタイミングがね!

この人達は自分が開発したものが世に出てその喜びを10年間感じない人達なんだ。これらは別の職場へ転属すべしという講演を思い出した。貴君が心配していることはない様に、私が直接指導に行くので安心しなさい。  Ryuuより 

誤解は解け、宏はほっと一息ついた。しかし まだRyuu殿は「直接指導に行く」と言っておられる。『これをされると話がややこしくなる。なんとかしなければ』とは思ったが、こちらの方は司令官、副司令官に事情を話してあるので二人に(下駄を預け)、宏は頭を切り替えて、取り合えずCグループの作業に専念することにした。

事業Xで最大の壁に遭遇

2名の課長さんにインタビューさせてもらった結果、(1)、官公庁の壁の厚さ(ハードルの高さ)について詳細な(具体的な)情報を得た。(2)永続的なトップ方針に基づく10年単位の付き合いが必要との情報を得た。これに対処すべく、『壁を打ち破る方法』についてブレーンストーミングを実施。

ポイントは「如何に突飛なものでも出されたアイディアを否定せず(建設的な方向へのヒントとして活用し)アイディアを積み重ねていく。」ということ。一人でも可能だが、グループ活動で相乗効果が生まれることが多い。 以下は今回の結論。

お役所的参入障壁を回避できる方策(ブレーンストーミング) R氏、大山、トム、Z氏

回避とは、・・乗り越える。パスする。無くする。迂回する。・・

(1)、引き返す。あきらめる。 

(2)、背を向ける。目的を換える。 

(3)、木の根っこで壊される(風化する)を待つ。 

(4)、外圧で乗り越える。 

(5)、見えなくする(実際には無かったようにする)。 

(6)、壁と友達になって、遊びながら壊す。 

(7)、壁の下にトンネルを掘る。 もぐって越える。穴を開ける。 

(8)、壁の素材を調べて、壊し方を研究する。 

(10)、向こう側からこっちに来させる。 

(11)、相手に開かせる(トロイの木馬)。 

(12)、壁の周りに土盛りをし、低くしちゃう(外堀を埋める)。 

(13)、隣の敵に破らせる。他人を使って破らせる。 

(14)、将を射んとすれば まず馬を射よ。 

(15)、逆に高くして自壊させる(倒させる)。 

(16)、自分の背を高くする。竹馬戦術。棒高跳びの原理。飛行戦術。 

(17)、壁の前に別の壁を。(元の壁の存在価値を低めてしまう)。 

(18)、壁の前に階段を付ける。 

(19)、壁を味方に付ける。(壁でなくしちゃう)。 

(20)、破った者を味方にする。 乗っ取る(買収、引っこ抜き)。 

(21)、一緒になって壁を超える努力をしてくれる『真の味方』を探す。

結論(Ⅰ)、当社と利害が一致する隠れた見方の協力が引き出せれば、お役所的参入障壁 は短期間で越えられる可能性がある!

結論(Ⅱ)、良いもの、斬新なものを支給開発し、真の味方の効果で、低くなった壁をまたげば、未開拓の大平原が前方に広がって来る!

宏は久々に燃えた。当初は余りのハードルの高さに驚きもしたが、 と言っても それがバーチャルな壁であり、工夫次第で消えて無くなることだってあるのだという事が腹で理解出来た。宏は考え始めた。壁真正面からぶつかるのではなく、敵の弱みを探し、当社の持っている強みを生かし、その障壁を乗り越えられる方法が、何処かにありそうな気がしてきた。

Ryuu殿から頂いた雑誌[ Infodia ]に、"急所を突く"。兵の形は実を避けて虚を撃つ(孫子)とあったのを思い出していた。

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2009年6月21日 (日)

No.6 幾つも幾つも夢を見た。

過去の思い出の断片か、未来でこれから起ころうとしている出来事なのかさえも区別が付かない位に、いくつもいくつも夢をみた。 

6階食堂の外で

宏と誰かが寒空の下で話をしている。相手は副司令官らしい。宏は例によって感情が激し、ボロボロ涙を流しながら訴えている。「誰が私を選んだのだ? どうしていつもこんな貧乏くじを引かされるのか! 私は確かに豚だよ。おだてられれば木に登る豚だよ。3年半前に煽てられて木に登った。」

「しかし危険を感じて木から飛び降りて、ほうほうの態で元の檻(おり)に這い戻ったんじゃないの。今回また煽てられて木に登ったら諺(ことわざ)が変わってしまう。 [豚はおだてりゃ、何べんでも木に登る] とね。」「・・・」「K重役とは 人事部にいる時に話した以外で 言葉を交えたことは ほとんど無いんだ。入社以来15年間だよ。H専務とは話をしたこともなかった。彼らが私を「適役」と指定する訳がないじゃないの」「・・・」

「多くの人は石橋を叩いても渡らない。しかし私は違う。1%の成功の可能性があれば(感じ取れば)チャレンジし、工夫を重ね、トライ&エラーを繰り返して その可能性1%を ⇒ 10%  ⇒ 50%と広げていこうとするんだ。」

「この姿勢は研究開発に使って最も効果が上がるんだ。マネージメントに使ったら目茶苦茶な事になっちゃうんだ。周囲も部下もたまったもんじゃない。充分皆よく知っている豚の性格じゃないの。人事に行ったあの半年間でよく分かった事じゃないの」「・・・」

「私なりに調べてみて この仕事を受けるかどうか、プロジェクトから外してもらうかどうか判断する。人事が発令されてからではややこしくなる。正式な人事発令がなされる前に外れるのが BEST だと思う。この仕事を受けるかどうか、調べてみてから判断する」

「大山君の気持ちと立場はよく分かった。しかし、ここまで聞くと是非あなたに、この重要なプロジェクトに参加して欲しい。参加する方向を選んでほしいと思う」「・・、分かった、考えてみる、、。」 別れたのは夜中の9時頃だったような気がした。

真夜中の電話

随分と昔の夢だったような気もするが、逆に ついこの間の出来事だったような気もする。確か夜中11時頃だった。家内も子供達もそばにいた。電話のベルが響き、宏は受話器を取った。いきなりどやされた。上司からだった。

「、、あんな電話を部下にかける位なら、どうしてもっと早く相談に乗ってやらなかったのだ。引き留めようとしなかったのだ。注意力散漫で、自分の事ばかり主張する。おまえというやつは最低の奴だ。、、」

希望退職募集が実施され、受付が締め切られた日の夜の事だった。宏を含め家族全員が恐怖のどん底に落ちた。家内が「2000万円もらえずに辞めることになるの?」と言った。子供達が「お父さん、どうするの?どうなるの?学校に行けなくなるの?」と、真顔で聞いた。

宏は「辞めない。絶対に辞めない。石にかじりついてでも元の技術部に戻り、研究成果を出して見せる、絶対に!」と、身を震わせながら言った。そんな事を思い出した。

御墓の前で

急死されたY重役の真新しい墓に向かって宏が話している。「貴方はずるい!卑怯だ。どうして死んだんですか。どうして死を選んだんですか。・・、貴方は頑張り過ぎた。あの能力(集中注意力)を使い過ぎたんだ。120%やり続けたからこうなったんだ。貴方もよく分かっておられたじゃないですか。どうして80%に抑えてくれなかったんですか。死んだら元も子もないじゃにですか。、、私はこれからどうすればいいんですか?どうしろと仰っているのですか。、、喋って下さいよ。、、教えて下さいよ。、、」

3階の資料室にて 

いくつもの製品が並んでいた、炬燵(こたつ)有り、電気コンロ有り、医療器具あり、、。「自転車まで製品化したことがあったのか!」と驚いている。『どうして続かなかったのだろう?』と思いながら歩き回っている。

最後に大きな額に収まった写真を見つけた。創業者夫妻の写真だった。夫妻は暖かく微笑んでおられた。強烈な印象を宏は受け、その写真が"まなこ"に焼き付いてしまった。いつまでも宏は動けないまま、写真の前に立っていた。いつまでも、いつまでも、、。

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2009年6月20日 (土)

No.5 龍神池のRyuu殿の逆鱗に触れる

事件は突然 起こった。

11/05 この日、Cグループ5名で電子部門某部門長のお話を聞かせて頂いた。「自動車部門による試作灯具での看板照明テスト中」 との情報も頂いた。事件が起こったのはその夜だった。

夕方6時頃、テーマ選定会議がまだ議論半ばであった。突然、「大山君 Ryuu殿がお呼びだよ」 と大声で呼び出しを告げられた。一瞬、場に緊張が走った。慌てて宏は会議を中座し、雲の上に上がっていった。

Ryuu殿のお部屋にて

Ryuu殿がにこやかに話しかけられる。「君からのメールを読んだよ。君のメールは君の開発するヘッドランプと一緒で(複雑怪奇で)良く分からん。説明してくれ」「分かりました」。Ryuu殿がメールを開かれる。先日送ったメールだ。

「コロンボ流でメールを20通各個人宛てに送ってみたのですが、わずか2通しか返事が来ませんでした。・・・」「"キリスト""ヘンリーモルトン""創業者会長"のくだりは?」「いずれも人を大切にという思想の持主であり、我が社の底流にこの思想が流れていますね。それが段々と弱くなりつつあるという風に感じています。

元通り、人を大切にする体質に立ち返らなければならない時期が来ているようです。でも、経営層の方々が急激に動かれると血が流れ、より不幸な状態にも陥りかねません。経営陣の方々の"苦しみ"が分かる気がしますと書いたつもりでした。」

「そういうことか」。その時携帯電話が鳴り、Ryuu殿が話し始められる。しばらくメール画面をみながら『次をどう説明しようか?」と考えていた。電話はしばらく続きそうであった。

ふと『あのグラフをふんだんに使用した資料をお見せすれば分かりが早いはずだ』と思い付き、Ryuu殿の秘書を呼んで、「人事課長に、例の資料を持って来てもらって下さい。大山が3年前に預けて行った資料、と言えば分かるはずです」。資料ファイルは直ぐに届いた。

秘書嬢がファイルを持って部屋に入って来る。電話は終わりかけていた。「彼は外に居るんでしょ。入ってもらってよ」と秘書嬢に言いかけた直後だった。「誰が入れと言った!!!」と大きな雷が落ちた。逆鱗に触れたらしい。

「私が説明するよりも、人事の人が説明した方が分かりやすいと思いましたもので、。」「君と話しているのだ。!!!」びっくりするほどの怒り方であり、宏は一気に緊張した。( 秘書嬢は出て行った。)気を取り直し「これが社員の意識レベルを示しています」と、ファイルを開きつつ説明を試みようとした。

そんなもの 見たくもない!!」 宏はファイルを閉じた。「そこに掛けたまえ」。応接用の大きな椅子に小さく縮こまって腰掛けた。Ryuu殿も座られ、平静さを取り戻された。「君は何故、今回急に、私にメールを送る気になったのだね?」「・・、社員の意識レベルが現在どの程度であるか報告すべき、、と思ったからです」

「何故君は、返事をくれとその時催促しなかったのかね?」「それは、、」と口篭った。「君が愕然となった以上に、私はもっと強いショックを受けた。分かった。君に対してそんなに無礼な態度を取ったならけしからん、私が筑波に行って彼らを叱ってやろう。それでいいな?」

「止めて下さい!お願いです。それだけはやめて下さい。」叫ぶように懇願した。「・・、それでは所長を呼び出して彼に話し、彼に叱らせよう。これでいいな。」「・・、その方がまだましです。・・」「どんな"自己紹介"を配ったのだ。一度見せてくれないか?」

『自己紹介の内容がまずかったから、返事が2通しか来なかったのではないか』と、疑念を抱かれている喋り方だった。そう感じた宏は「分かりました。メールで送ります。」と言ったまでは良かった。が、それに付け加えて止せばいいのに、

「他にもお見せしたい資料があります。それも送っておきます」と言って、Ryuu殿のお部屋を出て行った。(事業"X"の提案をRyuu殿に見て欲しかったのだが、どうも"ぶしつけな行動"に思えて機会を作りたかった。それが最初に送ったあのメールの真意だった。)

急いで10Fの部屋に引き返し、メールを打ちたかった。が、皆の目が宏に向けられた。何をしゃべったか、何を話して来たのか、興味津々というよりも疑念の目、目、目という所であった。喋らない訳にもいかず、しゃべれない部分も当然ある。

お部屋から出る時にRyuu殿に頂いた雑誌「Infodia」を見せながら、『これをあげる。読んでみたまえ』と言われた とおどけてみたが、目、目、目、目は許さない。しかたなく(叱られたことは伏せながら)「社員の意識レベルが低下している現状について幾つか聞かれ、幾つか話しをしてきた。ショックを受けておられた。それ以上は話せない。」と言って話を打ち切った。

宏が居ない間に、事業Xテーマ候補と調査担当者がテーマ毎に決まっていた。C「他のテーマは担当を決めました。大山さんがもしそのテーマ(宏案)を推されるのなら、そのテーマの担当になって下さい」

『なんのことはない。提案した人がやるだけか、言いだしっぺの体質そのものじゃないか』とは思った。(が、それは言わず)「私は本格的なマーケッティングはやった経験がない。事業化のための詳細資料なんて見たこともない。誰か手伝ってくれないか」と、譲歩を求め、R氏の協力を得ることで決着した。

宏は焦っていた。あのままRyuu殿が宏のメールを待っておられる可能性もあった。『早メールを打たないと、またが落ちるかもしれない』。天上界のあのお部屋を出てから既に1時間以上経っている。

打ち合わせ会が終わると直ぐH専務に送ったメールを転送しようとした。しかし具合が悪いことに、隣から(覗き込む位置から)P氏が話しかけて来る。さっきのRyuu殿に宏だけが呼ばれた事と無関係ではないであろう、執拗に話しかけて来る。

遂に我慢ならなくなり、P氏に向き直って議論が始まった。物凄い激論である。「私は自動車部門の立場で強み分析をし、提案書を書いた。電子部門にも強みの技術があるだろう。それからスタートすればいいじゃないか。」「無いのか?」「あるなら言ってくれ」「教えてくれ。」「そこから新事業Xを考え出し、工夫して、Cグループ提案にしようじゃないか」

こんな議論が延々と9時半まで続いた。終いにはエレベータ前でまで二人は激論をかわし続け、ケンカ別れのような状態になってしまった。宏は感情が激し、メールを打てる状態ではなかった。しばらく気持ちを静めようと大部屋の中ほどに立っていたら、M副司令官が手招きしている。

行きたくはなかったが、引き寄せられるように宏の足はそちらに向かった。「何を議論していたの?聞かせてくれ」「しゃべりたくない。聞いてたんでしょ。」「断片的に聞こえても分からない。こっちも仕事してたんだ。また、立場上聞かせてもらう義務と責任がある」。なんてやり取りしている内に。宏は喋らされる破目に陥っていった。

気が付くと壁時計は11時30分を指していた。「もう今から会社を出ても 自宅には帰り着けない(電車がない)。5階から寝袋を持って来て、ここに泊まるよ」「俺は帰る。飯はどうする?」「ラーメンでも食いに行く。一緒に守衛のおじさんの所まで行こう」ということになった。

社員通用門で二人は別れた。宏は通り向こうのラーメン屋で味噌そラーメンを注文し、食べようとしたが喉を麺が通らない。それを無理矢理胃袋に押し込んで大部屋に帰って来た。ノーツを開け、Ryuu殿へのメールを打とうとしたが、指がまともに動かない。文章にならない。

気分転換にと5階から、寝袋と座布団とを持って来て寝る用意をした。寝袋に潜り込んでみた。眠れないし、逆に眠り過ぎてメールが朝一番で打てなかった時の恐怖も感じた。寝袋から這い出し、また端末に向かう。

段々と冷静さを取り戻してくるうちに、恐怖は自責の念に変わり、更に後悔の念に変わっていった。元々宏の辞書には"後悔"という字はなかった。危険は度々犯し失敗も多いが、反省に留め、努めて後悔はしないように思考ルーチンが出来上がっていた。(あのヨーロッパ縦断の自転車の旅中にも後悔は一切していなかった)。にもかかわらず、今回ばかりは後悔の念が心の中で広がり始めていた。頭が朦朧(もうろう)として来た。既に時計の針は真夜中の1時を回っている。『限界だ』と思った。

『潔く撤退しよう』と考えた。しかし『タダでは撤退させてはもらえない。それなりに一生懸命Xプロジェクトを勤めた上で、確実に元の研究生活に戻してもらえるようにお願いしよう。』と思った。Ryuu殿に是非読んでみて欲しかった事業構想Xを、自己紹介に付して出すのは諦めた。

Ryuu殿へ 筑波研での自己紹介文を送ります。  on '98/11/06 01:43:48

先ほどは身に余るお言葉、有難うございました。筑波研で用いた自己紹介文は以下の通りです。

自己紹介  典型的なスペシャリスト    大山宏 S23(1948)、6、16 生

(1)、小学3年生頃、水陸両用者を作ろうとして、まず木材片で自作した凹型凸型を作って置き、"ビニール下敷き"をガスコンロで温めてその木型に押し付け、舟形を作り出すというコンプレッション成形を、(教わることなく)トライしていた。(2)、中学生時代には、空飛ぶ自転車を作ろうと真剣に考えていた。・・・。(6)、当社に入社直後、*、MRヘッドランプを開発。*、*、*、*、

持てる能力を1点集中し、深く深く考え実行に移す典型的なスペシャリスト。裏腹の関係で人付き合いが下手。奇人変人と見られる事が多い。趣味として"大人のピアノ"(家族にはありがた迷惑)を始めた。これも結構研究に役立つので不思議。現在50歳で、最近特に目の衰えを気にしている。

以上が筑波研にて用いた自己紹介です。冷静になって考えると、大変な事になったと後悔しています。お願いです。彼らを「返事を書かなかった」という この件で叱らないで下さい。(逆恨みを買ってはたまりません)。先日(11/4)に既に2回目の筑波をグループ訪問しました。なんとなく挨拶し合い事無きを得ています。(距離を置いて付き合う事でやり過ごしています)。今後もそのつもりです。

事業Xについては精一杯を務めさせて頂きます。その後はラインビームなどの研究に戻りたいと真に願っています。よろしくお願いいたします。

                         ----- 大山宏  ------

このメールを発信後、宏は打ち合せテーブル上に広げた寝袋の中に潜り込んだ。2時を回っていた。眠れないまでも身体だけは休めておくことにした。硬い机の上で浅い眠りと覚醒とを繰り返し、幾つも幾つも"夢"を見た。

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2009年6月17日 (水)

No.4 集中注意力と分散注意力

パイプは繋がった! 》 秦野にて(10/30)

H専務からのメールを受け取り、まずはほっと一息。穴が開くほど読み返し"伝令"の意味を読み取った。(解釈に苦しむ箇所は、自分の発信した文章と見比べて意図を推察した)。まるで謎解きのようでもあったが、意思疎通は出来たと思った。有難かった!

次の日の土曜日も終日考え続け、日曜日(11/01)、この3年間 完全に交信を閉ざしていた雲の上のある方宛てに電信(メール)を準備した。

Ryuu殿へ、《 非礼のお詫び&"X"の件

この15年間ずーッと"陰に日向に"支えて頂き、有り難く思っております。人事部より帰って来て以降、まる3年間、『研究成果を早く出すのが恩返し』と一途に思い込み、お礼のメールさえ打たなかった非礼をおわび致します。先日、H専務からのメールを受け取り、パイプが繋がった事に、ほっと安堵しているところです。

近況を報告します。10/23(金)事業X候補説明会参加。以降、10/26(月)筑波研、10/28(水)技研、10/30(金)秦野電技、と調査活動を積極的に行わせて頂きました。(明日11/02(月)から一か月間は10階に詰める予定です)。

筑波研を訪れ、若い研究者達と一緒に1日を過ごした後、ふと気になった事があり、各個人宛にメールを送ってみました。結果は20名中わずかに2通のみの返信で、愕然となりました。(研究の心構えを分かっておられる方が"わずか1割"という事で、この事情は技研でも同程度以下と推測されます)。ちょっと心配しています。・・・ ・・・

以上、取り留めもないことを書きました。今後共、よろしくご指導のほどお願い致します。大山

11/02 《 Xプロジェクト活動開始 》 ・・全体朝礼。K役員挨拶。L司令官挨拶。 パソコンなどの設置・作動確認。Cグループ内の自己紹介 & "X"テーマ宿題の相互説明 & X候補選定会議。 15時より企画部門長3名を加え計10名にて「太陽電池」に関するブレーンストーミング実施。

プロジェクト方針(X候補選定会議)

「1ヵ月でやり終えなければならない」という"あせり"・不安は参加者全員にあった。 どういう訳か、Cグループは特に個性の強い人種が集められていた。米国人(トム)以外は勝気な性格を本質的に持っていたようであった。

グループ活動開始に当たり、Cリーダーは「次の問題点があるので、"商品企画・事業企画を行う一般的な手順"は取らない」と、図入りで宣言した。その問題点とは、(1)、企業ビジョンが提示されていない。 (2)、1ヵ月という短期間でこのアプローチは無理。の2点であった。

宏は『示された問題点2点は条件であって、プロジェクト活動の行動基準を決定する理由にはならない。おかしい!』と主張したかった。が(そこは抑え)代わりに「短期間で事業を起こす場合、[ 我が社が保有している強み技術 ]から入り、[ それを生かせる市場を探す・見つける・市場を創造する ]という方策を採るべきではないか」と主張してみた。

しばらく議論は続いたが結局宏の主張は退けられ、各自が宿題として持ち寄った事業"X"のアイテム数案を、同時並行的に調査していく事になった。宏は(不満ではあったが)日本人の団体行動規範(?)にしばらく従うことにした。

グループの和を乱すことは日本国では特に嫌われ組織から締め出されることは、処世術として知っていた。『どこまで(何時まで)ガマン出来るか・すべきか』と考えながら、調子を合せる日々が続くこととなる。

11/03 《 技研・横浜研をCグループで訪問 》 ・・ミリ波レーダーの話を聞いた。更に、HID光源の話と、研究設備&製造方法の話を聞いた。熱意は十分過ぎるほど伝わって来た。なんとかしてやりたい。「増産によるコストダウン効果で収益性を改善出来たら、、」という想念に囚われた。5時過ぎ、横浜研に移動し、GTSシステムの話を聞き、討議後解散。

翌朝10階でメールを開いてみると、昨日付けで、Ryuu殿から返信が入っていた。

98/11/03 「・・、ある会議で大山君が現在の電装技術を救っている、そして新技術の顔と言っても過言じゃないと言っておいた。ちょっと誉めすぎたかな!今回の"X"も1ヵ月間 大山君みたいな目でじっくり見てもらいたいと思って選任しましたので、その趣旨をご理解下さい。最後のほう意味がわかりませんのでまたお話しましょう。 Ryuuより

98/11/04 「早速のご返事、有難うございます。今後も時々近況報告をさせて頂こうと思っています。本日これから、Cグループのみんなと一緒に筑波研に行きます。お声をかけて下されば、喜んで伺います。私小説『 僕の前には道はない 』の その後も気になりません? 大山宏より

本社を11時出発。筑波へ

総員8名が車2台に分乗して出発。行きの車中で宏ははしゃぎまくった。抑えても抑えても頬は緩み嬉しさが抑えきれなかった。しかし「雲の上の意向を受けとった」とは口が裂けても言えない。それに"真の任務がどこにあるのか"まだ、もやもやしている面もあった。

午後から太陽電池関連の技術説明を受け、所内見学後、再度太陽電池に関する話し合いが終わった。 C「昨日・今日と2回会合を持ったが、何も得るものがなかった。」との ぼそり発言にも、軽く注意するゆとりもあった。

元々、宏は(その日Ryuu殿のメールを見るまでは)、筑波に付いて行くべきか or 行かざるべきか に悩んでいたのだ。9日前に訪問し、隅から隅まで調べ尽くしていた。(『何か変だな』と思って、その確認のための意識調査まで済んでいた)。

結局、筑波の研究員達とは明るく挨拶を交わす程度で、ほとんど喋らなかった。行きの車中で大騒ぎし、帰りの車中で また大騒ぎ。宏は米国人トムを相手に"KJ法"の基本的概念( 情念で考える ) について、熱っぽく1時間以上喋ったりした。

冗談を飛ばしてはしゃぐ宏と、会議中の沈黙の宏とが対照的であった。何故そんなにはしゃぐのか理由も分からず、周囲の人達にとって奇異に思え出したのはこの頃からかもしれなかった。

"SP職フォーラム"見ました 》   ・・M副司令官からのメール 98/11/04

御世話様です。首記の件、覗かせてもらいました。技術にかかわらず「知識・ノウハウの蓄積」が軽視されていると思います。大きな課題だと思っています。「スケーリング」の件、興味深く読ませて頂きました。色んな視点での投稿・意見提起を期待しています。(待ち遠しいですね)  経企 M より

-----("SP職フォーラム"より抜粋)------

集中注意力と分散注意力 ・・・ 一般的な傾向として、集中注意力に優れた人がSP職に、分散注意力に優れた人がM職に付く傾向がありますが、このカテゴリーで議論してみましょう。

私(Oyama)の長所短所は、良く言えば「1点集中力に優れている」、悪く言えば「分散注意力の欠如が多発する奴」というところでしょう。勿論、集中・分散のどちらにも優れた天才的な人もおられますが、一般的には「集中力の優れた人は分散力に欠け、分散力に優れた人は1つの事に集中するのが苦手」という傾向があるようです。

私の場合は、典型的に1点集中型です。例えば会議に出席していても誰か特定の人の発言内容に捉えられ(1点に集中してしまい)以降の他の人の議論が全く耳に入らなくなる という状態に度々陥ります。

私は何度か、『分散注意力は多数の点に対しマルチチャンネル的に集中点を秒単位以下で切り替えれば、分散注意力をカバーできるはず。』 との観点から、意識的に自分の能力開発を試みた時期(経験)があります。その結果は散々で、「もの凄い精神的苦痛と体力的疲れを伴い、トライする度に挫折を繰り返しました。今はもう諦めていますが、多数の人が集まる会議での議論では有無を言わさず分散注意力が要求され、非常に消耗が激しい(正直、私は会議嫌い)。

1点集中力とは、俗に言う"PK"(念力)みたいなもので、これを多用してはいけないという事は、漫画(マンガ)世界でも度々見かけます。私は『SP職に分散注意力を求めるなかれ!』と言いたいのですが、皆さんは如何考えますか?

ポートフォリオで、自己分析をしてみてはどうでしょう

ほとんどの方はご存じだと思いますが、ポートフォリオ分析は経営学で度々登場する分析手法です。色んな所で応用・転用が可能ですが、注意力に関してやってみませんか? 横軸に分散注意力を取り、縦軸に集中注意力を取って、グループ内メンバーの注意力の特徴を2次元平面上に捉えてみるのです。

グループは自分の課であってもいいし、世間一般を想定しても可能です。そのグループの中で、自分がどの位置にいるかをプロットし、客観的に自己分析してみる事が有益と思います。参考までに、分散注意力・集中注意力のどちらにも優れた人は、経営者に多い。(どちらにも優れた人が経営者になってもらわなければ、会社の発展は望めないでしょう。)

集中注意力はそれほどでもないが、分散注意力は異常に発達している人もいます。(官僚の方々に多くみられるようですね。あなたの身の回りには・・・?) 少々言いにくいですが、集中注意力・分散注意力のどちらにも著しく劣っておられる人もまれにお見受けします。SP職(スペシャリスト・プロフェッショナル職)は、集中注意力に優れた能力を持つ人がなると、自他共に幸福になるでしょう。

最後に、異常なまでに集中注意力が発達し、分散注意力を発達させなかった or 能力がなかった or 分散注意に関心がなかった人の例を2,3紹介して置きましょう。

アルキメデス ・・ 王様から「冠が純金で出来ているかどうか調べてくれ」と依頼され、浮力の原理を発見した有名な人ですが、その時彼は風呂に入っていたそうで、浮力の原理を発見すると居てもたっても居られなくなって、「分かった。分かった!」と裸のままで市中を駆け回ったそうです。

秋山真之(さねゆき) ・・ 日本海海戦でバルチック艦隊を打ち破る戦略を立案した人で、小説"坂の上の雲"で詳しく紹介されています(覚えていらっしゃる方も多いと思います)。この人は余りに集中注意力を使い過ぎたためか、半狂乱状態?で"早死"されたそうです。私が推察するに、彼はそれでも「充分に幸せだった」のではないかなと思います。

自己に忠実に生きる。自分の能力に合った生き方がしたいものですね。 -----抜粋終。

《 Re: 》 副司令官(M 殿)へ ・・ 98/11/05

読んでみようという気になって頂けたことを、有り難く思っています。この手の内容は誤解を生みやすく、書くにも相当な勇気が必要なこと理解下さい。(また話に乗ってくれますね)。昨日、「Ryuu殿が10階を歩いておられたよ」と知らせてくれた意味はわかりました。ああゆう信号は、知らせてくれると非常に有難い。貴方の立場はあるでしょうが、許せる最大限の信号は留めることなく送って下さい。特命事項を全うするためにね!

ついでに言っておくと、社内に(経企を含め)沢山の企画部門があるけど、ここ10日間の活動で、多くの方(7,8割?)が、"KJ法"・ブレーンストーミングなどの創造性発揮の道具を"頭"で理解しているだけで、"腹"では分かっていないのだな と痛感しました。筑波の連中も理解できていないようです。機会ある毎に説明はしていますが、この教育まで今回の1ヵ月間の特命事項に含まれているとは思っていません。無茶です。 大山より

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2009年6月16日 (火)

No.3 待ちに待ったH専務からの返信

チョウゲンボウ殿へ 》 

先日は、突然の電話にもかかわらず適切なご指導を頂き、有難うございました。決まるべき方向に決まったようで、自分自身にとっても最も自然な方向で対処する決心が付きました。早速、23日に技研にて"X"候補説明会があり、積極的に参加・発言してきました。

本日 26日は、筑波研に技術指導に行っております。出来るだけ前倒しで行動し、前倒しで自然に手を引けるようにするのが一番と思っております。今後とも、宜しくお願い致します。 大山

《 Re : 》 私も気になっていましたので、10/21の"ある会議"で、貴殿が選出された背景をH専務に質問しましたら、異質の能力がある人なので、それを期待したそうです。"X"に対する意見を出すことを期待しているようで、"X"の推進責任者までは考えていないようです。貴殿の考え通りの対応でよろしいと思います。

先日は助言ありがとう 》 R氏へ

落ち着くべきところに落ち着いた、というところでしょうか。参加するからには積極的に参加する腹を決めました。こういう事は最初が肝心です。前倒しで活動をスタートさせました。23日には"X"候補説明会に参加、本日 26日は筑波にいます。11月後半には段々と暇になれば大成功です。祈っていて下さい。何はともあれ、精神面での落ち着きは取り戻せました。協力ありがとう。今後共、よろしく!

《 Re : 》 ご丁寧に有難うございました。短期間で お忙しくなることとは思いますが、ご健康には御留意され、頑張ってください。こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。・・ Rより

近況報告 》 H専務殿へ (写し) G重役殿  98/10/29 14:10

1)、筑波研 訪問 10/26(月) (*)、印象:素晴らしい研究環境(本社5階の私が置かれている環境とは天と地との差)、羨ましいの一言。 (*)内部見学では、・・・ (*)太陽電池・・指導助言が空振りした感あり・・

2)、技研訪問 (*)、・・関連の特許関係調査(4Hr)、 (*)、"X"関係の関連調査・・、 (*)森上さん(秦野駐在)に偶然遭い「高速道路・・の照明をELで数年間トライ・・奮闘中との話を聞きました。その折、「自動車機器の方で事業化を1年前から企画検討されていますよ」との情報入手。「あッ、そう?」ととぼけておきました。(アンダーグラウンドで進行していたとは意外でした)。(*)、帰りがけに 管理部のある方に捕まり、強烈な意見(・・・)を聞かされました。(お察し下さい)。 (*)、明日(10/30)金曜日は秦野工場を訪れ、"X"関係の人の話を聞いて回る予定です。 以上、-------

『上層部とパイプを繋ぐ(新設する)』という作業には大変な努力が必要となる。H専務へのメールはここまで合計3通発信しているが、返信メールはまだ一通も受けていない。

宏の急激な活動は社内で目立つようになり、からかい/嫌み/いけず は当たり前で、恫喝ともとれる圧力まで加わって来た。最近宏は「工場現場は上を向いて歩き、電車のホームは中央を歩く(線路側には近づかない)」という行動を取るようになった。

行動基準となる情報が欲しい。待つ、待つ。 》

H専務へ度々メールを送ったのは、「私の任務はこれですか? この活動でいいのですか? H専務はこのような行動を私に期待しておられるのですか?」ということの確認のためであった。しかし返事は一向に返ってこない。

悪い事に、Cグループリーダーより、「宿題を、10/29 までに(繰り上げて)送って下さい」という指令メールまで舞い込んで来た。宏は困った。H専務には「11/2までに 何かあれば御指示下さい」と、メールしている。遂に29日の夕刻を迎えてしまった。

『なるようになれ!』と、宿題2件をCリーダーに向け発信した。(H専務・G重役から返事がないことは、「宏の行動を黙認する」意思表示と解釈した)。N重役とのパイプ修復までやっている暇はなかったので、(写し)でメールを送り、暗黙の了解を求める事にした。

『物凄い神経を使って昔の忍者は行動していたらしい。』と思った。また『キッシンジャー特別補佐官も、007のジェムスボンドもそうだったんだろうな。』と思うことで気を紛らわせたりもした。

忍者への指令はあらゆるものが利用される。宏もあらゆる事に注意を払い、組合発行の記事にまで、手がかりを求めた。

"X"プロジェクトスタート ・・・、(組合) 先日の職場委員会でも営業から「売るものがない」との声が出ていた。新たな"光"として期待していく。(A、B、C)3グループの内容を見ると、電子関連だが?(会社)技術的にはそうだが、自動車分野も十分期待できる。(組合)今後のメンバー選定にあたっては、社内公募による推進を期待する。・・・

宏は社内公募で今回のようなプロジェクトのメンバーが集まるとは はなから思っていなかったし、この"労経"以降『可能になる』とも思っていない。が、注目したのは会社側の代表がH専務であり、その人が「自動車分野も十分に期待できる。」と言い切っておられる点に注目した。宏はこれをH専務の意思表明と読み宏への「暗黙の了解。頑張れ」との指示と受け取った。

解釈の仕方は各自の立場によって様々であろうが、宏はこんなささいな記事さえも自分の行動・判断の支えとした。それ以外に「真の目的」を知るすべが無かったのだ。上層部とのパイプを繋ぐ作業、上層部の意思を確認する作業は、今の宏に取っては「犬死する」か「任務を完遂し、且、生きて戦場から離脱できる」かの、二者択一問題であった。

大袈裟に聞こえるであろうが、宏はそんな心境で「宿題2件(自己紹介・強み分析から市場創造を考える宏案)」を発信したのであった。

Re: 近況報告 》 H専務よりの返信   ・・・ (写し)G重役 98/10/29 21:34

御報告ありがとうございます。また、前回のメールに対して御返信申し上げなくて失礼しました。

ヒアリングする際には、彼我比較を是非よろしく。 即ち、業界における当社の技術の位置付け、対抗する技術の状況、生産を想定した時の当社の生産技術のポテンシャル・位置付け等々です。

あまり環境の虜にならないでくださいね、一番大切なのは頭の中身だと思います。大山さんのように事業の鍵を握る技術を、研究所の人達も有しているとよいのですが   以上

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2009年6月13日 (土)

No.2 メール返信率は1割?

Re:Oに関する相談事項

「またミスターOのいらぬ心配が始まった。Oの当社における存在価値は、もう揺るぎ無い地位を獲得しているという事は自覚出来ていると思っていました。いろんな場面でその能力を発揮されることを多くの人が期待しているからこそ、今回の人選となったのでしょう。いつでも私のところへ来て下さい。話をしましょう。  Gより 」

宏はこの日、意を決してG重役の所に直接話に伺った。重役は快く話に応じて下さり、かれこれ2時間の突っ込んだ話し合いが出来た。「君の言い分はよく分かったが、一旦決まった人事は覆せない。どうしてもやりきれない時には、2,3日、5階に逃げ返ってもいいからやってくれ」

「SAE論文発表準備、ラインビーム(ヘッドランプ)などの研究開発業務よりも優先度が高いのですか?」「そうだ。全社的なプロジェクトだ。会社も必死なのだ。景気がこれ以上悪くなったら会社自体が危ないのだ。」「分かりました。つらい役目ですがやってみましょう、何処まで出来るかは、はなはだ疑問ですが、。」「そうしてくれるか」「H専務から『・・・・・shite・・』を承っていますが、はっきりとお受けするかどうか返事していませんので(お受けするゆえの)メールを送っておきます」「そうしてくれ」 G重役と別れた後、メールを発信しておいた。 

H専務殿へ、《 "X"の件 》   98/10/20 13:15  発信

「昨日はお声を掛けて頂き有り難うございました。『・・subekiwokoro・・・・』との一言で少し分かったような気が致しました。適役かどうか はなはだ疑問ですが(G重役と相談しながら)やれる処をやってみます。今後とも、よろしく。」

大山宏殿へ、《 事業Xプロジェクト スケジュールの件 》  事務局より、「・・・、下記のスケジュールを予定しておいて下さい。

1)、11/ 2(月) プロジェクトスタートの日です。午前8:30 に本社10階にご出社ください。

2)、11/ 5(木) J副社長からお話がありますので、ご承知おきください。第一会議室 午前10:30~

H専務殿へ、、《 "X"の件(10/25 記) 》   98/10/25 15:30  発信

1)、先日(10/23)技研にて、事業X候補説明会があり参加しました。当社の独自性は?説明者or説明資料に汗がにじみ出ているか?先行性が維持できるか?などの観点から積極的に質問・コメントさせて頂きました。・・・ ・・・ 何かご指導がございましたら、11月2日(プロジェクトスタート日)までに連絡頂ければ幸いです。

3)、K技師長より強い要請を受け、現場見学と若い人達との話し合いに応じる事になりました。本日(26日)筑波に直行しています。 以上、取り急ぎ。 大山 宏

筑波に直行 》  98/10/26

「8時30分に技研で」との約束だったが、1時間以上前に技研に着いてしまった。暇だからと研究所内をぶらつく内、一人二人と研究員が出社して来た。宏は気軽に声を掛け、雑談がてら研究テーマや進行状況を聞いたりしつつ、K技師長を待った。

9時に技研を出発。2時間余りの車の中で、二人はかなり突っ込んだ議論と情報交換を行った。筑波に到着し、車から降りかげんにインスピレーションを受け「今日はコロンボ流で行くのでよろしく!」と声をかけた。K「?」

玄関口に大きなガラスがあり、ひょこひょこ歩いて行く自分の姿が写っていた。宏は苦笑した。雰囲気はコロンボそっくり!『我ながらあきれたな』と思いつつもそのまま自然に振る舞うこととした。昼食を数人で取り、休憩時間も何人かと喋った。午後からは会議室。

現状テーマの説明を受けたが、何か足りないものを感じた宏は その後2時間近く 「研究のやり方・進め方・物事の考え方・・」について一生懸命説明した(つもりであった)。しかし空虚さが残った。『 空振り?』と思ったその時、ふと自分が自己紹介(A4)を思い出し、コピーを配って少し照れながら話してみた。『 やはり空振り?』 その後所内をくまなく案内してもらった。(2,3の研究員に好印象を受けた)。

K技師長とはその後7時頃まで所内で意見交換をし、車でバス停まで送ってもらったのだが、その時妙に気になっていたので、「あの自己紹介、まずかったかな?」と聞いてみた。「半分以上は好感を持ったようだし、得る物があったんじゃないかな」「そうならいいんだが、私にはそうは思えなかったんだ。貴重な研究時間を私のために1日割いてくれて、申し訳なかったような気がする」「そんなことないよ。来てくれて有難う。」「じゃあ、また」と言い合って別れた。

10/27 《 今後ともよろしく 》 メール発信  ・・返事が来ない。何故?

昨日(10/26)お邪魔した"おじさん"です。・・・私は自分自身を現役の研究開発者だと思っており、「皆さんと親しくお付き合いできたらいいなあ」と思っていますが、癖の強い男ですので『ありがた迷惑で、研究の邪魔』 と思われた方もおられると思います。今後の参考にさせて頂きますので、是非このメールの返信で お気持ちを聞かせて下さい。また、私に興味を持たれた方は、簡単で結構です『自分はこういう男』という自己紹介を付して頂ければ有難いです。返信待ってます。  大山宏 98/10/27

結局、返信メールは、2通のみであった。都合20人に送って返信は2通のみ。ショックはそれほど大きくなかった。というのは人事部で その割合を把握していたからであった。但し、後味は悪かった。『禁断の木の実を食べてしまった』とも思った。『改めて知ったからには報告の義務が発生する。どうしようか?』と、くそまじめな宏は悩み始めた。

チャージ休暇報告書に目を通し、集計分析する業務

3年半前に突如人事部人材開発課の課責長を命じられた。その業務のひとつに、表題のものがあった。毎日のようにチャージ休暇報告書は、全国各地から宏の机の上に届けられる。4000人の社員がおり、毎年約2割(800人)の人がチャージ休暇の恩恵にあずかっている勘定だ。宏の机の上には常時数通のチャージ休暇報告書が乗っかっていた。

役目がら読んでみて感動した。どの報告書1つを取って見ても 「感謝の言葉から始まり、この制度をぜひ続けて欲しい」という言葉が添えられている。字の汚い人もいる。漢字はおろか 文章を書くことがほとんどないのではと想像できる人もおられたが、それぞれに一生懸命、「ありがとうございました」という感謝の気持ちを伝えよう、伝えようとされているのが痛いほど伝わって来た。

『この気持ちが大切なんだ、この姿勢が会社を支えているんだな。』 と宏は読むたびに感動した。しかし ある時ふと、『それにしては送られてくる数が少ないのでは?』と疑問に思った。調べてみる気になった。

とは言っても業務は"山"ほどあり、「そんなもの放っておけ」的な上司指導もあって、時間が取れない。そこで5月連休を利用して調査分析を実行した(手弁当の無料奉仕)。 3年強分の作文があった。それを年度毎、習得月毎、部門毎(人数が多い部署は課毎)の提出率を調べ、グラフ化してみた。

驚くべきことに、5人に一人しか出していなかった。初年度は8割近い提出率を誇っていたが、次年度、3年度は急速に悪化していた。そのグラフをふんだんに使用した報告書はJ専務宛てに作ったが、Q部門長に握りつぶされ、人事担当役員にも届かなかったらしい。半年後に宏は技術専門職に返っていった。

『あれから4年近く立っている。恐らく追加調査を実施したら、もっとひどい数値が出て来るであろう事は容易に推測できる。』『この数値と、たまたま20通送ったメールの返信(率)とは奇妙に一致している。』と宏は思い、「やっぱりな」と思ったのであった。この感謝の気持ちを伝える人が増えない限り、『どんな立派な事業計画"X"を立案しても成功する訳はない』 とも、改めて思った。  1998/11/22   

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2009年6月12日 (金)

No.1 ここはどこ?私はだれ?

 それは実に奇妙なトランプカードゲームであった。ナポレオンと連合軍との戦いにも見えたが、ポーカーの性格も色濃かった。5人でプレイしていたが、それぞれの後ろに後見人(背後霊 ?)がおり、糸を引いていたようだ。
通常のナポレオンゲームでは、最初に配られたカードで絵札を何枚取るか自己申告し、より多く申告した者がナポレオンとなり副官をカード指定してからゲームがスタートする。
が、しかし、この場合は違った。
 自己申告はするが、誰がナポレオンかは最後まで分からない、決めないでゲームを進めるという。副官指名権はナポレオンが持っているらしい。しかし、ナポレオンが不明なので副官も不明なままゲームは進行するという。更に5人はゲームの最中にも出入り自由で、勝手に食事にいったり睡眠をとったり、旅行に出かけたりする。
 外野席には4,000人の観衆がおり、このゲームの結果いかんでは、ギロチンにかけられる者も多数出るという。半ば強制的にスタートさせられたこのゲームの期間は1ヵ月で、ご丁寧にも準備期間が15日付けられていた。5人のプレイヤーの中には日本語を流暢にしゃべる米国人もいたし、他の銀河系から来た宇宙人らしい日本人()もいた。
『ここは何処? 私は誰? 私は夢をみているのかな?』と、宏は思った。

事前説明会開催の件 》   Xプロジェクトメンバー各位      98.10.12
 首記の件、早速ですが、10月 7日の経営会議で、「Xプロジェクト」の発足が決定されました。同時に、貴殿はプロジェクトメンバーとして選出されました。つきましては、Xプロジェクトの活動等に関しての、事前説明会を下記の要領で開催いたします。ご多忙のところ恐縮ですが、ご参集のほど、よろしくお願い申し上げます。
日時、1998年10月15日(木) 9:30~12:00  場所、本社8F役員会議室

会議当日 
 宏の属することになるCグループリーダーのC氏が質問する。
「このプロジェクト進行中は誰の指示に従えばいいのですか?」
「専任ですから、プロジェクトリーダーに従ってください」
「元の上司には従わなくてもいいのですか?」
1ヶ月後には復帰します。もっとも(希望するなら)そのまま帰って来なくてもいいですよ」。皆が爆笑した。
が、宏はひとり笑えず、逆に不安を覚えた。
『何と無神経な事を言う重役か』とも思った。

 その会議の直後、Cグループの最初の打ち合わせがあった。
宏「このグループだけに"X"が付いている。Xテーマを考えて来いとの事ですが、私には自分が元の職場でやってきた範囲でしか考えられないが、、」
C
「何でもいい。ヘッドランプの改良版でも何でもいいのです」
「そうですか」 深追いは止めにした。
C
「・・。メールで伝達事項を連絡します。各自、メールを少なくとも1日1回は開けて見て下さい」。
宏「メールは1週間に1回しか開けないことにしている。そんなに仕事を増やされても困る」。
M
氏「少なくともこのプロジェクト期間中は、リーダーの指示に従ってあげて下さい」
「・・・」
C
「そうだ!自己紹介文を1枚書いて来て下さい」。
宏「止めようよ、そんな面倒な事。無駄だよ」
「いや、是非書いて来て下さい。プロジェクトスタートまでの宿題にします。お願いします」。
皆が反対しないので宏もしぶしぶOKし、最初の打ち合わせ会は解散となった。

 何か"もやもや"したものが宏の中に残った。5Fの部屋に戻った宏は、直属のF部門長に簡単な報告をした。
F
「あれ?、"X"が付いてるじゃないの。"X"は別プロジェクトでやるはずなのに、、。どんなメンバー? ああ、このメンバーじゃ上手くいく訳ないよ
宏はいよいよ不安になった。『一人専門外のプロジェクトに置いてきぼりを食ったのではないか?』と疑心暗鬼になった。

1998 10,16 《 次の日
 宏は直属のG重役に相談しようとした。不在であった。が、一時間後に向こうから電話が入ってきた。
宏「何故、私だけ"X"プロジェクトに残ったのですか?周りはみんな、電子部門の方々でした」
「あれ、出席したの。出席したのならしょうがないな。俺もよく分からんのでH専務に聞いてみろ」
H専務に直接、聞けばいいのですね」
「思い出した。H専務もこちらに来ているんだった」
「では意向を聞いておいて下さいますね。よろしくお願いします」。
その日の夕方になってもG重役からの連絡はなかった。宏はしかたなく、メールを入れておいた。
『人事部から逃げ返ってから早3年が経過しました。以降、メールを読む暇も惜しんで、土日も無く開発に専念して来ました。その結果、仙人ボケ、世間ずれが起きているようです。『研究・開発者はこれでもいいのではないか、講義時間を忘れる教授だっているんだから』と勝手な解釈してました。
しかし(そうは言っておれない)事が
"X"にて発生し、戸惑いが隠せません。
研究馬鹿
 で一生を終わるのが一番幸せ」ですが、もう少し心の内を聞かせてもらったり、情勢変化の情報を直接流して頂く方が有難いです。
参考までに、営業の
K重役とのパイプは途切れたままですし、H専務とはパイプ自体がありません。研究者は孤独の戦いをやっている、またそれが必要不可欠、という事をご理解頂きたい。宜しく。』

10,18 《 土曜が過ぎ、日曜日となった
 考えれば考えるほど不安はつのるばかりだ。
明日は"代取報告会"で、宏は経営陣と顔を合わせる(質疑応答にも応じる立場だ)。宏にとっては"晴れの舞台"でもあるはず。発表内容と なんら関係のない"X"の件を持ち出すことなど到底できない。
『顔を合わせるのだから気軽に聞いてもいいのでは、』とも思えるが、この
3年間全てのパイプを切り、働きかけをしてきていないという"負い目"もあった、何となく切り出しにくい。
 思い余って夜の6時過ぎ、常に声をかけて下さる U常務の自宅に電話した。
「ミスキャストだよ!おまえは勝手な事をしゃべっていればいいんだ。気にするな。1か月遊んでいればいいんだ」。
 有り難かった。
『明日、早めに出社し、G重役にプロジェクトからはずしてもらうように話そう。』と心に決め、何とか眠りについた。

Oに関する相談事項 》 10,19 8;23 発信メール
 お忙しい所、お騒がせして申し訳ありません。能率よくご判断、御指示頂けるように、文章に致しました。この問題は、「スペシャリスト職とマネージメント職の役割の違いに関する本質的な問題」だと思っております。
(例えでお話します)。

 ある典型的な技術系スペシャリスト(以下、職人O)が、ひょんな事から最もマネージメント力が必要な本社人事部の課責長を、突然務めることになりました。海外を含む全社員の人事評定・リストラ・組織改革・教育改革などの嵐が吹き荒れる中でノイローゼ気味となり、ハムレット心境に陥りました。
 職人Oは自分と自分の家族を守るため、一大決心をして技術専門職に戻るための行動を起こし、目的を達しました。(結果として)人事部に在籍した半年間の人事評価は[D-]が付され、周囲の冷たい目に曝されながらも、8年ぶりの研究生活を再スタートしました。
 3
年間の土日・夏休み・冬休みも投入した研究成果は、チャレンジ賞(高速配光シミュレーション)として高く評価され、今また、会社を代表としてアメリカにての論文発表に結びついて来ました。この間、技師長にも昇格しました。
『自分は"研究ばか"で通すのが一番良い、会社に取っても自分自身に取っても。』『自分はこのまま定年まで研究開発のスペシャリストとして務めさせて頂こう。』と決意を新たにしていた矢先、またまたひょんなところから、業務改革がらみの全社的プロジェクトの一員として、職人Oがリストアップされてしまいました。

 当初は、
Oの上司を含め3名の部門長も一緒にリストアップされており協力をOKしておられた様子です。しかし事態は急変したらしく、ふたを開けてみると職人Oは一人、Oにとっては専門外の電子事業部主体の業務改革プロジェクト内に放り込まれた形となっていました。しかもその仕事内容は、どう頑張ってみても1ヵ月で終えられるものとはとても思えないものでした。
 職人Oはあせりました。忘れかけていたちょうど3年前の『人事部での悪夢』がよみがえり、リストラの恐怖に囚われ、自分の没頭すべき研究にさえも手が付かなくなってしまいました。

 以上が社長も聞けば思い出して頂ける
Oに関する事情です。
私のお願いとしては、『O"X"プロジェクトから除外し、今まで通り研究開発に専念させる』  となるよう、至急調整・ご配慮頂きたいのです。正式な人事発令が発せられる前までにご処置頂ければ幸いです。
 以上、よろしくお願い致します。


 翌朝早く出社し、宏はメールをG重役宛てに発信した。
その日は代取報告会が予定されていた関係もあって、
G重役との話し合いは実現しなかった。ただし、報告会直前に、ほとんど話したこともないH専務が宏に近づいて来られ、「koro・・・・・・・・kure。」との殺し文句を耳打ちされた。
「それでようやく少し話が分かりましたが、難しい仕事ですね。」と応じておいた。
 悶々としつつも『代取報告会』は、成功裏に終わった。

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2009年6月 7日 (日)

”猫に鈴作戦”、モーパッサンの短編:「ひも」、レジスタンス

モーパッサンの短編に「ひも」という作品があるそうだ。

『ある時、道端で"ひも"を拾ってポケットに入れた。その後で、「財布を落とした!」という人が出て来て、騒ぎとなった。「あの人が道で何かを拾って、ポケットに仕舞い込むのを見た」と、証言する人が出て来る。
 噂(うわさ)はあっという間に町中に広がり、「彼は泥棒だ!」ということになった。彼は「あれは"ひも"を拾っただけだよ」と打ち消した。人々は無責任なもので、その事件を すぐ忘れてしまった。しかし、彼の頭にはその事がいつまでも残った。
 機会ある毎に「あの時は"ひも"を拾っただけなのに、えらい目に会った」と、話した。段々と人々は相手にしなくなり、ついに彼は一人ぼっちになって死んでいった。』という お話だそうだ。

宏は自分と"彼"とがダブって見えた。同時に何の関係もない"猫の鈴作戦"の事を思い出した。

当時宏は、イソップ童話"猫に鈴"を教訓としつつ、"草の根運動"を計画中であった。みんながネズミであり "猫心(猫のような獰猛な心)"は全員の心の中に潜んでいた。「みんなが"猫心"を捨てなければ、平和は来ない。」と思って提案した。

「隗(かい)より始めよ」で、まず自分が先陣を切る! 他のネズミ達は
「そこまでしなくていい。」
「あんたの仕事じゃない。」
「そんなことまでする"餌"はもらっていない。」と、口々に言った。古参ネズミ連は陰ながら応援してくれ、宏は決行した。

 ネズミ社会に大騒ぎが巻き起こった。犯人探しが始まった。確信犯なので 宏は平然として刑に服する。古参ネズミの一人が、『何かやるだろうとは思っていたが、あそこまでやるとは思わなかった』 と、ポロッ ともらした。

10年が過ぎ去った。古参ネズミもそれぞれに去り、新しい"鼠社会"が出来たらしい。しかし"猫心"のより大きなネズミが大きな顔をして"餌"をあさっていたらしい。

 宏は既に"鼠社会"を離れて、現在"このブログ"を書いている。 モーパッサンの教訓に従うならば"早く忘れ去る(ブログにも書かない)"事がベストの選択であろう。
『何故ここまで自分はシツコイのか?(デメリットばかりの"このブログ"を書き続けるのか?)』、と考え込んでしまった。

 『草の根運動(≒レジスタンス?)とはそういうものなのかな。』とも思った。

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